研究紹介

日本近世の領国地域社会―熊本藩政の成立・改革・展開―

日本近世の領国地域社会―熊本藩政の成立・改革・展開―
稲葉継陽・今村直樹編(吉川弘文館、2015年2月)

全国の若手からベテランまで歴史・経済の研究者ら10人が、さまざまな角度から熊本藩政について考察した論文集。
自治的地域行政の史料として注目を集めている永青文庫細川家文書を通し、近世の実態を解き明かす。

<熊本日日新聞より抜粋>

(内容)
肥後細川家などの国持大名クラスの領国に成立し、藩政と対応しながら展開される百姓的な政治社会を指す「領国地域社会」。熊本藩伝来の「永青文庫細川家文書」を駆使して、十七世紀から転換期としての宝暦改革前後、さらに幕末維新期まで、二百年以上に及ぶ領国地域社会の展開過程を11本の論考により追求し、日本近世社会の特質を分析する。

(目次)
序章 「領国地域社会論」の提起と本書の構成
     (稲葉継陽・熊本大学文学部附属永青文庫研究センター教授)
 第一部 藩政の成立・改革と領国地域社会
第一章 十七世紀における藩政の成立と特質―藩政改革の歴史的前提―
     (稲葉継陽・同上)
第二章 熊本藩宝暦改革の歴史的位相―近代文書行政への転回点としての宝暦改革―
     (吉村豊雄・熊本大学名誉教授)
第三章 近世紀市場経済の中の熊本藩―宝暦改革を中心に―
     (高槻泰郎・神戸大学経済経営研究所)
特論一 城下町研究・地域運営論から「領国地域社会論」へ
     (松﨑範子・熊本大学文学部附属永青文庫研究センター)
特論二 領国地域社会の中間支配機構について
     (籠橋俊光・東北大学大学院文学研究科准教授)
 第二部 藩政改革論・領国地域社会論の展開
第一章 細川重賢明君録からみえる熊本藩政改革
    ―明君像の形成と土民の規範化をめぐって―
     (小関悠一郎・千葉大学教育学部准教授)
第二章 近世後期の手永会所と地域社会―領国地域行政機構―
     (今村直樹・静岡大学人文社会科学部准教授)
第三章 幕末肥後藩の政治活動とその背景―蒸気船購入問題を中心に―
     (白石烈・宮内庁書陵部編修課研究員)
特論三 熊本藩領社会を「領国地域社会論」から見つめ直す
     (三澤純・熊本大学准教授)
終章 地域社会論と「領国地域社会」
     (薮田貫・関西大学教授)

(執筆者の肩書は、本書刊行当時のもの)

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