しゃべり場
〇〇製麺 in 台湾
皆さん、初めまして。
文化人類学ゼミ所属3年の加藤旭です。今回のしゃべり場では今年のはじめに1週間ほど台湾に赴いたのでその感想を書きたいと思います。いわゆる紀行文といったところでしょうか。なぜ台湾に行くことになったかというと調査のためで、台湾の人々の歴史認識や民族表象の有り様を見ることを目的としていました。
台湾は複雑な歴史と構造を持つ社会です。そういった社会が、共同体が、個人が自らをどうとらえているのか、ということを明らかにするのは台湾の話だけに限らずとても重要になります。しかしここではそういった固いことは横に置いて、ただの観光として台湾での感想を記したいと思います。
そもそも私は海外に行ったことがありません。超が付くほどのインドア派ですからね。なので、海外というのは未知の世界で、パスポートの取得やら準備やらという台湾に行く以前の些末な出来事にも右往左往するばかりでした(しかし本来、Covid-19のパンデミックがなければ高校での修学旅行の行先は台湾でした。なので、行くべくして行くことになったとも考えることができるかもしれません)。
早速、台湾に着いてみると思ったよりも寒い。私にとって台湾は南国のイメージだったのでこの寒さには面を食らいました。後から知ったのですが、どうやらその時、台湾には大寒波が来ていたようです。台湾人の知り合いに「寒い」と愚痴を漏らすと「お前は日本人だろ!?(私たちよりもっと北の寒いところから来てるだろ!?の意)」と言われてしまいました。返す言葉もありません。
さて、台湾と言えば異国情緒さ触れる様々な料理を思い浮かべる人が多いかもしれません。では私が何を食べたのかご紹介しましょう。これです。
「温玉ぶっかけうどん(台北市、2025/1/8)」
そうですね、香川県中西部に位置する地方自治体の名前を冠する「日本」のうどん屋です。
このことを話すと、ある人は「台湾には色々なおいしい料理があるのにもったいない!」と言い、ある人は「日本で食べれるモノをわざわざ海外で食べるなんて馬鹿じゃないの?」と皆、口々に非難します。言い訳をさせていただけるとすればこれには深い(?)訳がるのです。実は私はおなかが弱いのです。なので、初めての海外で、しかも調査という名目なので色々やらなければならないこともある中で、慣れない料理を食べて体調を崩すことはなんとしても避けなければなりませんでした。しかし実際この心配は杞憂でしたし、旅の後半ともなれば色々慣れてきて、本格的な台湾料理に舌鼓を打ったり、屋台の料理に手を出したりしました。
「町の大衆食堂。店のおばちゃんから発せられる威勢のいい声がよく響く(台北市、2025/1/5)」
実は台湾という地域は多くの先住民が暮らす土地でした。そのため現在の台湾には先住民族についての展示を中心とした博物館などが多く存在します。今回の旅程の中にはそういった博物館等に訪れることも組み込んでありました。順益台湾原住民博物館はその一つです。ここは観光地として有名な故宮博物館の真向かいにある、少しこぢんまりとした博物館です。
「順益台湾原住民博物館の入り口(台北市、2025/1/8)」
ここでは一階を充てて、台湾先住民族の刺繍や鮮やかな模様の服飾品が展示してあります。あまりお客はいませんでしたが、一人の女性が展示してある刺繍を見て熱心にメモをしていました。彼女は観光客だったのか、それか学生だったのかもしれません。もしかしたら彼女は、学校でのレポートのためにメモを取っていたのかもしれませんし、なにか芸術作品を創ろうとしていて、先住民の刺繍をその参考にしようとしたのかもしれません。
何が彼女の目的だったのかはわかりませんが、ただ展示品を見るより、主観的に何かを得よう、感じようとして見る方が面白いのでしょう。やはり旅行というのは、景色を見たり何を経験したりするのもいいですが、その場所やそこにいる人々の生活や背景を妄想してみるのもまた一興かもしれません。
最後に今回の調査(旅行?)は令和6年度文学部国際奨学事業奨学金より援助をいただき、また多数の人々の支援により行われました。これらの方々の援助に感謝いたします。