しゃべり場
川に落ちた!
チャリスです。
これはフィールドワークのワンカット。
場所は、アルタイ山脈から流れるホブド川。
とある真冬の朝、いつものように、
トゥヴァ人おじいさんと一緒にヤクたちを山のほうに追い掛けていた。
ヤクたちが川辺で凍った川にためらっているのをみて、
「やはり昨日の溶け水で川の表面が覆われたな」
とおじいさんはつぶやく。
凍った川が昼間にほんの少し溶けることで、
じゃり土を敷いた道が溶け水に覆われ、凍ってしまう。
おじいさんは黙々とじゃりや土を袋詰めにする。
凍った川に敷くのだ。
ヤクたちが安心して川を渡れるようにする。
「やつらは自分で敷かないくせに、いつも僕の敷いた道を自分のヤクたちに渡らせるのよ」
と馬乗りのカザフ青年をチラッとみて、急に不満を吐くトゥヴァおじいさん。
翌日はまたもやじゃりを敷く。
途中、ひとりのカザフ青年が手伝いにきた。
無言でじゃりや土をどんどん袋に詰める青年。
風が強くなってないうちに早く敷こうと
カザフ青年とぼくのふたりでスピードアップしていく。
おじいさんが一服する間に、ヤクたちが滑らない程度にはほぼ敷いた。
最後に一袋敷いたらもういいんじゃないか、
と言いながら川のほとりを渡ったところ、どぶーん!
「おぃおぃ!イぃ~」
氷点下40度でも流れるホブド川。
おじいさんに神聖視されるその川。
その川にぼくは落ちたのだ。
本能的に一生懸命前へあがく体。
何が起きたかをすら考える間もない。
幸いなことに、カザフ青年の手助けで自分は固く凍った川の表面に立ち上がれたのだ。
後ろから駆け寄ってくるおじいさんは慌てて大声で注意がける。
「早く靴をぬいで水を出せ!」
さもないと足が凍ってしまうからだ。
川はいつものように穏やかで静かに流れていく。
何も起こってないかのように、周囲も普段通りに静まる……
下の写真をクリックすると川に落ちる感覚が得られる!(5:40~50)
手ぶれが激しいので、要注意!