しゃべり場

恋愛は〇〇

隈元祐羽

 

2月・3月のイベントと聞いてみなさん何を思い浮かべるでしょうか。

2月の祝日には建国記念の日や天皇誕生日があり、3月にはひな祭りや卒業式といったイベントがありますが、2月3月セットのイベントと言えばあれしかないですよね。

そう、バレンタインデーとホワイトデーです。楽しそうな恋人であふれるこの季節に、一人寂しく自分の将来を見つめている(就職活動)私。なんか寂しいなと感じると同時にある疑問が浮かびました。「人はなぜ恋愛をするのだろうか」と。ただ単に子孫を残すためであれば恋愛感情は必要ではないですし、恋愛は良い側面だけではありません。時に知りたくなかったような痛みを感じることもあるとかないとか……。

恋愛をすることは強制されている訳ではありません。それにもかかわらず、多くの人は恋愛を経験したことがあり、それはこれからも変わることはないと思われます。もう2度と恋愛なんかしないという言葉を言いながら、2ヶ月後には新しい恋人を作っているような人も見られます。なぜ傷つく結果になる可能性があるにも関わらず人は恋愛をしてしまうのか、この謎をこの場をお借りして解明していきたいと思います。

 

ある友人に恋愛第一の人がおり、その方に質問をしてみました。以下実際の言葉遣いのまま記載しています。

 

   隈元:なんで恋愛を何よりも優先してしまうの?

   友人:なんでかはわからないけれど、その人のことを何よりも優先的に考えてしまうんだよね。

   隈元:え、なんで?

   友人:愛が1番。

   隈元:じゃあ、例えば…仕事よりも恋愛?

   友人:うん。

   隈元:愛だけでは生きていけないと思うけど…

   友人:そのときは、一緒に仕事を頑張る。

 

友人と話していて、少し不安になる部分もあったのですが、この会話からは愛は友人の生きる原動力となっているように感じられました。愛と恋の表記が入り交じっているため、ここでこの2つの言葉の意味の違いについて少し触れたいと思います。ゼクシィによる調査によると、このような違いがあると考えている人が多いようです。「愛は相手が大切、恋は自分が大切」「信頼できるのが愛、ときめきがあるのが恋」「家族・友人にも感じるのが愛、恋愛対象にしか感じないのが恋」「永遠に続くのが愛、一時的なもので終わるのが恋」など。有名な言葉に「愛はお互いを見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見ることである(サン・テグジュペリ)」がありますが、この言葉のように、2人が対等に周囲も大切にしながら育んでいけるものが愛、と考えるのはどうでしょうか。

 

話はずれてしまったのですが、友人の「愛は原動力」というスタンス―このことは、科学的にも正しいことのようです。人類学者のヘレン・フィッシャー氏は次のように述べています。

 

恋をすると、人間はある人が「特別な意味」を呈しているように見え出すようだ。しかしそれは相手が特別な意味を持っているということではなく、実際には私たちが相手に意識を集中し相手を拡大して見ているのだ。……恋愛が上手くいっている時は気分が激しく高揚し、上手くいっていない時は絶望的な気分になります。恋愛とは、ある特定の人と一緒にいたいという強い切望なのだ。

……恋人の写真を見ているときと刺激のない写真を見ているときに被験者の脳をスキャンした結果、同じ脳における活性状態と不活性状態が見られ、多くの脳の部位で活動が見られた。最も注目すべきはコカインでハイになるときに活動的になる部位が活動していたことだ。……恋愛は単なる感情ではなく、動因(欲求、要因)である。……ドーパミンは恋愛に関係している。

 

この結果から、ドーパミンの放出によるある種の依存状態が恋愛だと言うことができそうです。恋愛はドーパミンによってもたらされた想像の産物、人はドーパミンの影響で恋愛をする、と言ってしまうこともできますが、それでは味気ないので、自分の中でしっくりくる表現を考えてみました。恋愛は麻薬、恋愛は四次元空間、などよくわからない表現を色々考えてみましたが、私の中で1番しっくりきたのは「恋愛は起爆剤、人はマリオネット」という表現です。恋や愛は私たちの感情を大きく揺さぶり、その感情は私たちの行動をプラスの方向にもマイナスの方向にも導きます。人はそれに抗うことは諦めているようにも思われます。恋愛はただの起爆剤であり、人生において着火剤と出会うか否かで爆発するか静かなままであるかが変わる、というように考えることもできます。私はこの表現が気に入っていますが、みなさんにしっくりくるとは思っていません。みなさんも自分なりになぜ自分は恋愛をしているのか、したいと思うのか考えてみると面白いかもしれません。

 

蛇足ですが、株式会社ヒューマンアルバによると、セロトニンという物質を分泌させることがドーパミンを抑制する1つの方法とのことなので、恋愛感情に行動が支配されすぎていて危ないと感じる方がいらっしゃったら、歩く、走る、泳ぐなど積極的に運動を行ったり、バナナや乳製品などの食事をとったり、早寝早起きをしたり、規則正しい生活を送ることを心がけるとその症状は落ち着くかもしれません。