しゃべり場

ミルクティーを飲むために♨

お久しぶり!
D4になったチャリスです。
 
さて、フィールドから戻ってきたばかりなので、氷を採取したエピソードをシェアしたい!
 
・時期:2022年冬 
・場所:ロシアとモンゴル国の国境付近の遊牧地帯(図1 緑矢印
Altai map_charisu.jpg
図1 環アルタイ山脈地域概略図
 
冬営地で毎朝に欠かせないのが氷だ。なぜか?
遊牧民にとって一日の始まりはミルクティーを汗かくまで飲むことだから。
水道水がない真冬の草原では雪か川辺から氷をとって水を補給するしかない。
井戸を掘る手もあるが、地下水の成分やそれに使う労力と比べれば
ぼくが居候するご家族は前者を選んだ。
 
外に貯えていた氷がどんどんなくなってきた。
ウシやヒツジ、ヤギたちも舐めるし、昼間もけっこう蒸発するから、
遊牧民と家畜たちのあいだで氷の取り合いが毎日おこるわけ。
 
とある日ぼくは居候先の主と一緒に凍った川から氷をとりにいった。
どこから取ってもいいんじゃないかと思っていたが、そう簡単ではなかった。
 
・前に取った場所を避けること
・川の割れ目があるとこ
・深く凍っている部分
・動物がおしっこしてないとこ
その他諸々。
 
川に沿ってこういった条件を満たす箇所を探すのも一手間。
 
ようやくよさそうな箇所を叩き切ったが、散らばった小さな塊しかなかった。
要は鍋に入れるぐらいのサイズが望ましい。
失敗経験を積んだぼくはよくよく割れ目の線を見つめ、
どこから叩き切ったほうがいいかを予想しながら
「あと一発、もう一発で」と願って斧を思い切って叩き込むことを繰り返すのだ。
 
最初は何も考えずに叩き込んでいたが、徐々に斧の先っぽから手に伝わってくる振動によって氷がきれいに割れてくるか否かの感覚をつかめた。
 
疲れる!でもやる!
 
少なくとも9人家族が10日間使える氷をとった。
そういえば、家畜たちも家族だし、
振り返ってみると、水の循環にぼくも参加していたなと思いつつ
おばあちゃんがつくるミルクティーを飲みたくなる。
 
下の写真をクリックすると氷からミルクティーが生まれる様子が数秒でわかる!
cover_charisu.jpg
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