しゃべり場

カザフの結婚式

博士1年生のディリフです。
2022年9月に、モンゴル国西部、カザフ人居住地域バヤンウルギー県でフィールドワークをしてきました。カザフ人は、モンゴル国の中でマイノリティーな存在です。彼らはいったいどんな人たちなのだろうかと期待に胸を膨らませながら、異郷の地における調査に多少の不安もありました。
ディリフしゃべり場図1.png
図 東京都-ウランバートル市-バヤンウルギー県
 
ここで、彼らの結婚式についてご紹介します。私が居候するご家族には6人の子供がいて、今回はその長男の結婚式です。カザフの結婚式が長いことを前から知っていましたが、今回のは5日間かかりました。
 
結婚式の最初の日は新郎側が新婦を迎えに行って、そこで一日お祝いします。2日目に新婦の親族は、新婦を迎えにきた新郎側の人を新郎の家までに付き添って行きます。3日目に新婦側の親族が新郎の家で1日を過ごします。4日目に新郎側から家で結婚式の本番を行います。5日目に新郎側から新婦の親族を送るため、家で一日お祝いします。5日目の参加者は新婦と新郎の主な親族だけになります(5日目の結婚式の雰囲気は動画1をご参照)。
 
私はインフォーマントの家に着いた時、インフォーマントと奥さんが結婚式のため、あれこれを準備していた。そこで、インフォーマントと奥さんがお嫁さんを迎えにいき、私はインフォーマントの3名の子供と一緒に秋営地に残り、結婚式の本場に使う馬乳酒をつくって、4日目の結婚式の本場に持っていくことになりました。
 
結婚式の本場は4日目の夕方7時頃から始まり、翌日の朝2時頃に終わりました。 最初は新婚夫婦の入場で、新郎の親族側からお嫁さんの親族に服を着させます。この儀礼は1時間ほどで済みました。
 
そのあと、食べ物がある別の部屋に移動します。私は真やビデオを撮っていたので、出入がしやすい食卓に座りました。その食卓には、結婚式のお手写伝いをする人たちが集まっていました。すると一人の女性が刀を私に渡してきました。カザフでは、食卓で肉を切るときは、年長の男性、男性、女性、子供の順で刀を使います。そのため、彼女は、この食卓では私しかこの刀を使えないと言っていました。私は刀を扱うのが苦手でしたので、どうしようかと思いながら、彼女から刀を受け取ろうとしました。すると、隣にいた村の親しい弟が「少々お待ちください」と私を引っ張りました。どうしましたかと聞いたところ、まだ、食事の前の祈りが始まっていないからダメですよと教えてくれました。刀に気が取られていて、祈りのことを忘れていました。教えてくれた彼には今でも、感謝しています(祈りの雰囲気は動画2をご参照)。
 
結婚式はにぎやかでした。結婚式に参加した親族の人たちは私のことを優しくしてくれました。結婚式で様々な人と知り合って、facebookを交換して、日本に帰ってきたあとも、連絡を取っています。最後は、結婚式の写真を皆さんと共用したいと思います。
 
ディリフ図2.jpg
写真1 新婚夫婦
 
図3.jpg
写真2 賑やかな宴会場
 
ディリフしゃべり場図4.jpg
写真3 親戚からの歌唱
 
ディリフしゃべり場動画サムネ1.jpg
動画1 祈ること
 
ディリフしゃべり場動画2サムネ.jpg
動画2 結婚式の踊り
年別一覧