センターについて

学長あいさつ

熊本大学永青文庫研究センターの学内共同教育研究施設化によせて

学長 原田 信志

 永青文庫研究センターは、本学に寄託されている永青文庫細川家の膨大な資料に国内外から寄せられた学術的要請に応えるため、平成21年4月に、「文学部附属永青文庫研究センター」として発足しました。

 発足当初より、肥後銀行をはじめ、熊本放送文化振興財団あるいは熊本の有志の方々からの寄付金を基に熊本県庁に設けられた「永青文庫常設展示振興基金」によって運営され、永青文庫資料の目録作成や重要資料の出版活動に取り組んできました。

 その成果として、平成22年5月に永青文庫叢書第1巻『細川家文書 中世編』を刊行し、平成26年までの5年間で5冊の資料集を出版いたしました。この研究成果は、平成25年6月に、永青文庫細川家文書()266通が国重要文化財に指定されるなどして、広く知られることになりました。そして、平成27年12月、発足当初からの目標であった60,000点もの永青文庫資料『総目録』を完成させました。

 熊本大学は、熊本藩主細川家や筆頭家老松井家などに伝えられた江戸時代の歴史資料を10万点以上も管理し、教育研究に活用しています。このように膨大で、かつ質の高い歴史資料群を、その資料群が形成された地域の大学が管理活用しているという例は、熊本大学をおいて他にありません。

 本年度より文学部の元を離れ、新たな研究資金やスタッフも準備して機能強化し、次のステップを踏むことになった「熊本大学永青文庫研究センター」には、こうした類稀な条件を活かして、本学の人文社会科学系における研究拠点として、さらに地域貢献拠点として発展することが期待されています。今後とも、日本近世史に関する共同研究・国際研究を推進するとともに、その成果を地域に還元することによって文化振興を推進し、熊本地域の歴史文化の維持・発展に貢献するために、取り組みを強めてまいります。

 今後も永青文庫研究センターが皆様のご期待にお応えできるよう、熊本大学としても出来る限りサポートしていく所存でございますので、関係各位からのより一層のご支援・ご鞭撻をいただきますようお願い申し上げます。