しゃべり場
ヤクザ映画
皆さま、初めまして
文化人類学ゼミ 3 年の鈴木です。
今回のしゃべり場では、最近観た映画『仁義なき戦い』について書こうと思います。前期のゼミでは、課題研究として『ヤクザの文化人類学』という本を読みました。本の著者、ヤコブ・ラズはイスラエル人の研究者であり、日本の演劇や美学などの文化、ヤクザ、仏教などを通して、日本文化における「他者」について研究しています。この本は、おそらく初めてヤクザを文化人類学的に描いた本ではないでしょうか。ヤクザという日本における裏の存在を鏡として、日本社会のことを表せていると感じました。仁義なき戦いはその本の中でも紹介されていた映画です。ヤクザのイメージというのはほぼメディアとか、映画とかからのものに由来していると書かれていたので、結構昔の映画ですが観てみました。皆さんが一度は聞いたことある BGM が逐一流れているのでぜひ見てみてください。ネタバレを含むので注意です。
あらすじ(引用:https://renote.net/articles/331769)
復員兵の広能昌三は流れ者のヤクザを殺害し、後に親分となる土建屋の山守義雄(やまもりよしお)の出した保釈金で出所し山守組の組員となる。さらに服役中には、土居組の若頭である若杉寛と兄弟分になっていた。
ある日広能は長老大久保憲一の遠縁にあたる上田透と、博打の席でいさかいを起こしてしまう。山守が謝罪に出向くと大久保は市会議員の中原重人を山守に紹介し選挙の妨害工作を依頼する。そして若頭の坂井鉄也(さかいてつや)は、中原の対立候補の金丸昭一を拉致し無事作戦は成功するのだった。
だが土居組に拉致された山守組の神原精一が全て話してしまったため、山守組と土居組の抗争に発展してしまう。そこで広能は土居組の組長である土居清の殺害を計画し、成功するが隠れ家に現れた神原に騙され再び刑務所に収監される。
その後土居組との抗争に勝利し山守組は発展を遂げるが、覚醒剤の密売を巡って坂井と山守組幹部の新開宇市が対立していた。そして坂井を支持していた上田が殺害され抗争となるが、新開が殺害され有田も逮捕された事で坂井の勝利となる。
広能が出所すると坂井と山守が対立しており、幹部である矢野修司が殺害された事を山守組幹部である槙原政吉に知らされる。だが広能は 2 人の争いには関知せず山守に盃を返したが、坂井は山守の子分に殺害されてしまうのだった。そして坂井の葬儀に現れた広能は、拳銃を乱射し坂井に別れを告げる。
まずストーリーに関しては、裏切りと報復のスピード感が早く、また僕にとってはなじみのある方言で見やすかったです。『ヤクザの文化人類学』でいっていた、義理人情のヤクザ映画から暴力的なヤクザ映画に切り替わったタイミングの映画だと分かるほどに義理人情はなかったです。タイトルの通り仁義はないどころか、むしろ仁義とか任侠から遠ざかっていると感じました。
俳優はとにかく男前で主人公はかっこいい生き方をしており、ヤクザにロマンを感じるのも納得できました。またとにかくグロテスクで血の量がすごくてカタルシスを感じました。これも現代のヤクザ映画の特徴として本に書かれていたことです。かなり本の内容によってしまった感想かもしれないですが、ヤクザが日本社会を映し出す鏡だというのは本当にその通りで、人間関係や上下関係、価値観(女房がいるから死にたくないと情けなく泣いていたヤクザもいた)は普通の集団と何も変わらないものでした。もちろん、映画なので演出されている部分もあるとは思いますが、その文化や社会との関係の中で理解しようとする視点が大切なのだと、映画を観て改めて思いました。しかし、著者のラズさんが外国人だからこそ、ヤクザの事務所に受け入れられたかもしれないとも思いました。もし日本人の私が同じような研究をしようとしたらヤクザたちは私を受け入れてくれたでしょうか。
