教員
現地調査
チベット自治区ラサ市・ナグチュ市・シガツェ市、青海省河南蒙旗・西宁市大通回族土族自治県
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1 15年ぶりに再会できたポタラ宮です。しかしながら、今やあまりにも厳しい保安検査のため常に長蛇の列ができていて、15年前に比べ近寄りにくい場所となっているようです。
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2 ラサ市ジョカン寺(大昭寺)の前の広場は礼拝の場にもなっています。五体投地の礼をするチベット仏教徒の巡礼者もいれば、五体投地の様子を一目見ようとする観光客もおり、さらにそこではもしかしたら何かがもらえるのではないかと狙ってくるイヌたちもいます。
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3 チベット自治区の北東部に位置するナグチュ市を含むチャンタン高原はホルの故郷とされてきました。ホルはモンゴルなど北方系の遊牧民を意味するチベット語です。ホルたちの履いている靴は、河南蒙旗のソッゴ(アムド・チベット語で「モンゴル」)たちがソグ・ラム(モンゴル靴)と称している長靴と外見上、極めて似ています。
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4 ホルたちは羊を屠ってからその肉を鍋に入れて調理し料理としてテーブルに出すまで、必ず羊の尻尾の末端の毛を最後の最後まで残しておく習慣があります。この習慣は、河南蒙旗のソッゴたちの間でも見られます。
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5 ラサ市の中心部から北へ160キロ―のところに位置するダムシュン県(海抜4200m)は、青海省とチベット自治区を結び幹線道路の途中にあり、交通の要衝となります。この地域は、17世紀以降チベット高原に君臨したオイラド・モンゴルがラサを守備するための軍隊を駐屯させた軍事基地としても有名です。今住民たちはその身分証明書における民族籍がチベット族になっているものの、依然オイラド・モンゴルの末裔とみなされています。ダムシュンの男性たちの帽子は河南蒙旗のソッゴたちがソグ・シャ(モンゴル帽子)と呼んでいる帽子と同じです。
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6 チベット自治区の北部高原地帯にあたるダムシュンとナグチュ(海抜4200m~4500m)の旅において、私が自分の知り合いを通してチャーターした4WDはなんと3回も大きな故障(事故)をしてしまいました。1回目は道路事情によるものですが、2回目はドライバーの不注意による追突であり、3回目はタイヤの老朽化によるパンクトラブルでした。写真はその3回目です。道路に荷物が散乱していますが、左は私の、真ん中はドライバーの、右は知り合いの荷物です。こうしたトラブルを除けば、調査はすべてが順調でした。
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7 ラサ市とシガツェ市を結ぶ鉄道を走る列車の天井は、他の路線に比べてもダントツ綺麗です。
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8 シガツェ市に位置するチベット仏教ゲルク派六大寺院の一つとされるタシルンポ寺のなかのとある由緒ある僧房の窓から差し込む夕陽です。真夏であるにもかかわらず、右下の床で私は数日涼しくかつ静かに過ごすことができました。それまでの世界から距離をおかないといけないという意味で、私は大学の研究室と僧房との親縁性をこの寺院で実感しました。
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9 チベット仏教の世界はきわめて合理的に構成されています。学位を取るためには公開審査をうけなければいけません。場合によっては、先進国の大学院の論文審査よりも厳しいプロセスを経なければ、認められません。この写真はそうした審査に向けて準備に励んでいる若い僧侶の一人です。
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10 神戸大学の梅屋潔さんと私が共編著した『新版 文化人類学のレッスン―フィールドからの出発』(学陽書房)の表紙を飾ったチベット仏教僧侶と、今回は、14年ぶりに再開することができました。お経を読むとき、彼の真剣な表情は、14年前となんら変わりありません。
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11 ラサ市南の郊外に位置する「チベットヤク博物館」は、世界で唯一、ヤクやヤク文化に特化した博物館だと言われています。異なる時代の様々な地域のヤクの標本が展示されているこの博物館は、中国では珍しい非営利組織となっており、入場無料です。
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12 青海省河南蒙旗においても、近年、観光客目当てに、牧畜民たちが自ら資金を集めリゾート地を創って、観光客を誘致しようと試みています。ただ、寒冷期間が長いため、観光といっても短い夏に限定されることになります。
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13 青海省西ー市大通回族土族自治県に位置する「青海省ダトン種雄牛センター(青海省大通種牛場)」は、世界で唯一野生ヤクの冷凍精子を生産できる機構とされています。私がセンターを訪れた日はたまたま野生ヤクの精子を採集する曜日に当たってしまいました。撮らせていただいた写真は、精子採集のワンシーンです。