笠智衆をたずねて(その1)

先日、映画『それから』について書きました。みごとに代助を表現した松田優作の演技について色々と書いてみようと思っていたのですが、今回のテーマは笠智衆です。(時々演出が過剰だと感じる時もありますが)笠智衆が代助の父親としていい味をだしているのです。
笠智衆といえば熊本は玉名を代表する名優。玉名といえばもちろん『草枕』です。数年前に草枕ハイキングコースを歩いてみました。その時、笠智衆の故郷という看板を見かけたことを覚えています。もちろん『東京物語』は好きな作品でしたが印象に残っていたのは笠智衆よりも原節子。笠智衆の演技力に感謝したのはヴィム・ヴェンダースの『東京画』からです。笠智衆が登場した黒澤明の『夢』の1エピソードは他の物語よりも気に入っています。
そういえば、黒澤は各エピソードを漱石の『夢十夜』のように「こんな夢を見た」と始めていましたね。黒澤は漱石を愛読していたのでしょう。玉名には笠智衆の生家の来照寺があります。春がきたら久しぶりに草枕ハイキングコースを再訪しようと思っています。
よし、そのときは来照寺にも足を伸ばそう(そういえば、黒澤明はテレビで『三四郎』について熱く語ったことがあります。このことは次の機会に)。

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