高橋隆雄『よき死の作法』九州大学出版会

                    目次

まえがき (高橋隆雄)

                        第1部
第1章 細胞における死の流儀と意義 (佐谷秀行)
  はじめに
   T.「生」のための「死」
    (1)アポトーシスの概念
    (2)アポトーシスを遂行する分子シグナル
    (3)細胞死シグナルの中継点
    (4)ミトコンドリア:「生」と「死」を制御する共生生物
   U.個体、種の保全におけるアポトーシスの役割
    (1)臓器、細胞構築のための細胞死
    (2)自己を守るための細胞死
    (3)変異を取り除くための細胞死
    (4)発生過程における遺伝子損傷が引き起こす細胞死
    (5)アルゴリズムのプロセスにおける細胞死と個体死
    (6)こころの死とアポトーシス
        おわりに
 

第2章 「よい死」をめぐって (中山將)
     ―いかに死ぬかを考える―
   はじめに
    T.死の諸相問題のありか―
     (1)問題のてがかり
     (2)いろいろな死
     (3)老と病
    U.死の思想―死ぬということ―
     (1)概 観
     (2)赴 く
     (3)帰 る
     (4)現代の傾向
    V.死の主体―死ぬのはだれか―
     (1)人 間
     (2)他 人
     (3)自 分
    W.よい死―よく生きおおせる―
     (1)「よい」ということ
     (2)死にゆく者にとって
     (3)見送る者にとって
    X.死の統合作用―受容と意味づけ―
     (1)死の受容
     (2)生の意味づけ
     (3)よい生へ
    おわりに

                        第2部
第3章 日本のホスピス・緩和ケアの現状 (井田栄一)
   はじめに
    T.ホスピス・緩和ケアの実際
     (1)ホスピス患者の生き方
     (2)米国ホスピス運動と医療費削減政策
    U.ホスピス・緩和ケアの定義と利用開始時期
     (1)ホスピス・緩和ケアの定義
     (2)ホスピスケアの利用開始時期
    V.日本のホスピスケアの歩みと現状
     (1)ホスピスケアの始動
     (2)癌死亡者の死亡場所
     (3)在宅ホスピスケア
     (4)病名の説明(癌告知)
     (5)みこころホスピスの実績
     (6)英国ホスピスケアとの比較
    W.ホスピスケアの利用者の声
     (1)ホスピス患者の思い
     (2)遺族の思い
     (3)コミュニケーション
    X.ホスピス担当医師としての私
 

第4章 看護における死 (森田敏子)
   はじめに
    T.日常から遠ざかる生と死
     (1)命の慈しみを育む命の誕生と見えない死
     (2)メメント・モリから死の準備教育へ
    U.人間にとっての死・看護にとっての死
     (1)死の判定、人はそれを受け止められるか
     (2)看護は死をどう捉えるか
    V.その人らしさを支える看取り
     (1)その人らしさの尊重
     (2)その人の希望に沿う看取り
    W.癒しの看護とグリーフワーク
     (1)癒しの看護
     (2)グリーフワーク
    おわりに
 

第五章 安楽死について (高橋隆雄)
     ―日本的死生観から問い直す―
   はじめに
    T.安楽死と尊厳死の概念
     (1)安楽死の分類
     (2)安楽死と尊厳死
    U.これまでなされてきた議論
     (1)消極的安楽死を認めて積極的安楽死を認めない議論
     (2)間接的安楽死を認めて積極的安楽死を認めない議論
     (3)積極的安楽死に反対するその他の議論
     (4)自発的な積極的安楽死を肯定する議論
    V.安楽死と日本的伝統
     (1)安楽死先進国、日本
     (2)死者は死者としてこの世に存在する
     (3)日本の伝統における死者
     (4)自殺・罪・自由
     (5)究極のケアとしての安楽死
     (6)法制化について

                        第3部
第6章 古代日本における死と冥界の表象 (森正人)
   はじめに
    T.日本霊異記の冥界
     (1)日本霊異記の転生譚と蘇生譚
     (2)中国的冥界観とその継承
    U.浄土教における極楽と地獄
     (1)往生要集の地獄
     (2)地獄変相図
    V.仏教的冥界観の流布
     (1)地獄絵を詠む王朝女性
     (2)西行も地獄絵を見て
    W.日本霊異記を遡る
     (1)黄泉の国
     (2)蘇生譚の基底
    X.冥界観の古層
     (1)イザナミの神避りとイザナキの黄泉帰り
     (2)山隠り・雲隠り
    W.天翔ける白鳥
     (1)ヤマトタケルノミコトの死
     (2)天翔る皇子たち
    むすび
 

第7章 受取人不在の死 (慶田勝彦)
     ―水俣の魂と儀礼・口頭領域―
   はじめに
    T.打瀬船を焼く―ゴミ焼き場と魂の節合―
     (1)出来事の経緯
     (2)儀礼という幻想
    U.水俣病経験の起源化と脱起源化
    V.水俣病と口頭領域
     (1)「未認定」を選び直す
     (2)運転手がいない車(=近代)の恐怖
    W.儀礼・口頭領域において節合する記憶群
     (1)無根拠な起源
     (2)消されてしまった故郷に留まる人たち
     (3)愛されし者の記憶
    おわりに
 

第8章 自然葬と現代 (田口宏昭)
   はじめに
    T.自然葬とは何か
     (1)生成する文化としての自然葬
     (2)自然葬運動の展開
     (3)自然葬の実際とその表象世界
     (4)消失した葬送の復活としての自然葬
    U.家郷喪失者たちと自然葬
     (1)都市への人口移動
     (2)家郷喪失者たちの祖先祭祀
     (3)祖先祭祀の困難化とその多様な要因
     (4)「しがらみ」と「きずな」
     (5)無縁の縁
    むすび


付録1
安楽死・本書関連事項年表 

付録2
討論会

 

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