認知心理学を学ぶ
何を学ぶの?
認知心理学とは,私達がどのように様々な事物や人物を知覚し,認識しているのかということを探求していく学問です。日々生活していく中で欠かす事の出来ない,人間の様々な認知的活動(見る、聞く、理解する、覚える、考える、コミュニケーションをとるなど)について研究する,かなり幅広い領域を対象とした学問です。 認知心理学では,そのように人が『知る』という行動全般を扱い,その具体的研究分野は,知覚,発達,注意,記憶,言語,対人認知など多岐にわたっています。
※心理学には,他に臨床心理学という精神に不調をきたした人々の理解および援助を指向する学問もありますが,熊大心理学研究室では扱っていません。
熊大心理学分野紹介
心理学分野では,実験・研究法・講義・演習等の授業を通じて,人間を客観的にとらえる心理学の考え方と方法を習得します。実験演習を受講し,実験計画や統計処理を学び,実際に自分達でとったデータをその都度レポートとしてまとめる営みの中で,常識として受容した心理学的知識は,再体制化を迫られるでしょう。このプロセスを通して人の心の動きに関する新しい知見を生み出す力を身につけていきます。
履修案内総合人間学科に入学後,2年次に人間科学コースに所属し,心理学関連の科目を中心に履修を進めて行きます。3年次の分野振り分け時において,心理学分野の選択をすることで,当研究室に配属が決定され,より専門的な心理学関連の講義・演習・実験に参加することができるようになります。
履修例
1年次 : 「心理学概論」
2年次 : 「知覚・認知心理学」「神経・生理心理学」「心理学研究法」「心理学統計法」「心理学演習Ⅰ」
3年次 : 「心理学実験Ⅰ・心理学実験Ⅱ」「心理学演習Ⅱ」「課題研究Ⅰ・II」
4年次 : 「課題研究III」「卒業論文」
上記に加えて,文学部で開講されている社会学・文化人類学・哲学・倫理学・芸術学・地理学・歴史学・文学などの様々な分野の授業もあわせて履修することができます。また,教育学部で開講されている心理学関連の授業も,あわせて受講できます。
卒業論文のテーマ
卒業論文のテーマは,上記の心理学の講義を学ぶ中で自分が興味を持った内容の研究を,卒業論文の研究テーマとして各自自由に選択できます。具体的なテーマとしては:
高齢者における視触覚相互作用と空間知覚/注意教示が視聴覚音声知覚に及ぼす影響の言語間比較/ギザギザひし形錯視に関する研究-刺激の回転の効果-/高齢者における作動記憶中の脳活動と認知症傾向の関係/視聴覚音声知覚に及ぼす注目部位の影響/心拍数が時間評価に及ぼす影響/リストを構成するカテゴリー数の増減が指示忘却効果に及ぼす影響/きめのレーシネスにおけるきめの配置の効果/乳児は顔のどこを見ているか-視線計測による検討-/人工内耳装用者における音声知覚中の視覚情報の影響-反応時間・ERP・視線計測による検討-
などが過去の卒業生の研究テーマとして挙げられます。
※2017年度 認知心理学履修モデル 卒業論文※
・視触覚の連合学習に関する実験的研究
・東洋人における顔情報の無意識的処理に関する実験的研究
・視聴覚ベクションに関する実験的研究
・無意識の体動同期現象に二者間の人間関係が与える影響についての実験的研究
・身体所有感に関する実験的研究
・恐れ表情観察時におけるVRT効果に関する実験的研究
・顔の印象操作が再認課題に与える影響ー感情の2つの次元と他人種効果の観点よりー
※2017年度 認知哲学・心理学研究コース 修士論文※
・楽器訓練が子どもの認知機能に与える効果についてーランダム化比較試験による検討ー
・高齢者における運動イメージ能力について
進学
本学の大学院社会文化科学教育部に,博士前期課程(旧・修士課程)と,博士後期課程(旧・博士課程)が設置されており,心理学の研究をさらに深め,研究者を目指すことができます。
就職
学部卒業後の進路として,人文系で就職可能な通常の進路(一般企業)に加えて、国家及び地方公務員の心理職など,また企業等の心理学関連の専門職への道も開かれているのが当分野の特徴です。心理職を採用する自治体のなかには,大学で心理学を専攻した者に限定しているところもあります。また,在学中に実験データの分析などによって自然と身につくコンピュータリテラシーは,民間・公務員を問わず,どんな職に就いても大いに役に立つことでしょう。