文化史分野

文化史というのは、はじめて聞く名前かもしれません。人間の意識的な活動とその成果はすべて、広い意味で「文化」ですから、人間の歴史そのものが「文化史」だとも言えます。その中で、文化史学分野では、特に人間の知的な活動、つまり、ある具体的な歴史的状況の中である具体的な個人が考えたこと、とりわけその人の社会的・政治的な思想を研究対象としています。

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新歓コンパ風景 2005年4月

ひょっとすると哲学や「倫理・社会」と似ていると思われるかもしれませんが、それらとはやはり違います。文化史は、あくまでも歴史研究の一環として、ある時代とそこに生きた人々の姿を明らかにしようとするものだからです。ただそれを政治制度や経済機構といったハードな面からでなく、具体的な名前をもった個人がどのように感じ、悩み、時には怒りながら、その時代を理解していたかという側面から明らかにしようとする点で、史学科の他の分野とは方法が少し異なるのです。

教員の専門領域の関係で、授業のテーマは欧米と日本の両方を扱います。授業は十数人での演習形式を中心とし、欧米と日本を互いに比較しながら、近代化の過程でそれぞれの社会が抱えた問題をそこに生きた人々がどうとらえ、どう考え、どう対処しようとしたかを読み取り、議論を通して理解を深めながら、現代の私たちの生き方を考えていく手がかりにする、という形で進められます。視野の広さと深さが、文化史分野で得られる最大の利益と言えるでしょう。

 

*文化史の扉をあけて


教官紹介

小松裕(Hiroshi Komatsu)教授


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