熊本大学文学部の教員が出版した書籍や、文学部に関連する書籍を紹介しています。
文学部の書箱を開設しました。新刊を中心に37点を掲載しています。
この本に関わった教員:伊藤 弘了
本書は一般の方向けに「映画の見方」を教える本です。映画の研究や授業を通して得た知見をこれでもかとばかりに詰め込みました。映画鑑賞に役立つ基礎知識から、映画のおおまかな歴史、よく使われる撮影技法、具体的な分析方法などを、『トイ・ストーリー』『東京物語』『ボヘミアン・ラプソディ』『海街diary』などの古今東西の名作を題材にして、講義形式で解説しています。
アカデミー賞国際長編映画賞をはじめ、各国の映画賞を席巻した濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』。世界に衝撃を与えた本作について、アメリカ、日本、香港、台湾、韓国の研究者が一堂に会した国際シンポジウム「Drive My Car : A Symposium on Hamaguchi’s Cross-Media Vehicle」の内容を発展させた論考集です。
この本に関わった教員:坂元 昌樹
夏目漱石(1867-1916)が、熊本大学の前身である第五高等学校で英語教師として教えた時期(1896-1900)を持つことは知られています。この本は、漱石の熊本時代についての事実を年譜形式で記述して、多くの同時代の資料や画像とともにまとめた書籍です。
この本に関わった教員:ミシェル・サガズ
私の専門は外国語としてのフランス語教育で、大学生や一般向けのフランス語学習用の本を数多く出版してきました。熊本に住み始めてからは、くまモンを使ったフランス語学習の本を書きたいとずっと思っていました。
本書はフランス語の基礎をすでに学習している人を対象としています。フランス語やフランス文化の学習を通じて、復習をしながらさらに上達を図ることができます。
この本に関わった教員:畑 亜弥子
『日本から見たマルロー 小説・エッセー・芸術』本書は20世紀のフランス人作家アンドレ・マルローについてのフランス語研究論文集です。私は編者・論文執筆者として関わりました。小説、芸術論、兵士、映画監督、文化大臣と領域横断的な活動を展開したマルローについての最先端の研究です。この作家は『王道』(1930)という冒険小説を書いています。
この本に関わった教員:池川 佳宏
矢口高雄の代表作「釣りキチ三平」の生誕50周年記念企画として、初期の名作シリーズ「O池の滝太郎編」が雑誌サイズで復刊されました。この記念企画に池川が、白土三平の系譜を継ぐ矢口高雄、そして70年代オカルトブームを背景に生まれた「O池の滝太郎編」についてマンガ史・現代文化資源学的アプローチから解説を担当しています。また、矢口高雄のさまざまなエピソードからの作家論にも踏み込みました。
この本に関わった教員:及川 高
2024年刊行の民俗学の最新の入門書です。民俗学は年中行事や風俗習慣など、私たちの日常的な生活文化を研究する学問です。近代化した今日でもなお、迷信のような習慣が日本社会に根強く残っていることを不思議に思う人は多いのではないかと思います。こうした疑問に対して島村恭則先生(関西学院大学教授)を編者に、主に30~40代の研究者が分担して解説したのが本書です。
この本に関わった教員:多田 光宏
From: The Routledge Handbook of Language and Mind Engineering by Chris Shei & James Schnell, Copyright ( 2024) by Routledge. Reproduced by permission of Taylor & Francis Group.
人の思考や信念は、純粋に個人的なものではなく、たえず社会から影響を受けており、気づかぬうちに方向づけられていることも少なくありません。本書は、そうした人間意識への介入が、言語・文化・政治・教育などの領域でどのように行われているかをテーマに、各国の研究者が寄稿して刊行されました。私は、アジア太平洋戦争に関する日本人の認識が、学校教育を通じてどう形成されているかを社会学の観点から論じています。
この本に関わった教員:シンジルト
定住生活に馴染んだ日本人にとって、移動生活を送る牧畜民の存在は、言語・文化だけではなく、生業的にも異なるラディカルな他者となる。このラディカルな他者を真剣に受け取ることこそ、人類の多元性への理解につながるだろう。本書は、12人の人類学者や歴史学者が一堂に会して、文字情報に加え、日常の中で撮られた写真というメディアを生かし、アフロ・ユーラシア、アメリカ大陸に分布する牧畜民と、彼らを取りまく環境が構成する牧畜世界を描く。
この本に関わった教員:吉武 由彩、牧野 厚史
本書は、現代社会における課題から社会学について学ぶ「入門・社会学」シリーズ全5巻のうち第1巻として出版されました。第1巻は『入門・社会学』という名前の通り、社会学の入門書です。シリーズ1巻である本書を読んだあとに、シリーズ2~5巻へ進むことができるようにと考えて構成されています。私は5章「福祉」を担当しました。高齢者の生活と幸福感についてまとめています。5章を読んだ後に、シリーズ4巻『入門・福祉社会学』へ進んでもらえるようにと考えて書きました。
この本に関わった教員:吉武 由彩
本書は、現代社会における課題から社会学について学ぶ「入門・社会学」シリーズ全5巻のうち第2巻として出版されました。第2巻は『入門・地域社会学』という名前の通り、地域社会学の入門書です。私は9章「地域福祉活動と農村高齢者の暮らし」を担当しました。高齢者の生活を支える近隣関係、見守り活動や買い物支援、訪問活動などの地域福祉活動の実態を紹介しています。
本書は、現代社会における課題から社会学について学ぶ「入門・社会学」シリーズ全5巻のうち第4巻として出版されました。第2巻は『入門・福祉社会学』という名前の通り、福祉社会学の入門書です。
本書は2019年に刊行された『地域社会学入門―現代的課題との関わりで』の改訂版です。改訂版では、最新データへの差し替え、資料の追加などが行われています。
本書は1998年に刊行された『現代農山村の社会分析』の問題意識を引き継ぎつつ、近年の農山村の変化を描いた書籍です。そのため、『新・現代農山村の社会分析』という前著を意識したタイトルになっています。
本書は日本社会分析学会監修により刊行された「シリーズ生活構造の社会学」の第2巻です。第1巻『生活からみる社会のすがた』が入門編、第2巻『社会の変容と暮らしの再生』が研究編という位置づけになっています。「生活構造」をキーワードとして意識しつつ執筆された研究論文集です。私は9章「献血者の生活史からみえてくるもの」を担当しました。
この本に関わった教員:吉武 由彩、中川 輝彦
本書は、「薬害とはなにか」について主に社会学的観点から検討したものです。「薬害」とは単なる健康被害ではなく、それを越えて、生活や人生を壊される経験であることに言及されています。
私たちの生活は匿名他者との非対面的な関係性によっても支えられています。献血を思い浮かべてみてください。献血では、提供された血液は見知らぬ他者のもとへ届けられます。
本書は「やわらかアカデミズム <わかる>シリーズ」のうちの1冊として刊行された、地域社会学の入門書です。本書の特徴は、地域社会学の各トピックについて、2ページまたは4ページで簡潔にまとめられている点です。
この本に関わった教員:米島 万有子
地理情報システム(GIS)は高校で必修化した地理総合の柱の一つになっており,GIS・地理空間情報を知っている! という方もいるかもしれませんが、耳慣れない用語と思う方もいると思います。しかしながら,私たちは日常生活の中で自然とGISを活用しており,情報の多くが地理空間情報をもっているといわれています。
この本に関わった教員:鹿嶋 洋
本書は1967年に初版が刊行されたロングセラーテキストです。日本経済の実態を分析し将来展望を見出すには、経済学的な知見だけでなく地域的な考え方が不可欠であるとの認識から、地域経済の実態を動態的に明らかにすることが本書の当初からのねらいです。
この本に関わった教員:伊藤 正彦
110戸+α戸の戸数原則で組織された明朝国家の統一的人民編成=里甲制のもとで作製された賦役黄冊(戸籍兼租税・徭役台帳)と魚鱗図冊(土地台帳)。賦役黄冊・魚鱗図冊はすべての世界史の教科書に記述されていますが,一つの里(=図。図は里の別称)全体の賦役黄冊・魚鱗図冊の記載内容が残るのは,休寧県27都5図(現在の安徽省黄山市休寧県陳霞郷陳霞村)のみです。
この本に関わった教員:小林 晃
中国宋代(960~1279)は皇帝の権力が前代から飛躍的に増大し、のちの明清時代の皇帝の原型が形成された時代だとされてきました。確かに前半の北宋時代(960~1127)にはそうした状況が見えるのですが、後半の南宋時代(1127~1279)になると、一転して皇帝よりも宰相が強力に政治を主導する傾向も見られるようになります。なかでもとくに大きな権力を行使した4人の宰相を「専権宰相」といいます。従来は「専権宰相」を宋代史上の例外とすることで、宋代政治の前半と後半で見られた上記の矛盾を説明しようとしてきました。
この本に関わった教員:杉井 健
上天草市(かみあまくさし)姫戸町(ひめどまち)・龍ヶ岳町(りゅうがたけまち)は、熊本県の西部、天草諸島の上島(かみしま)東岸に位置する町で、八代(やつしろ)海(かい)に面しています。本書は、そうした姫戸町・龍ヶ岳町にある遺跡の分析を出発点にして、天草諸島における旧石器時代から古墳時代までの歴史をまとめたものです。
この本に関わった教員:稲葉 継陽
熊本大学永青文庫研究センターの研究成果です。センターの紹介ページをご参照ください。
この本に関わった教員:西槇 偉、坂元 昌樹
本書は「翻訳」をテーマとする論文集。日本比較文学会九州支部のメンバーが編集・執筆しました。「翻訳」は比較文学の重要なテーマです。たとえば、日本近代文学は翻訳を抜きに語れません。多くの作家は創作と同時に翻訳を行い、あるいは翻訳を通して外国文学を吸収したからです。本書はアジア諸地域における翻訳・翻案に目を向け、地域間の文学・文化の変容及び関わり合いを明らかにしようとするものです。
この本に関わった教員:西槇 偉
比較文学はどんな学問なのか。本書はこの問いに答えるものです。比較文化をも視野に収め、「国境や言語、ジャンルなど既存のボーダーラインを問う、文学・芸術・文化の研究」(本書)と定義される比較文学は、幅広さを特色とします。
この本に関わった教員:永尾 悟
本書は、1920年代から2010年代までのニューヨークを舞台にした小説と演劇についての研究論集です。ニューヨークは、アメリカおよび世界の経済圏の中心であり、多種多様な人々が自由や成功を夢見て集まる多文化都市です。本書は、10名のアメリカ作家の作品を取り上げ、劇的に変化していくこの街で生きる人々の諸相がいかに描かれているのかを論じています。私の論文は、1930年代のアフリカ系アメリカ人居住区ハーレムを舞台にした家族の物語を取り上げています。
この本に関わった教員:ケリー・ハンセン
本書は、アジアの若者向けの文学、映画、大衆メディアにおいて、成功がどのように表象されているかを様々な角度から考察した論文集です。収められた論考は、子供の成功が教育、家族、ジェンダー、人種、階級、コミュニティ、国家とどのように関係しているのかを分析しています。この本は、国際的な視点から子どもに関する研究を推進するシリーズ「児童文学・児童文化」の一冊です。
本書は、古代から現代にいたる、現実と空想の両方の種類の旅が、どのように語られてきたかを考察する論文集です。旅に関するさまざまな語りを分析することで、文化の境界を越えた旅の宗教的、心理的、教育的、歴史的意味合いが見えてきます。
この本に関わった教員:坂元 昌樹、永尾 悟、西槇 偉、トビアス・バウアー、濱田 明、ケリー・ハンセン、平野 順也、松岡 浩史、屋敷 信晴
文学部学附属漱石・八雲教育研究センターの研究成果です。センターの紹介ページをご参照ください。
この本に関わった教員:茂木 俊伸
日本語学会が主催する「中高生日本語研究コンテスト」は,中高生が取り組んだ日本語探究の成果を動画にまとめて発表するイベントです。本書は,同コンテストの解説本として日本語学会の創立80周年記念に出版されました。
ことばの実態を捉える材料とするために、書き言葉・話し言葉を大量に収集して検索できるようにしたデータを「コーパス(corpus)」と言います。本書は、コーパスを利用して日本語を分析する手法を解説したテキスト「コーパスで学ぶ日本語学」シリーズの「文法・音声」の巻です。
この本に関わった教員:井上 暁子
18世紀後半から120年余、周辺の列強諸国に分割統治されたポーランドは、20世紀に入ってからも多くの亡命者や移民を出した。本書は、伝統的な亡命文学研究で十分に論じられてこなかった、西独への移住者の文学作品や文化活動を取り上げ、社会主義末期の1980年代末からポーランドが欧州連合に加盟する2004年という時代性、ドイツ=ポーランド国境地帯という地域の固有性、経済移民に対するネガティヴなイメージの戦略的利用、という観点から論じている。巻末に作家インタビューつき。
この本に関わった教員:日高 愛子
飛鳥井家は、『新古今和歌集』の撰者の一人である飛鳥井雅経を始祖とし、歌と蹴鞠を家業とした公家です。本書は、歌道・蹴鞠道を通して、公家と武家、中央と地方を結ぶネットワークを構築した飛鳥井家の人々がどのように歌学を継承し、近代までその伝統を繋ぎとめようとしたのか、飛鳥井家流の歌学が形成された室町期から公家の歌学の伝統が終焉を迎える幕末明治期までの飛鳥井家の系譜を明らかにしたものです。
佐賀大学附属図書館小城鍋島文庫は、小城鍋島藩の歴代藩主のなかで伝えられた古典籍や歴史史料のコレクションです。本書は、そのなかに所蔵される和学手引き書『和学知辺草(わがくしるべぐさ)』を翻刻紹介したものです。小城藩の文芸サロンに身を置いていた「幽林舎散人」なる人物が著したもので、江戸時代後期にどのような和学や思想が地方に伝播していたのか、知ることができます。