『遺伝子の時代の倫理』(高橋隆雄編著)
目次
第1章 人間と遺伝子の接点 (中山 将)
はじめに
1 身体の構造
1)三つの階層
2)階層性の意義
2 生と生命
1)その始まり
2)先端医療の介入
3)さまざまな終わり
3 遺伝子の視点
1)DNAと階層構造
2)DNAと医療
4 知と技術と倫理
1)知と実践の連鎖
2)循環と上昇
5 人間と生
1)よい生
2)「よい」と普遍性
3)人間であること
第2章 出生前検査・診断−その背景とわが国での現状 (松田一郎)
はじめに
1 出生前検査・診断の背景
1)法的対応
2)胎児のパーソン論(人格論)
3)中絶と優生思想
4)中絶は障害者の否定につながるのか
5)出生前検査・診断は障害者の排除、発言力の脆弱化につながるのか
6)一般の人々の対応
2 出生前診断の現状
おわりに
第3章 「生命倫理」の課題としての「人の誕生」−出生前診断の問題から見えてくるもの (八幡英幸)
はじめに
1 「人の誕生」の意味
1)脳死論議から見た「人の死」
2)「人の誕生」の法律上、権利上の意味
3)「人の誕生」の個別的な意味
2 「人の誕生」をめぐる「生命倫理」
1)生命倫理の視点
2)義務論(義務を重視する倫理)
3)権利論(権利を重視する倫理)
4)目的論(目的を重視する倫理)
5)理論の相補性とその重層的な適用
第4章 遺伝子治療の現状−エイズ遺伝子治療の申請から中止まで (松下修三)
はじめに
1)遺伝子治療の定義
2)目的遺伝子の導入法と標的細胞
3)遺伝子治療の対象疾患
4)わが国の遺伝子治療の現状
1 HIVに対する遺伝子治療臨床研究の経過
2 臨床治験としての遺伝子治療
3 今後の遺伝子治療の位置づけ
おわりに
第5章 クローン技術 (中石裕子)
はじめに
1 クローン技術とは
2 クローン研究の歴史
1)生物学の流れ−「クローン」以前
2)「クローン技術」の歴史
3 クローン技術の現状−生物学から畜産業および製薬業へ
4 クローン技術の将来
1)人工臓器
2)遺伝子治療
おわりに
第6章 ヒト・クローン作製をめぐる倫理的諸問題 (高橋隆雄)
はじめに
1 ドリーの誕生に対する欧米、日本の対応
2 ヒト・クローン作製への否定論と肯定論
1)否定論の論拠
2)肯定論の論拠
3 ヒト・クローン作製への是非の基準はあるか
1)人間の尊厳の侵害
2)家族観の崩壊
3)医療の本来的利用と便宜的利用
4)社会の現状と価値観の把握の必要性
4 倫理学的問題の解決における調査の役割
討論
関係年表