高橋隆雄・中山將編『ケア論の射程』九州大学出版会

                    目次

序 章 ケア論の素描と本書の構成 (高橋隆雄)
   1ケア論の素描
    1)「ケア」について考える必要性
    2)クーラの神話
    3)ケア概念の展開
    4)現在の状況
    5)ケアの観点
   2本書の構成
第1章 ケアの本質構造―ハイデガーの寄与― (中山將)
   1構えとしてのケア
   2様態としてのケア
    1)ものとの関わり
    2)他人との関わり
   3他人へのケア
   4ケアの日常性
   5ケアの本来性
第2章 日本思想に見るケアの概念 (高橋隆雄)
     ―神の観念を中心として―
   1日本文化を理解するキーワード―ケアとの類似―
    1)ケアの概念
    2)タテ社会
    3)甘え
    4)母性原理
   2日本における神の観念
    1)本居宣長・大野晋・山折哲雄
    2)和辻哲郎
    3)ケアを求める神
   3日本的な霊の本性としてのケアへの要求
    1)死者の霊
    2)生者の場合
    3)神、死者の霊、生者の魂との関係
   4政治・宗教
    1)祭事と政事
    2)神仏習合
第3章 ケア、正義、自律とパターナリズム (中村直美)
   1ケアと正義
    1)女性の視点からの伝統的正義論への批判
    2)ケア対正義論争における二人の中心人物
       ―ギリガンとノディングス―
    3)ケアの倫理と正義の倫理との関係をどう捉えるか
    4)正義の倫理・ケアの倫理と個人の自律
   2ケアとパターナリズム
    1)ミルにおける自律尊重と反パターナリズムの思想
    2)パターナリズムの定式化―パターナリズムの特徴―
    3)パターナリズムとケアの関連性
    4)自律の尊重と本人のための干渉・介入のディレンマ
    5)ディレンマを解決する統合原理
第4章 終末期のケア (田口宏昭)
   1文化としての終末期
    1)人間の死の二面性
    2)世俗化のなかの終末期
   2癌と死のタブー
    1)死のタブー視と死の断片化
    2)パターナリズム
   3ホスピスにおけるケア
    1)ホスピスの起源と展開
    2)ホスピスとは何か
    3)ホスピスの目標
    4)ホスピスの二形式
   4終末期のコミュニケーション
    1)ケアとコミュニケーション
    2)ケアの担い手
    3)グリーフ・ケア
    4)ケアすることの意味
第五章 看護におけるケアの変遷と展望  (前田ひとみ)
   1一般的ケアと職業的ケアの違い
    1)職業としてのケアの必要性
    2)職業的ケアに求められるもの
   2医療における看護ケア
    1)医学の発達と看護ケア
    2)ケアとキュアに対する責務と看護ケア
   3看護における「ケア」概念の変遷
    1)ナイチンゲールの看護とケアの概念
    2)アメリカにおける「看護」と「ケア」概念の変遷
    3)日本の看護史と「ケア」概念
   4医療と福祉におけるケア
    1)介護福祉士と看護婦の歴史的背景
    2)「医学モデル」と「生活モデル」
    3)教育から見る「看護」と「介護」の相違
   5看護におけるケアの展望
    1)ケアの相互性
    2)ケアを職業とする人に求められるもの
    3)医療と福祉の協働によるケアの提供
第6章 高齢社会とケア―その倫理的側面― (嵯峨忠)
   1高齢社会と「ケア」の課題
    1)高齢社会の進展と「ケア」問題
    2)老熟の実存課題と「ケア」
    3)「ケア」の洗練課題
    4)「ケア領域」の拡がりと連携の課題
   2老年期と「セルフケア」の展望
    1)老賢・老健のイデーと老化廃失論
    2)ライフサイクルの視点
   3社会が老いに関わる相
    1)社会が老いに関わるとき
    2)現代における敬老と棄老の錯綜
    3)「ケアリング」(caring)が癒す生命、
       「ケアリング倫理」が回復する生命観の荒廃
    4)制度で支える
    5)地域再生とself-careの成就

付録
 高齢社会対策の大綱について(平成8年7月5日閣議決定)
関係年表 (中石裕子)

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