文学部通信18号
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 モノづくりに魅力を感じ、三菱電機のインターンシップに参加しました。工場の自動化に関する営業の同行体験とその振り返りを経て、東京本社での課題解決型グループワーク、という6日間の構成でした。 営業同行では、法人向け営業いわゆるBtoBビジネスに対するイメージを明確にできました。製品や企業の認知を目的としたアクションから、魅力の伝達や理解を深める説明会のような形態、さらにはマーケット情報や得意先の販売状況をもとにした戦略的な個別の提案活動など、営業と言っても目的や状況によって色々な手法があることを学びました。ただし、どのような形であれ、営業で最も重要なことは、顧客との信頼関係の構築と維持という手法を超えた目的である、と教えていただいたことが心に残っています。 本社でのグループワークは、様々な業務を体験した学生が全国各地から集まって行うもので、他のメンバーの異なる視点や知識が魅力的かつスリリング。私たちのグループは「三菱電機は今後どのように生き残れるか」というテーマのもとグループワークに取り組みましたが、限られた時間の中でアイデアをまとめ完成させる難しさを痛感しました。 このインターンシップの最大の収穫は、職業観をバージョンアップできたこと。お金を稼ぐことや、職場での自己実現や成長だけではなく、ビジネスを通じた社会貢献が可能だと知ったことです。一生をかけて取り組んでいくことに気付きを与えてくれた三菱電機の皆様と同期の学生に、ただただ感謝です。 2017年8月から約1年間、英国ダラム大学に留学しました。海外経験がほとんどなかったため当初は不安がありましたが、人生の支えとなる貴重な「知恵」を手に入れることができました。様々な国・地域出身の人との繋がりや、海外生活の要領、語学力など、得た知識や経験は数多くありますが、多様性を受け容れ、その中で自立できるようになったのが、最大の収穫です。 社会や文化的な背景の均質性が高い日本では、わざわざ言葉にしなくても意見や気持ちをくみ取ってもらえ集団としての考えが形成されていきますが、海外ではそうはいきません。「どうしたいか」を具体的に言葉に置き換えることが必要で、「どうしたら良いか」とアドバイスを求めても助けてくれませんし、授業のグループワークでも発言しなければ存在しないのと同じ、周りから声がかからなくなります。 多様性の受容と言えば、相手の長所を見つけるとか理解するなどと言われますが、見つけるとか理解するというのは自分の側からの一方的な判断にすぎません。判断する以前に、そこに「参加」することがまず必要で、参加して違和感をもったり反論を行いたかったりするなら、それを言葉にして行動に移すべきなのです。 知識とは、物事や状況に関して知っていること、つまり「情報」であるのに対して、知恵は、知識を活用して「判断」し「処理」する能力です。留学での経験をベースに、より知恵をもつ大人に成長していきたいです。 私は2017年の4月から1年間、ドイツへ留学し、森の幼稚園で実習を行いました。実習先の「ヴァルトツヴェルゲ森の幼稚園」は、約20名の2歳から6歳の子どもたちからなるグループが2つあり、各グループに2名の先生と1名の実習生が担当します。私は「星グループ」を主に担当しながら、先生方と意思疎通を図り、子どもたち全員が森の幼稚園を安心して楽しめる環境作りに取り組みました。森の幼稚園には、ブランコ等の既製の遊具が無く、カリキュラムもありません。森の中で子どもたちは自身の好奇心と想像力が赴くままに、主体的かつ創造的な遊びを展開します。遊びの際に我々が、注意を与えたり、一緒に遊んだりすることで、子どもたちが安全に自分のやりたいことに挑戦して、自立した人間へと成長する機会を保証します。イキイキと遊ぶ子どもたちが、四季の移ろいと共に変化していく森のように、逞しく成長していく姿に大きな感動を覚えました。 5月に「森の幼稚園全国フォーラム」に参加した私は、森の幼稚園をより深く理解するために、実習先以外の森の幼稚園を体験する決意をしました。幸運にも、2つの森の幼稚園で1週間ずつ実習させていただきました。また、「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」を利用していた私は、トビタテ生との繋がりから、デンマークの森の幼稚園を視察したり、スウェーデンの保育研修に参加したりする機会に恵まれました。留学中にドイツ国内外の様々な幼児教育を体験することで、森の幼稚園に対する視座を大きく高めることが出来ました。文学部通信 第18号7留学体験記留学体験記 はじめまして。2018年4月に総合人間学科の心理学研究室に着任しました安村明です。専門は認知神経科学と臨床発達心理学です。これまでは、主に小児を対象とした行動観察や脳機能計測を行ってまいりました。現在は、生涯発達の観点から、より幅広い年齢層の方々を対象とした研究を行っております。私たちの研究している心理学は、人の行動や思考を客観的に観察しようとする学問です。私は特に脳の働きに興味を持って研究を行っておりますが、研究をする度に人は本当に不思議な存在だなと思います。当研究室には、社会人や留学生を含めた多くの学生が在籍しており、研究や教育活動を通して心理を学ぶ楽しさを学生たちと共有できるのも日々の喜びです。 私の前任校は東京大学で、2018年3月までの15年間は都内で活動しておりましたが、出身地は山口県の周防大島で、福岡県にも6年間住んでおりました。これから、この緑豊かな伝統のある素晴らしい熊本大学で皆様と一緒に活動できるのは望外の喜びです。どうぞよろしくお願い申し上げます。■コミュニケーション情報学科 西岡 真彩 さん(3年)■コミュニケーション情報学科 仲村 麻衣 さん(4年)■文学科 小島 聖人 さん(4年)総合人間学科インターンシップに参加してインターンシップに参加して2018年度 新任教員の紹介2018年度 新任教員の紹介■ 安村 明 准教授▲ 九州支社から上京した同期の学生とのスナップ英国留学で手に入れたこと森の中で子どもを育てる「森の幼稚園」で、1年間のインターンシップ!▲ サークルのメンバーで旅行したアニック  城でのスナップ▲ ヴァルトツヴェルゲ森の幼稚園での朝の会にて(写真  中央の赤い上着の男性が私です)。写真右側の金髪と  黒髪の女性は、日本の歌を紹介する音楽会のために呼  んだトビタテ生です。

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