文学部通信18号
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 文学部 ~この1年~文学部 ~この1年~2019年3月1日発行   - 新たなスタートを目指して - 来年度、コミュニケーション情報学科は転換点を迎えます。04年4月にコースとしてスタートして以来、1学科1コースという教育・研究体制を維持してきましたが、4月から現代文化資源学という新コース1を開設し2コース制に移行する予定です。 また、英語で実施される教養科目や汎用スキルを養うための課外教育プログラムなど、一般の学部生とは異なる学習を行ってきたグローバルリーダーコース(GLC)2の学生が3年生になり本学科の専門課程に進級することで、学科の構造と学生の特性は多様化することになります。 教育の目的や育成人材像が大きく変更することはありませんが、多様化を学科全体のプラスに転化することが重要です。本年度の本学科は、多様化に対応した科目の充実、教育体制の増強など、学科運営面で色々な準備に追われた1年となりました。■ 就職状況は好調だが、今後は要対策 今年度卒業予定の36名の就職内定率は84.8%(19年1月末)ですが、3名が大学院や専門学校進学のため、進路決定率は93.9%です。時期がずれているため単純比較はできませんが、文部科学省と厚生労働省による10月1日付けの調査での大学(学部)内定率77.0%を上回っています3。 内定先の業界・業種としては、女性の比率が高いことから、金融(銀行・証券・保険)や流通やサービス業が多くなるのは他学科と同様ですが、情報通信関連や製造業(電器・機械・材料)が比較的多く、公務員・教員が少ないのが、本学科特有の傾向です。 ただし、06年度から12年度までの前半7年間と13年度以降の6年間を比べてみると、成長産業である情報通信や景気が戻ってきた不動産が増加しているのに対して、労働環境についてマイナス・イメージのあるマスコミや流通業は大きく減少するなど、変化が見られます4。 今後危惧されるのは、地元志向の強い女子学生の受け皿になってきた金融業の後退です。ITによる業務の自動化などを背景に昨年度以来採用人数を大幅に減らしており、この傾向は続く見込みです。売り手市場の現在では目立った影響はないものの、今後確実に影響が出てくると思われます。学生に対しては、社会で通用するスキルに加え、意識の面でも強く成長できる教育プログラムの提供に努めていきたいと考えています。■ 基礎スキル獲得と実践による人材育成 本学科の教育は、特定の専門領域の知識探求ではなく、言語運用力、情報・メディア運用力などの基礎スキルを用いて多様な専門知識を使いこなし、実社会の課題解決にあたる「プロジェクト型学習」を特徴としています。 言語運用力強化のためには、TOEIC5やIELTS6などの外部検定による実践的な英語運用能力強化に加え、海外での多様な実体験を通じたコミュニケーション能力の定着を重視しています。大学や学部間の協定に基づく交換留学制度を利用し、今年度は英・豪・米で5名が半年以上の海外経験を積んでおり、うち1名は「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」7の対象者に選抜されています。また、夏期休暇を利用して10名がアジアや東欧も含めた色々な国に短期留学を行いました。 プロジェクト型学習については、数年来の取り組み『スコラチエロ』8などのプログラムに加え、『大学生CSVビジネスアイデアコンテスト』『九州地域ブランドコンペティション』、ファッション・イベントと連携した授業、など学生主体の社会参加型の学びが目立ちました。 『大学生CSVビジネスアイデアコンテスト』では、社会的課題解決とビジネスの両立というテーマに挑み、酒造メーカーのギフト商品を考えた1チームが東京で行われた本選まで勝ち残り、入賞は逃したものの、高い評価を得ました9。 九州経済産業局主催の『九州地域ブランドコンペティション』では、2年生の学生3名が阿蘇郡小国町の杖立温泉を取材、同温泉のブランド・ストーリーや事業プランを考えPRを行い、昨年度に引き続き入賞を果たしています10。 19年4月開催の『TGC KUMAMOTO 2019 by TOKYO GIRLS COLLECTION』11と連携した授業のテーマは「ファッションによる地域創生」。ITを活用したベンチャー企業のCEOやエシカル・ファッション・プランナーでもあるモデルなど多彩な講師を迎え、地域創生の企画立案ワークショップを実施しました。 思い起こせば、本学科がスタートした頃の学生たちの合い言葉は「社会のスタメンになってやる」。教員の側も彼らの気概に応えようと10年以上にわたって考え、行動してきました。本学科の来年度のバージョンアップにぜひご期待ください。1. 現代文化資源学コースでは、アニメ、ポップミュージック、演劇、方言など「今ある有形・無形の文化」を対象に教育・研究を行います。2. GLCは、グロ-バル社会を生き抜く人材の育成を目指して、文学部・法学部・理学部・工学部の4学部横断型で設置されています。3. 10月時点での調査数値、10月から12月にかけて内定率は毎年10ポイント強アップします。例年同様であれば、全国平均の12月の内定率は85%程度と考えられます。4. 進路把握の難しい留学生および3月期以外の卒業生を除いた就職者368名(本学大学院修了3名を含む)が対象。5. 国際コミュニケーション英語能力テスト。「Non-Nativeとして十分にコミュニケーションできる」Aレベル(860点以上)を、今年度は4名がクリアしました。6. 英・豪・カナダ・ニュージーランドのほとんどの教育機関で受け入れられている英語検定で、米でも多くの大学が対応しています。7. 事前の研修やインターンが充実しているほか、企業の人材がメンターにつくなど、官民連携型でグローバル人材を育成するプロジェクトとして位置づけられています。8. イベントなどを通じて地元百貨店の顧客開拓・関係強化を行う、マーケティング知識・ノウハウ獲得を目指したプログラム。9. 全国から65件の応募があり、そのうち15件(チーム)が本選に進み、参加企業11社に対しアイデアを発表しました。10. 「ベストビジネスプラン賞」を受賞。特許庁との共催で昨年度に実施された前身イベント『九州地域ブランド総選挙』では「ベストブランドストーリー賞」を受賞しています。11. 『東京ガールズコレクションコレクション(TGC)』の「地域産業活性化プロジェクト」で、熊本市や地元企業が共催しています。6コミュニケーション情報学科▲ ブランドコンペティション表彰式でのスナップ▲ コース設置以来の就職内定先

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