文学部通信第15号
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2016年3月1日発行 研究推進・地域連携委員会 委員長 伊藤 正彦  2015年11月14日13:30~16:30に文学部1階A-3教室で第12回21世紀文学部フォーラムを開催しました。今回は,熊本大学文学部の教育研究内容を広く市民の方々に知っていただくことを目的に,「人文学の最前線」と題して2015年4月に着任された若手教員お二人にご自身の研究内容を講演していただきました。 寺本渉准教授は,「脳がつくる『リアル』な世界―心理学が紐解く知覚のしくみ―」と題して,認知心理学という学問の手法・特性を解説しました。講演は,聴衆自らが知覚の仕組みを追体験するもので,人間の知覚には意識や経験がいかに大きな役割を果たしているかを明快に説明するものでした。 安高啓明准教授は「幕藩体制国家における法の支配―『犯科帖』から永青文庫史料まで―」と題して,江戸時代の法と裁判の仕組みや永青文庫所蔵史料の意義などを解説しました。講演は,ご自身が収集された刑罰の図版なども活用され,熊本藩の司法制度の意義にも触れながら江戸時代の司法制度をリアルに説明するものでした。 参加者は30名余でしたが,お二人の講演はとても分かりやすく,聴衆の関心をひき,質問が途切れることはありませんでした。参加者からは,「これまでこうした市民向けの企画があることを知らなかったのは残念。来年もあるんですか」,「来年もまた来ます」といった声をいただき,大好評でした。 講演してくださった寺本・安高両先生,参加してくださった皆さんにこの場を借りてお礼申し上げるとともに,来年度以降,宣伝方法を工夫し,高校生なども参加しやすいようにしていきたいと考えています。 なお,前年度の21世紀文学部フォーラムの成果を井上暁子編『越境する世界文学』として9月に刊行しました。編集してくださった井上暁子准教授に感謝します。広報・情報化推進委員会 委員長 大野 龍浩  8月8日(土)はCampus Open Day。じつは、実施の責任者だった。この日のために、広報・情報化推進委員会は、数ヶ月かけてCampus Guide(「文学部案内」)を作成し、会場案内のリーフレットを用意する。また、模擬講義の講師を探し、当日の進行と役割分担を何度も確認する。各研究室は、所属学生の協力を得て、高校生の研究室訪問に備える。受付や会場整理の補助として学生アルバイトを雇う。前日には立て看板の設置位置を確認する。 4学科(総合人間、歴史、文、コミュ情)選出の委員や、担当事務、教員、学生が一丸となって、この一大イヴェントに備える感じ・・・。写真撮影のために各研究室を回ったが、学生たちや教員がそれぞれに趣向を凝らして高校生を歓待している様子は、ほほえましかった。  参加者は、高校生およそ1,300名。保護者、引率者、約190名。開催が土曜日だったうえ、好天に恵まれたせいか、模擬授業会場は例年以上の参加者であふれた。保護者説明会には、遠くタイ、秋田、東京、岐阜、愛知、徳島、広島、沖縄などからも参加が有り、座席が足りないほどであった。永青文庫研究センター長 稲葉 継陽   本年度は、永青文庫研究センターの宿願であった『熊本大学寄託永青文庫資料総目録』全4冊の刊行を実現することができた。 本目録は、2009年4月の本センター発足いらい継続してきた永青文庫資料の悉皆調査の成果を総括したもので、「歴史資料編」全3冊と、「総目録 文学・文芸・故実・芸能編/絵図・地図・指図編」1冊の、合計4冊からなる。収録資料の点数は、じつに57,000点に達し、織田信長の手紙等の古文書から熊本藩の行政記録、さらに明治初期の刊本にまで及ぶ。分厚い記録や大部な書籍の頁数もすべて調査した結果、資料の全紙数は288万枚を超えた。本目録は、永青文庫資料を基にした学際的・拠点的研究の組織化に積極的に活用されるとともに、永青文庫資料の一般閲覧の利便性を格段に向上させることになるだろう。なお本目録のデータは、2017年度にはweb上で検索機能付きで公開する予定である。 2015年11月1日から3日間、熊本大学附属図書館において第31回貴重資料展「細川家臣・道家家の幕藩初期と明治維新」を開催した。附属図書館に寄贈されたばかりの細川藩重臣家の古文書を、ひろく市民に公開することができた。 なお、2015年2月12日には、テレビ番組「くりぃむしちゅーの歴史新発見 信長59通の手紙を解読せよ」が日本テレビ系で全国放送された。この番組は、日本テレビにおける企画立案から放送まで3年もの時間を要し、本センターの研究活動をあらゆる年代層に向けて広く発信する役割を果たした。視聴率は関東地区(日本テレビ)12.8%、熊本地区(KKT)19.2%を記録した。 「熊本大学文学会」は、文学部の教育の充実と学術研究の促進、学生会員の修学環境の向上を目的とした活動を行う教員と学生による互助組織です。現在、文学部教授会所属教員のほぼ全員と約8割の学生の加入を得ています。本年度に行った事業は次のとおりです。1.文学部フォーラムなど文学部の事業へ支援 教員の研究成果を、地域社会に還元する21世紀文学部フォーラムや、教員や学生の間で点検するピア・レビュー開催のための経費として50万円を寄付しました。2.講演会や学術交流に対する支援日本倫理学会、社会経済史学会九州部会、熊本大学英文学会など学生の皆さんも参加できる7つの催しに対して計26万円を補助しました。学生の企画・運営による他大学学生との学術交流活動を支援するために「学生学術活動補助」を今年度より実施しています。今年度は考古学研究室と中国語中国文学研究室に計6万円を補助しました。この事業によって、学生主体の学術交流活動が今後活発になることを期待しています。3.図書整備費の支援教育と研究に必要な中・大型図書を充実させるために、今年度はコミュニケーション情報学科に25万円を補助しました。4.就職開拓に対する支援「学内就職講座」・「公務員試験対策講座」・「教員採用試験対策講座」の各講座につき、学生会員を対象に、1つの受講につきそれぞれ3000円の現金補助を行いました。5.研修旅行に対する補助研究室等が行う研修旅行への参加に対して、学生会員を対象に1人2000円を補助しました。6.進級記念品の贈呈2年次進級に際して2000円分、4年次進級に際しては卒業論文執筆用の図書費補助を目的に4000円分の図書カードを記念として学生会員に贈呈しました。7.学生専用複写機の利用法文棟内での学生専用コピー機の維持管理を行っています。カラーコピーについては大学周辺のコンビニエンス・ストアのものより安価です。設置場所は1階文学部図書室内の閲覧室です。ご利用ください。8.『文学部通信』の発行『文学部通信』の作成経費、保護者の皆さまへの発送作業とその経費を文学会が負担しています。9.卒業関連行事への補助  各研究室に計12万円の現金補助をしました。 これらの事業は、教員と学生の会員会費から、学生会員の皆さんに直接・間接に還元されるものです。未加入者におかれましては、ぜひともご加入をお願い致します。発 行:熊本大学文学部/熊本大学文学会編 集:熊本大学文学部 広報・情報化推進委員会 大野龍浩、大辻正晴、三澤純、植田均、石原明子ウェブサイト www.let.kumamoto-u.ac.jp文学部通信 第15号2016年3月1日8第12回21世紀文学部フォーラムの報告第12回21世紀文学部フォーラムの報告永青文庫研究センター活動報告平成27年度 オープンキャンパス永青文庫研究センター活動報告平成27年度 オープンキャンパス平成27年度 熊本大学文学会活動報告平成27年度 熊本大学文学会活動報告2015年度文学会常任理事 中川 順子 ▲ 永青文庫資料総目録完成の記者会見(2015年12月16日 熊本県庁)▲  安高准教授の講演▲  寺本准教授の講演

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