文学部通信第15号
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■コミュニケーション情報学科  西村 憲治さん(4年) 2015年2月末から同年11月末まで、オーストラリアのニューカッスルという町に留学してきました。シドニーと同じ州、といっても160kmほど北にある町です。熊本市から福岡の北九州市までぐらいの距離です。四季はあるものの、夏は熊本と違い蒸し暑くならず、しかし冬は熊本ほど寒くもなりません。東海岸沿いの雄大なビーチにも恵まれた町でした。太平洋から押し寄せる大きな波に何度も飲み込まれたことを思いだします。日本人にあの波は大き過ぎました。 留学中に意識していたことは「イエスマンであること」でした。留学以前の海外経験はなく、触れるものは初めてのものでした。「面白そう!」と、友人の誘いは笑顔で必ず受けました。本場風インドカレー(激辛)を食べさせられ、タイ古式マッサージ(激痛)に連れていかれることもあれば、ホームパーティーに呼んでもらいローカルの人々の暮らし方を教えてもらったことも。移民国家オーストラリアは世界中からの文化に触れることができます。周りの人に付いていった数だけ面白い経験ができました。 さて、表題のとおり私の「留学」は渡航前から始まりました。「受け入れ先のことを何も知らずに行くのは、失礼」――ゼミの先生にそう指摘され、現地の人々の暮らしやオーストラリア社会の課題についての事前学習を前年8月に始めました。とりわけ関心を引いたのが、多文化主義政策でした。多様な文化的背景を持つ国民に、「寛容」という価値観を共通して持たせなければいけない。矛盾が生じそうなこの政策を知ってから、渡航がさらに楽しみになりました。「あ、読んだとおりだ」。「あれ、これは本とは違うんだ」。現地で何かに触れるにつけ、事前に仕入れた知識が対象の理解をひとつ先まで進めてくれました。語学が主な目的の他の日本人留学生とは、見えていたものが違っていたはずです。帰国した今は、オーストラリアでの学校教育に見る「寛容」を題材にした卒業論文を執筆しているところです。現地で知り合った友人たちを対象とした質問紙調査および現地で使われる教科書分析を行います。現地を見てきた私にしか書けないものを書き上げることが目標です。 留学は安い買い物ではなく、現地での体験だけで元は取れません。交換留学なら現地で過ごせるのはたったの9か月ほど。実のあるものにするには、事前と事後の学習が大事だと感じます。私の留学もまだ終わっていません。オーストラリアでは他者への「寛容」を学びました。卒業論文、そして卒業後に待っている一生を通じ、「寛容」を体現できる人になり、現地で過ごした9ヶ月を「よい留学」にしていきます。 最後に、指導教員として公私ともにご助言くださる水元先生、1年生の頃から留学準備でお世話になっている平野先生、さまざまな形で激励をくれた家族・友人たちにこの場を借りてお礼を申し上げます。■総合人間学科       大田中 亮太さん(3年) 3年生に進級し、私は進路を大学院進学に定めたのですが、就職は公務員を希望しています。しかし、実際の仕事内容もほとんどわからず、ただ漠然と目標にしているだけであり「私は本当に公務員になりたいのか」という疑問を抱いていました。さらに周りの公務員志望の同級生たちの頑張る姿をみて、進学を決めたとはいえ就職に向けて何も準備をしていない自分に焦りも感じていました。そんな中で、夏休みの熊本市役所でのインターンシップに参加させていただけることになりました。 熊本市役所のインターンシップは、熊本市役所全体の仕事内容に関する2日間の説明会、その後希望した課での3日間の実習という日程で行われました。私は環境局の水保全課で実習を行い、熊本の地下水資源が、様々な啓発活動や市内各地での定期的な水質調査、植林活動などによって守られているということを学びました。また、昼食の時間などに職員の方々から他の部署での経験や公務員をしていてよかったことなど、課の仕事についてのみでなく公務員として働くということに関してもとても参考になるお話をうかがうことが出来ました。 実習を通し、私達熊本市民の生活は目に見える、見えざるに関わらず市役所の職員の方々の仕事に支えられているのだということを実感しました。実際に仕事内容を体験したり、職員の方の話をうかがったりすることによって当初抱いていた疑問や不安はなくなり、心から公務員を目指そうと思うようになりました。ひとまずは進学のための勉強に励むこととなりますが、今回のインターンシップでの経験は今後の就職活動に向けた大きな一歩となったと思います。■コミュニケーション情報学科 山村 陽貴さん(3年)  就職を意識し始めた3年の夏休み。私は、「働く楽しさ」を学ぶことができました。それが、今回参加させていただいた大学コンソーシアム主催のインターンシップでした。 私が参加したのは、熊本銀行のインターンシップです。銀行の役割・仕組みなど金融の基本を学ぶことを目的に、2日間の日程で参加しました。プログラムには、行員の方による講義、銀行業務の疑似体験、行内見学などが組み込まれており、2日間とはいえ、非常に充実した内容でした。適宜、マナー指導などもしてくださり、社会人としての準備を整えることもできました。 魅力的だったのは、講義やマナー指導などの学びだけではありません。銀行の雰囲気を肌で感じとれたことが、何よりも収穫でした。行内を見学し、行員の方と接することで、熊本銀行の「温かな社風」を肌で感じることができました。社内で、感謝の気持ちを共有するための「ありがとう伝言板」。通りかかったときに、気さくにあいさつを交わす「フレンドリーさ」など、実際にインターンシップに参加しなければ得られない経験をすることができました。「働いていて楽しそうだな」と率直に思えたことは、最大の収穫です。 今回のインターンシップを通じて、金融の基本を学び、今後の就職活動の参考にすることができました。そして何より、「働く楽しさ」を目の当たりにし、将来の自分を想像することができたのは、1番の喜びです。今回、インターンシップに協力して下さった熊本銀行、大学コンソーシアムの方々に感謝し、体験記とさせていただきます。 行く前も留学、帰ってからも留学。 リーズでの10ヶ月■コミュニケーション情報学科  永田  梢さん(4年) 私は2014年8月から2015年6月まで、イギリスのリーズ大学に交換留学生として派遣していただきました。私が留学を決めたのは、以前から英語を学ぶことが好きで、「もっと英語を話せるようになりたい」「一度海外で生活して自分の視野を広げたい」という思いがあったからです。初めての経験ばかりで楽しいことも大変なこともたくさんありましたが、リーズで過ごした約10ヶ月間は、私の人生においての大きな財産となりました。限られた紙幅で10ヶ月間の経験を語り尽くすことはもちろんできませんが、私が留学生活の中で感じたことをいくつかお伝えしようと思います。 大学の授業では主に心理学と東アジア文化について学びました。毎週の課題図書やディスカッションの準備などがとても大変で、はじめは授業についていくだけで精一杯でした。しかし授業の進み方に慣れ、自分の勉強のペースも掴めるようになると少しずつ内容が理解できるようになってとても嬉しかったです。リーズ大学の学生は学びたいという意識が高く、図書館に多くの学生が遅くまで残っている姿や、授業中に積極的に発言している姿を見てとても刺激を受けました。また、授業の内容に関してですが、どの授業でももちろんイギリス文化が根底にあって、様々な概念をイギリス文化の視点で学ぶのはとても興味深かったです。特に東アジア文化の授業では、西欧から見た東アジアを学ぶことで、今まで当たり前だと思っていたことを深く考えるようになり、新たな視点で自分の文化について考えることができるようにもなりました。 普段の生活について言えば、リーズは学生が多く他の街に比べて治安も悪くないので、とても住みやすい街でした。大きなショッピングセンターや様々なお店があつまる街の中心部、鉄道の駅、バスターミナル、博物館などが全て歩いて行ける範囲に集まっています。また、リーズ大学には様々な国からたくさんの留学生が集まります。そしてその様々な文化を持つ人々と出会うことができたというのがこの留学での大きな収穫でした。色々な人の考えに触れ、自分が知らず知らずのうちに当たり前だと思っていたことが当たり前でないことに気づき、自分のものの見方を広げることができたように思います。長期休暇にはヨーロッパの様々な国に行き、今までテレビや本でしか見たことのなかった風景を実際に見ることができました。同じヨーロッパでもそれぞれの国で少しずつ違う部分があり、本当に感動の連続でした。はじめは辛いと思うことの方が多かったのですが、日本では味わうことのできないたくさんの経験ができたので、留学して本当に良かったと思います。 今回の留学で、もっとああすればよかったと後悔の残る部分もたくさんありますが、その反省も含めて全てかけがえのない貴重な経験となりました。将来について悩んでいた時期でもあったので、様々な価値観と出会い今までとは違った視点で改めて自分を見つめ直すことができてよかったと感じています。多くの負担を掛けたにもかかわらず、留学することに賛成して支え続けてくれた家族や、お世話になった大学の先生、職員の方々、応援してくれた友人には本当に感謝しています。今回の経験が、自分の将来に役立つことはもちろんですが、留学を考えている方や海外での生活を考えている方の役に少しでも立てばいいなと思います。文学部通信 第15号7留学体験記インターンシップに参加して留学体験記インターンシップに参加して

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