文学部通信第15号
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文学部 ~この1年~文学部 ~この1年~総合人間学科■地域社会学   植木  萌さん(3年) この一年は、「鳥の目と虫の目」を実感できた年となりました。地域社会学研究室では、毎夏様々な地域でフィールドワークを行っています。今年度は佐賀大学と合同で、佐賀市富士町の調査を行いました。聞き取りの内容は、世帯構成等の基本的な情報だけでなく、他出した子との付き合いや、近所付き合い、地域での行事など多岐にわたります。一般に農村は「過疎」「限界集落」など負のイメージで語られることが多いですが、実際に地域に入り「虫の目」を用いて調査をしなければわからないことも多いと実感できました。 ゼミでは、互いに意見を出し議論しており、自分だけでは気づかなかった視点を獲得することができます。また、先生方の優しく時に厳しい指導、先輩方からの適切なアドバイスのもと、とても恵まれた環境で勉強することができています。 地域社会学研究室で学び、多くの場所で新たな人と出会いながら過ごしたこの1年間で、私自身大きく成長することができたのではないかと考えています。■認知心理学  松尾 百合子さん(3年) 現在、私は1、2年次に学習した基礎を生かし、人間の認知機能について学んでいます。今年度は積山先生に加え、新しく着任された寺本先生にもご指導いただきました。寺本先生のご専門である感覚・知覚について、多様な装置を使用しながら、実際に自らの体をもって学ぶ機会があり、新しく触れた分野へ興味を抱きました。また、今年度は認知心理学について、学内のみならず、学外でも学習することができました。一般の方々に五感による錯覚について体験型学習をしていただいたサイエンスカフェでは、参加者の方々の理解を促すと同時に、私自身の理解を深めることができました。ピアニカ演奏によって高齢者の方々の認知機能の向上を図ったピアニカ教室では、要因と効果の様々な可能性を考えながら参加することができました。 今後もご指導してくださる先生方、協力してくださる方々に感謝の気持ちを忘れず、研究を進めていきたいです。■民俗学     園田 千尋さん(4年) 民俗学研究室では、自分で設定したテーマに基づき聞き取りや文献を用いた調査を行い、ゼミで発表をしています。今年も卒業論文には、地域の祭りや伝承に関する研究から名前や結婚、トイレについての研究まで様々なテーマが揃いました。 この1年間、研究室配属前の2年生は民俗学を体感するため、フィールドワークを行い班で報告書を作りました。3年生は各自の関心を絞っていき、発表に向けての調査を個人で行います。4年生は就活や公務員試験の勉強とともに、卒業論文の執筆に励みました。私は地元の柑橘類生産をテーマにし、その歴史や抱えている課題について調べました。昔から身近にあった柑橘栽培ですが、なぜこの地区で始まったのだろう、という疑問から設定したテーマです。民俗学はこのように日常生活の小さな疑問を探求し意味あるものにできる学問だと思っています。 民俗学研究室は勉強をしている学生も多いですが、時にはたこやきパーティーや鍋をすることもあり、このメリハリのある環境で、充実した1年間を過ごすことができました。■文化人類学   妻瀬 娑季さん(4年) 私が所属するゼミでは、民族誌をはじめ様々な文献を読み先生と友人たちと議論を重ね、文化人類学の考え方を学びます。各自の研究対象は宗教観からサブカルチャーまで幅広く、フィールドは国内外を問いません。ゼミでは、文献読解の他にフィールドワークにも重点を置き活動しており、年間を通し様々なイベントを行っています。 そして今年度は、私を含め4年生は卒業論文を執筆しました。途中挫折しそうな時もありましたが、先生のご指導や友人のアドバイスのおかげで全員揃って提出することができました。また、ゼミではフォトエスノグラフィに挑戦しました。プロカメラマンの野中さんに指導を受けながら、一眼レフカメラの技術向上だけでなく、視点の感覚強化を目指し取り組みました。文化人類学の醍醐味は、様々な「視点」を学ぶことだと思います。現場のコンテクストを自分の目で感じ、記録するというこの作業は、文化人類学の魅力の一つではないでしょうか。 いつもアットホームな雰囲気の研究室で、様々な刺激を受けながら楽しく勉強することができ、視野が広がりました。この2年間を通し、私自身大きく成長することができたのではないかと思います。■社会学    池下 佳菜子さん(3年) 社会学履修モデルでは、人間活動やそれに関する社会についてであればどんなことでも自由にテーマとして研究することができます。例えば、日本とナショナリズムについて研究する学生もいれば、少女趣味や地元の商店街を研究対象とする学生もいます。各自で文献を読み卒業論文の執筆を進めるほか、毎週のゼミでは文献購読や順番に自分の研究の途中成果の発表を行っています。参加者みんなでそのテーマに対し活発に議論を行い、先生や先輩方はもちろん、友人たちの鋭い意見をもらうことができます。ゼミには、中国・韓国からの留学生もおり、独自の視点からの意見は参考になります。また、ゼミのメンバーで学期末には打ち上げをしたり、夏休みに阿蘇に遊びに行ったりとゼミの雰囲気は非常に和気あいあいとしています。ゼミに所属してからの一年間、様々な経験を通し今まで以上に学問の面白さを感じることができました。今年は卒論完成に向け、仲間とともに頑張りたいと思います。■地理空間学    眞鍋 奈々さん(3年) この1年間、地理空間学研究室では今年度卒業生は卒業論文の途中経過の報告、その他の学生は自分の関心のあるテーマの論文紹介をゼミで行ってきました。研究テーマは様々で、工業、農業、交通など各々の興味のある事例を地理学的視点から観察し、日々の生活に直結した研究を行っています。研究室には、留学生、留学を経験された先輩など様々な価値観を持った学生が所属しており、アットホームながらも、日々刺激をもらっています。 2月には3年次開講科目である地理調査実習において、天草郡苓北町を訪れる予定です。この実習では、地元の方々からお話を伺い、調査地域を地理的な視点から考察することが目的で、私自身大変楽しみにしております。 私は地理空間学研究室に所属してまだ1年足らずですが、元々大好きだった地理に触れる機会が増え、多くのことを吸収し、成長することができたと思います。来年度は学生生活の集大成である卒業論文に取り組み、興味のある分野について積極的に研究していきたいと思います。■倫理学      牛嶋 綾花さん(3年) 倫理学は、人間の行動の規範となる物事の道徳的な評価を理解しようとする学問です。倫理学履修モデルでは、ディスカッション形式や講義形式などの形態で授業が行われており、多様な倫理学の理論を学ぶことが出来ます。 私の所属するゼミでは、メタ倫理学と応用倫理学という分野が中心という名目ですが、興味のある議題があれば自由に研究することができます。私は、応用倫理学の分野の一つであるロボット倫理を研究しています。ロボットに関することに限らず、人間との違いを研究するために、感情や意識に関する論文を読んで理解を深めています。先生方からは、研究に必要な文献を薦めていただいたり、自分のレジュメを添削していただいたり、優しく的確なご指導を受けてきました。ゼミでは週ごとにレジュメ発表をしており、ゼミ生同士で活発な意見交換を行っています。自分の研究するものとは全く違う分野の発表を聞くことで、自分の研究分野にも新しい視点をもつことができました。この一年で、さまざまな議論をする機会があり、学生同士で倫理学の理解を深めることができ、とても有意義な時間を過ごせました。■認知哲学    方志 桃香さん(3年) 認知哲学履修モデルの学生は私を含めて2人で、最初は不安ばかりでした。が、先生方はいつも分かるまで熱心に指導してくださいます。そして少人数ゆえに演習の授業の質は非常に高く、なかでも課題研究はマンツーマン形式で非常に充実した授業です。 私は今期「感情の一人称権威」を研究題材にしました。初めは曖昧だったテーマも進めていくうちに少しずつ明確なものになってきました。自分や他者の心の状態について考えることは自分自身を知ることにもつながっています。研究していくなかで、自分も知らなかった自分の感情のことについて知ることも多く、普段から自分自身を内省して考える機会も増えました。 この一年、研究や授業で悩むこともありましたが、その度に先生方にサポートしていただきました。そして今はこの認知哲学履修モデルを選択して本当に良かったと思っています。一年後、納得のいく卒業論文を書くことができるよう日々研究を進めていきます。■芸術学     波呂 美里さん(3年) 芸術学研究室では、音楽や写真など、様々な分野から芸術に関することを幅広く学ぶことができました。演習では自分の関心のある写真家や音楽の発表をしたり、人前で演奏をするということの意味を考える実践型の授業もありました。 その中で最も印象深かったのは、子飼商店街で月に2回行われているコミュニティ音楽療法の実習です。この実習では、地域に根付き、開かれた音楽療法を目指し、準備や片づけ、セッションのサポートをしています。また、参加者の方々と四季折々の歌を一緒に歌ったり、歓談したりと、楽しみながらも、学ぶことが非常に多いことが魅力です。12月には、日ごろのセッションの成果を発表する、レトロコンサートをくすの木会館で実施しました。今年は例年に比べ研究室の学生が少なく、コンサートの企画、運営をするにあたって苦労することもありましたが、多くの人に支えていただき、参加者や見に来てくださった方々に喜んでもらえて嬉しかったです。貴重な体験をさせていただきました。文学部通信 第15号3

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