文学部案内2019年度
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文学科コミュニケーション情報学科は「連歌」を研究しています。連歌とは、和歌の上句(5・7・5)と下句(7・7)とを交互にくり返しながら、数人で寄り合って詠み進めてゆく文学です。著名な二条河原の落書に「この頃都に流行るもの・・・京鎌倉をこきまぜて、一座揃はぬえせ連歌」とうたわれたように、鎌倉末期から室町時代にかけて全国的、全階層的な大ブームを巻き起こしました。その連歌研究のなかでも、作品を読む(解釈する)ことに主眼を置いています。 大学での「読む」は、高校での「読む」を徹底させたものです。高校では、テキストは所与のものであり、それを古語辞典を用いて現代語訳できれば満点でした。しかし、大学では、なぜそのテキストを用いるのか(全国に多数の写本があるのに)、ある言葉の意味がそれに決定できる根拠は何か(辞書には多くの意味が掲載されているのに)、その言葉と次の言葉が繋がるのはなぜか(無数の言葉の中で、作者はなぜその言葉を選んだのか)といった、極めて基本的な、しかし絶対におろそかにできない疑問から出発します。簡単に言えば、そのテキストが生まれた現場にもう一度戻ろうとするのです。ということは、大学での「読む」は、所与のテキストを受動的に受け取るのではなく、むしろテキストに主体的に関与していく、非常に能動的な行為であるといえます。要は、古典を生かすも殺すもあなた次第、ですが何度無惨に砕かれても、その度毎に蘇るもののみが「古典」たり得るのです。私12文学科 東アジア言語文学コース竹島 一希 准教授連歌を中心とする日本中世文学 たちは、日本語を話すときであれ、英語を読んだり書いたりするときであれ、頭の中にある「辞書」を使います。この辞書は、比喩的に心内辞書(mental lexicon: メンタルレキシコン)と呼ばれます。私は、日本人英語学習者について、心内辞書内の英単語の結びつきは英語母語話者とどう異なるのか、また英語の学習を通して結びつきはどう変わっていくのか、といったことを研究してきました。 英語母語話者と日本人英語学習者(大学生)に、「次の50個の動詞を自分が考える意味のまとまりでグループに分けなさい。」という仕分け課題をやってもらいました。得られたデータについて、全ての単語ペア間の距離を計算しその頻度を比較したところ、startとbeginなどの結びつき度が高い単語の間では違いはありませんでした。しかし、makeとbringといった結びつき度が中程度の単語間では、母語話者の方が結びついているとする頻度が高いという結果になりました。まずは、結びつき度が中程度の単語間の「結びつき」の習得に、母語話者の心内辞書に近づくカギがありそうです。 今は、日本人英語学習者の英語心内辞書を「英語らしいもの」にするための、ウエブ上で取り組む学習プログラムを開発しています。そして、既に開発を終えたプログラムの効果を調べ、日本人英語学習者の英単語学習に役に立つ研究にしていきたいと考えながら取り組んでいます。私コミュニケーション情報学科 コミュニケーション情報学コース折田 充 教授第二言語学習者の語彙習得プロセス研究テーマ文学が生まれるときに立ち会う頭の中の英語辞書研究テーマ5354

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