慶田研究室ニュース

【水俣病・イベント報告1】ひとり芝居「天の魚」2018.2.19(月)19:00開演@熊本市 早川倉庫 / ボランティア&スタッフ&観覧者の感想

ご報告がだいぶ遅れましたが、2月19日(月) ひとり芝居「天の魚」熊本市公演が約120名の満員御礼にて無事終了いたしました!「天の魚」出前プロジェクトの川島さん、白木さん、久保田さん、会場の早川倉庫の皆様、そしてご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました!!
 
 
【水俣病・イベント報告2】ひとり芝居「天の魚」2018.2.19(月)19:00開演@熊本市 早川倉庫 / 写真ギャラリー1
 
【水俣病・イベント報告3】ひとり芝居「天の魚」2018.2.19(月)19:00開演@熊本市 早川倉庫 / 写真ギャラリー2:http://www.let.kumamoto-u.ac.jp/ihs/soc/anthropology/keida/2018/06/20182191900-2.html
 
 
当日午前中から「天の魚」出前プロジェクトの皆様と早川倉庫のご担当者、研究室メンバーで舞台の準備や最終的な段取りを行いました。午後には研究室以外のボランティア3名にも来てもらい、会場設営や受付を手伝ってもらいました。ボランティアの方が手際よく進めてくれたため、大変助かりました!ありがとうございました!
 
当日は非常に寒く雨も降っていましたが、18時30分開場後、続々とお集まりいただき、来場者は100名を超えました。
 
19時開演。ひとり演じられる川島さんを通して様々な情景が浮かび、水俣や「水俣病」について改めて知ることができました。
また、会場の早川倉庫が歴史ある木造の建物だったこともあり、会場のもつ独特の雰囲気と照明によって川島さん演じる「爺様」が効果的に強調されていたのが印象的でした。
 
上演後は、香室司会による川島さん・白木さん・久保田さんのトークも行われました。
 
今回のひとり芝居「天の魚」の開催では、楽しい部分も真剣に考えさせられる部分もありとても勉強になりました。裏方として、また観覧者としてこのような貴重なイベントに携わることができたことを本当に嬉しく思います。
 
最後に、開催にあたり電話等でお問合せいただいた方や当日ご来場いただいた方々の中には、十分にご対応できなかった部分も多々あったかと存じます。この場をお借りしてお詫び申し上げます。
そして、本研究室主催のイベントに興味を持ってくださりありがとうございました。(佐藤)
 
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ひとり芝居「天の魚」https://www.ten-no-iwo.com/
原作:石牟礼道子「苦海浄土」   
脚本:砂田明  脚色:川島宏知
出演:川島宏知  舞台監督・音響・照明:白木喜一郎
 
日時:2月19日(月)  18:30開場  19:00開演
場所:早川倉庫(熊本市中央区万町2丁目4)
主催:熊本大学大学院人文社会科学研究部(慶田研究室)/担当者:香室
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【ボランティア&スタッフ&観覧者 感想】

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(ボランティア 22歳女性)

一人芝居というものが初めてだったので、一体どのように演じられるのかとても興味がありました。リハーサルも見学できて嬉しかったです。芝居本番では途中泣かないよう堪える時もありました。ラストシーンが特に好きです。

プログラム後半のインタビュー中「重い食中毒も軽い食中毒も皆食中毒。水俣病も食中毒の一種ならば、同じく程度に拘わらず水俣病のはず」といった内容のお話があり、とても印象に残っています。水俣病について、書籍等の文書で伝えていくことはもちろん、こうして芝居という形で人一人の声と姿を残していくことも出来るのだと感銘を受けました。天の魚に関わることができてよかったです。ありがとうございました。

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(スタッフ 田口)

会場の暗さと照明の効果で一人芝居が際立って見えた。影が舞台の背面にきれいに映っていて演者の姿が強調されて迫力があった。前半のゆったりとした語りに対して、仮面を外した後はガラリと雰囲気が変わり驚いた。開場と開演の際に、多くの来場者から「再び見ることができて嬉しい」という声を聞いた。

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(観覧 29歳女性)

初めて「天の魚」をみて、シンプルな構成ながらとても印象に残るものとなりました。

ところどころ方言で分からない部分もありましたが、劇後の対談で方言でのこだわりをお聞きして、その言葉でしか伝わらない切なさや想いというものがあると感じました。

ひとり芝居ということでしたが、あねさん、孫の姿、家族、水俣の町を想像して、水俣病が人々の生活にどのような闇を落としていったのかを考えると胸が締め付けられる思いでした。ですが、辛い運命に翻弄されながらも、それを受け入れ真っ直ぐに生きて行く姿に生きる力を感じ、現代の私たちにも水俣病を通してまだまだ学ぶことは多くあるように考えました。

石牟礼道子さんの『苦海浄土』をまだ読んだことがなかったのですが、この劇に触れて読んでみたいと思いました。

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(観覧 25歳女性)

初めはお面が怖かった。あの目とぽかっと開いている口が怖かった。怖くて話が入ってこないだろうと思って、最初は顔を見ないで声だけ聞いていた。

でも、聞こえてくる声や方言が懐かしくて、安心できたので、顔を見ることにした。そしたらあの顔もかわいく思えてきた。あんなに口を開けてドライマウスにならないかなぁとか変なことを考えてしまった。

きっとあの口は、最後まで言いたいけど言えないことを言いたくて開けてるんだろう。それか、顔が硬直してしまったのかな。でもお面の下には本物の口があることはわかっていたので、お面と、おじいちゃんと二人いるような気がした。だから何でお面をつけてやっているのか本当はわからなかった。

お面を取ったら演じていた人はとても優しいお顔をしていたので良かった。

あの人のお顔でもう一回お芝居を観たいなぁと思った。

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(スタッフ 香室)

早川倉庫の雰囲気がお芝居と合っていて安心した。暗い空間に光が映え、あっという間の75分だった。前日の水俣より演者・観客共に舞台に集中していたように見えた。川島さんの存在が空間の隅々に満ちていたため、観客も自然と芝居の一部に溶け込めたのだろう。熊本市は水俣市に近いものの、「水俣病」の問題についてよく知られているとはいえない。私自身、熊本市に15年ほど住みながら水俣の問題を認識したのはここ数年のことである(慶田先生が関わられるようになってから)。知れば知るほど問題の複雑さや関わっている人々の熱量に圧倒される一方、なぜこの問題と自分がこれまで交差することがなかったのか疑問に思うこともある。熊大の授業でも習ったのに、自分の問題とは捉えていなかったのだろう。おそらく、ほかの授業と同じように「知識」のひとつとして受け取っていたからだと思う。でももし大学生の頃に「天の魚」を観ていれば、芸術的・感覚的な面白さや「なんだこの芝居は?」という全く違った入り口から私的関心を抱いていたに違いない。知識と感覚が結びつくことで対象への関心が喚起されることは、水俣病資料館で働く中でも実感していた。そう思い、今回、熊本公演の準備に参加した。

 

今回、役者が立っている場所だけではなく、観客を含めた空間全体がひとつの芝居を構成していた気がした。狭く座り心地の悪い椅子の上で固唾を吞みながら、私たちは自分たちの身体とその動きを意識せざるをえなかった。いつ息をしてよいか、身体を動かしてよいか。演じているのは川島さんなのに、不思議と自分の身体が晒されているような気がした。観客は芝居を単に「観た」というより、空間に参加し、経験することができたのではないか。その緊張感がよかった。

 

このことは、水俣公演で半永さんが発する声が会場に響いていたことで生まれた戸惑い、そして安堵とも通じるのかもしれない。演者の身体、芝居からイメージされる胎児性の男児の身体とあねさんの身体、そして自分の身体、水俣では半永さんの身体、それぞれの実存が意識され、近くに居ることが感じられ、それぞれ近しかったり遠かったりするのだが、偶然にも同じ空間に居る。そこから生まれるドラマがある。半永さんの姿と声は、舞台で演じられていた「お芝居」の現実を私たちに突きつける。半永さんは途中、休憩のために数回、会場の外へ出て入ってを繰り返したが、75分の公演を最後まで観覧した。彼がなぜ声を発したのか、何かを言いたかったのか、声の制御が難しかったのか、それはわからない。メチル水銀の破壊力はあまりに大きく、私たちはあまりに無力というような気にもなる。しかし、誰に同情されるまでもなく、半永さんはしっかり自分の人生を生きている。そのような半永さんの姿を見れたことも、「天の魚」がいわゆる前方の舞台だけで成り立っているのではない、観客を参加させる類の芝居であるからなのではないかと思う。

 

「水俣病」事件や水俣には多様な面白い人たちが関わっておりそれぞれが面白いことをしている。今回はひとり芝居「天の魚」の熊本市公演のお手伝いを通し、「水俣病」事件が起きたことで生じた人々の行動や感性の奥深さの一端を熊本の人たちに紹介することができた。芝居を観る=芝居に参加する、という経験と記憶が、お芝居を観てくれた人たちの今後の行動にきっと影響を与えることと思う。

 

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ひとり芝居「天の魚」https://www.ten-no-iwo.com/
原作:石牟礼道子「苦海浄土」   
脚本:砂田明  脚色:川島宏知
出演:川島宏知  舞台監督・音響・照明:白木喜一郎
 
日時:2月19日(月)  18:30開場  19:00開演
場所:早川倉庫(熊本市中央区万町2丁目4)
主催:熊本大学大学院人文社会科学研究部(慶田研究室)/担当者:香室
 
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