球磨郡錦町 四ツ塚古墳群
測量調査
(2021年度)
徒 然 な る ま ま に
測量調査
(2021年度)
徒 然 な る ま ま に
2021年11月21日(日) 第4日目(最終日)
最終日。
3泊4日の現場って、あっという間です。
今日は、午後から曇り、そして雨の予報でしたので、午後に再度、地上からの35oカメラによる古墳個々の写真撮影を試みることを計画しました。
曇っている方がいい写真になると考えたからです。
では、午前はどうするか。
人吉盆地とは、けわしい加久藤峠で隔てられているえびの盆地に足を伸ばすこととしました。
島内地下式横穴墓群のあるえびの盆地です。
人吉盆地のすぐ南に隣り合っているのに、古墳の様子はまったく異なっているので、学生たちにそのことを実感して欲しいと考えたのと、ちょうど、えびの市歴史民俗資料館で島内139号地下式横穴墓出土遺物展が開催されていたので、それを見学したいと考えました。
島内139号、やっぱりすごい遺物ですね。
とくに有機物の遺存状態のよさには感動します。
私にとっても、あらためて勉強になった展示だったのですが、学生たちも遺物の素晴らしさに感動していた様子。
古墳にもっともっと興味を持ってくれたらうれしいですね。
島内地下式横穴墓群の現地を見学したあと、すぐに人吉盆地へ引き返しました。
四ツ塚古墳群への帰り道、人吉クラフトパークに移築されている鬼塚古墳の石室を見学しました。
鬼塚古墳は人吉盆地では唯一の甲冑出土古墳であり、その埋葬施設の様子を知ることは、えびの盆地の古墳と比較・検討するうえでもとても重要だと思います。
下左の写真は島内139号地下式横穴墓の現地、右の写真は鬼塚古墳の石室です。


昼食後、午後1時半頃から、ちょうどうまく曇ってきたので、四ツ塚古墳群に残る3つの円墳それぞれについて、四周からの写真撮影を行いました。
また、あらためてドローンを飛行させ、古墳群全体について、これも四周からの写真を撮影しました。
下の写真ですが、左上が(仮)1号墳を西からみた様子、右上が(仮)2号墳を南からみた様子、左下が(仮)3号墳を東南からみた様子、右下が(仮)3号墳の墳頂から(仮)2・1号墳をながめた様子です。




そして、学生たちの提案で、ドローンを使っての自撮り。
自撮りをするなんて私は思いつかなかったのですが、やはり学生たちはスマホ世代ですね。
ちょっと世代差を感じた瞬間でした。
帰りの高速の途中で雨が降り始めましたが、本降りになる前に、大学に戻ることができました。
そして、器材を片付け、調査日誌を書いて、最後のミーティングを終えたのが午後5時過ぎ。
本当なら、打ち上げでもしたいところですが、コロナ禍ということもありグッと我慢で、解散となりました。
たったの4日間でしたが、学生たちとの泊まりの調査を行うことができ、私にとってはとても有意義な時間でした。
これまであまり接点のなかった2年生の様子を知ることもできましたし、文化財行政職への就職が決まっている4年生の成長も感じることができました。
通いの現場もいいですが、やっぱり、学生たちの人となりを知るには泊まりの現場に勝るものはありません。
何の気兼ねなく、合宿ができる日が戻ってくることを願ってやみません。


2021年11月20日(土) 第3日目
人吉盆地巡見の1日。
コースは以下の通り(写真番号は左から右、そして左下へと進みます)。
@錦町立人吉海軍航空基地資料館(にしき ひみつ基地ミュージアム):写真1〜3
A新深田遺跡(あさぎり町):写真4
B千人塚古墳群(水上村):写真5
C湯前まんが美術館:写真6
D赤坂古墳(多良木町):写真7〜8
E亀塚古墳群(錦町):写真9〜10
F京ヶ峰横穴群(錦町):写真11〜14














今日の巡見で、自分の無知を恥じたことがあります。
最後の2枚の写真(13・14枚目)でわかるでしょうか。
昨年の球磨川水害の被害が京ヶ峰横穴群のすぐ下にまで及んでいたのです。
知りませんでした。
これから教えを請わないといけないと思うのですが、現地に残された爪痕から推測すると、京ヶ峰横穴群のある崖面の直下まで水に襲われていたように思います。
写真には、くま川鉄道の球磨川第四橋梁が流されたあとが写っているのですが、この水害時、京ヶ峰横穴群にも危険が迫っていたと思われます。
球磨川水害の被害の大きさについて、あらためて思い知らされた夕方でした。
2021年11月19日(金) 第2日目
快晴。ほぼ無風。
天気に恵まれました。
とはいえ、事前にうかがってはいたのですが、朝からの霧はなかなかすごいものでした。
8時半ぐらいに宿を出たのですが、車のヘッドライトをつけていても前が真っ白で、運転にはとても気を遣いました。
このような濃霧のなかではドローンを飛ばせないので、まずは周辺の遺跡見学としました。
四ツ塚古墳群近くの才園古墳と鬼の釜古墳。
濃霧のなかに浮かぶ石室と墳丘。
濃霧のため、周辺の立地環境はよく分からなかったでしょうが、学生たちにとっては初めて訪問する古墳でしたから、興味深そうに写真を撮っている姿が印象的でした。
今度は自ら、もっと天気のいいときに訪れて欲しいと思います。
下左の写真が才園古墳の石室、下右が鬼の釜古墳の墳丘です。
濃霧で周囲が真っ白であることがよくわかるのではないでしょうか。


さて、現場の開始は、霧がおよそ晴れた10時頃。
昨日、試験飛行を行って、なぜか空中で静止してしまったドローン自動飛行撮影から開始しました。
飛ばす前は、本当にドキドキ、、、うまくいくのか、、、
でも、DJI GS PROを起動させた最初のところで、ドローンの仕様のためタイポイント(撮影箇所)99ポイントにてひとまず止まるので、続けて撮影したいときは継続撮影ができます、、、のような文言が表示されていることに初めて気付きました。
なんと!!
よくわからないけれど、小畑先生から借りたDJI Phantom3をGS PROで飛ばすときの仕様なのではないのか?
これまで幾度か試験飛行を行っていたのに、この注意表示に気付いていなかったなんて、、、
情けないかぎりです。
今回、この表示に気付いたおかげで、おそらく99回目の撮影ポイントでドローンはいったん静止姿勢をとるのだろうとの予想のもと飛行させることができました。
そしてやっぱり、99ポイント目で静止したのです。
予想していた出来事だったので、今回は、あわてず落ち着いて、その場所から再度自動撮影飛行をはじめるのだろうと考え、辛抱強く待つことができました。
これまでは、空中で静止してしまったことに驚いて、あわてて帰還させたりしていたので、うまくいっていなかったのです。
はたして、続けて撮影の指示を出して、しばらくじっと待っていると、100ポイント目から撮影を再開してくれました。
その瞬間は本当にうれしかったですねえ、、、
これ以降、あとはバッテリーの交換時にドローンへの命令が振り出しに戻ってしまわないかが心配だったのですが、それは杞憂で、バッテリー交換後ふたたびドローンを離陸させると、バッテリー交換で帰還させたポイントまで直行し、撮影を始めてくれました。
そんなことで、今日は、最初の飛行ミッションにおいて、古墳群全体の空中写真撮影を無事終えることができました。
自動飛行撮影終了後、ドキドキしながら、車のシートで撮影した300枚弱の写真をMetashapeに仮解析させると、すべての写真のアラインメントに成功!
これで何とかMetashapeに等高線を描かせるところまではできると思います。
あとは、研究室に戻ってからの仕事です。
古墳群全体の空中からの俯瞰写真撮影を終えたあと、今度は、DJI Mini2を操作して、3つの円墳それぞれについて、少し詳細な写真撮影を行いました。
真上からだけではなく、斜めからも、横からも。
うまくいけば、個々の古墳についても何らかの分析が行えるかもしれません。
ところで、弥生時代終末〜古墳時代初頭の墳丘墓が検出された本目遺跡と、今回我々が調査を行っている四ツ塚古墳群は同じ台地のごく近くに立地しています。
不覚にも、今日の濃霧の朝に本目遺跡に行ってみるまで、そのことに気付いていませんでした。
本目遺跡はあさぎり町、四ツ塚古墳群は錦町に所在していて、それぞれの遺跡が立地する行政単位が異なっているので、この2つの遺跡は遠くに離れていると思い込んでいたのです。
不覚ですね、、、
でも、このことに今回気付けたことは幸いでした。
そして、本目遺跡と四ツ塚古墳群が近接している状況を、ぜひ写真におさめたいと考えました。
そこで、四ツ塚古墳群でのドローン撮影が終わったあと、本目遺跡に行って、そこからのドローン撮影を試みました。
本目遺跡と四ツ塚古墳群が画角に入った、なかなかいい写真が撮れたように思います。
ドローンさまさまです。
現場では、学生たちに、3基の古墳それぞれの最高点の位置とレベルを計測してもらいました。
事前に空中写真から等高線を描くことを試していたのですが、墳丘のもっとも高い地点の位置とレベルが示されないのでは、と考えたからです。
本当はパソコン上でも最高点の位置などが明示されるのかもしれないのですが、私は十分に理解できていないので、現地で実際に計測しておくことに越したことはないと判断しました。
そんなこんなで、天気に恵まれたこともあって、昨日・今日の2日間で、予定していたほぼすべての作業を終えることができました。
あまりに天気がよすぎて、古墳個々の地上からの写真、つまり35oカメラでの写真は、あまりいい出来ではないのですが、、、
さて、明日は、人吉盆地の古墳や遺跡、資料館を見学するつもりです。
四ツ塚古墳群の歴史的意義を考えるうえでは、重要な巡見になると思います。
なお、下左の写真は本目遺跡上空から四ツ塚古墳群の方向を望んだ様子で、本目遺跡は左下、四ツ塚古墳群は右上に写っています。
下右の写真は(仮)2号墳で最高点計測をする学生たちです。
頑張ってくれています。


2021年11月18日(木) 第1日目

今、錦町内の民宿「のなかだ」の一部屋。
ミーティング後、学生たち3名と一緒にいます。
午後9時前です。
今日から、錦町にある四ツ塚古墳群の測量調査に来ています。
右写真は、その四ツ塚古墳群を南からみた様子。
もっとも手前に(仮)1号墳が写っています。
古墳個々の正式名称(号数)はまだ付されていません。
調査は、私と学部4年生1名、2年生2名の総勢4名にて、3泊4日の予定。
コロナ禍なので、大人数での泊まりの調査なんてできません。
この調査も、最近ようやくコロナが落ち着いてきたので、少人数、短期間でということで、何とか実現できたという次第。
教育においても、また研究推進のうえでも、まだまだ難しい状況が続いています。
それにしても、泊まりの調査なんて、2019年の夏以来だから、およそ2年数ヶ月ぶりで、なんだかとっても変な感じです。
現場でも、もちろん宿舎の部屋でもマスクをしていて、とっても今風な感じの、なんだか心ここにあらずって感じの雰囲気、、、
私の気のせい??
今回は、大人数で長期に宿泊することはできませんので、ドローンを飛ばして、ドローンから撮影した写真を使って円墳3基の測量図作成を試みるつもりです。
はたして、うまくいくのか??
まったく経験のない作業ですから、とっても不安なスタート、初日となっています。
今日の夕方、ドローンの試験飛行を行ったのですが、以前、岩原双子塚古墳で行ったときと同様に、自動撮影の途中でドローンが静止してしまい、あれっ?、といったん帰還させるハメとなりました。
静止の原因は??
それが分らないまま、明日の本番の飛行にのぞまないといけないので、今は本当に不安いっぱいの夜を過ごしています。
とはいえ、今日の作業は順調に進みました。
既設の基準点や水準点から測量範囲周辺に新たな基準点(対空標識)を設置する作業で、これは勝手知ったる作業なので、すこぶる順調に進みました。
2年生を指導する4年生、西君の力量が発揮されたのかな?
さて、明日、ドローンでの本番の撮影です。
朝、霧が晴れたら、いよいよドローンでの調査の初体験となります。
何とかうまくいってくれることを祈っています。