熊本県阿蘇市 平原古墳群
南尾根グループ6・3号墳発掘調査
北尾根グループ8号墳測量調査
(2019年度)
徒 然 な る ま ま に
南尾根グループ6・3号墳発掘調査
北尾根グループ8号墳測量調査
(2019年度)
徒 然 な る ま ま に
2019年9月13日(金) 24日目

朝7時過ぎより、いつも通りの朝食。
食後すぐに、宿舎の片付け・清掃と、器材のトラックへの積み込みなどの撤収作業を開始。
そして、午前10時前には、すべての作業が終了しました。
ちょうどその時間、レンタル布団の引き取りのため、業者さんが来て下さいました(グッドタイミング!)。
また、区長さんや地区の会計さんによる公民館のチェック。
そして、公民館使用料、および壁の修理費の支払い。
最後に、公民館前で、区長さんたちと一緒にみんなで記念撮影。
そして、午前10時30分頃、24日間お世話になった山田地区公民館をあとにしました。
大学のトラック1台、レンタカー3台、学生の車2台での大移動。
いまだ国道57号線が不通のため、ミルクロード経由で一路、熊本大学へ、、、
途中、給油をしていた数台が遅れましたが、午後12時半頃には器材をトラックから降ろし、軽めの昼食を挟んで、器材の片付けをはじめました。
片付けの最中、写真用暗幕に用いているシーツを、布団と一緒にレンタル業者さんに引き渡していたことが判明し、慌てて、私がレンタル業者さんの店舗まで暗幕用シーツ4枚を引き取りに行くという、ちょっとしたハプニングはありましたが、何とか午後2時半頃には、一通りの片付け作業が終わりました。
そして、最後の調査日誌を書いたのち、それぞれ帰宅の途につきました。
とにもかくにも、みなが無事に帰って来られたことにホッとしました。
とくに車の運転が心配でしたし、また、現場の終盤には体調を崩す学生が数人いたので、何事もなくみなが大学に到着できたことにホッと胸をなで下ろしました。
そして、夜6時から、いつもの喜臨門で、打ち上げ。
打ち上げとといっても、かつてのようにムチャ飲みする学生はいません。
穏やかに、和やかに、談笑が続く3時間でした。
さて、24日間の今年度の発掘調査実習が終わりました。
昨年度までの4年間の対馬での調査は、長くても2週間ほどでしたし、また宿泊も青年の家を利用していて、食事等の生活面の気遣いはそれほど必要がなかったようなので、今年度の公民館でのプライベート空間のない集団生活、朝昼夜の3食の完全自炊には、昨年度の調査を経験している3年生以上は戸惑ったかもしれません。
とはいえ、1ヶ月程度の合宿による調査を実施している大学は他にも多々ありますし、今年度の24日間というのは、これまでの平原古墳群の調査ではもっとも短い調査期間となっています。
私個人としては、とくに将来、文化財行政職を目指している学生には、この程度で音を上げて欲しくはないなあ、、、そんな気持ちでいます。
いまどきの学生たちにはちょっとつらい経験かもしれませんが、でも、そうした滅多にない経験から何かをつかんでいてくれていれば、とてもうれしく思います。
この4年間、毎年、測量調査を行っていたとはいえ、私にとっても、実習発掘調査は5年ぶりでしたから、当初は少し戸惑うことがありました。
でも、学生の頃から数えると、このような合宿による発掘調査を35年ほど続けていますので、そうした戸惑いもすぐに解消。
合宿による集団生活を過ごすなか、学生それぞれの気質、性格もよく見えてきて、やはり、同じ釜の飯を食うことは、教育において相当に有効だなあと、あらためて実感した次第です。
大学では頼りがないと思っていたけれど、意外としっかりしていて、テキパキと行動していたり、
あるいは、他人の行動がよく見えていて、とても気遣いができるなあと感じる学生、
さらには、リーダーシップを発揮していて、こうした遺跡調査に向いているなあと思わせる学生もいたり、
その逆に、疲れからでしょうが、ダラダラしているところが垣間見えて少々寂しく思うこともあったりして、
そのような感じで、学生それぞれの様子を如実に感じ取ることができたように思います。
ひるがえって、学生たちも私の様子をさまざまに感じ取っていることだと思います。
そういったメンバーで、今年度の後期、発掘調査報告書を作成することになります。
この数年、熊大の報告書の作り方がとても雑になっていると感じているので、率直に言えば、報告書の本としての質が落ちていると感じているので、今年は、きちんとした本作りを学生たちに伝えたいと思っています。
これがなかなか大変で、そのため、ここ数年は教員の関わり方が少なかったようにも思われますので、とても時間と労力のかかることですが、今年はさまざまに気を配りたいと思っています。
2019年9月12日(木) 23日目


3日連続の雨降らず!
また、適当に曇ってくれて、写真にもそれほどの苦労はない1日。
今日の現場作業は、少数精鋭。
8号墳では、最後のエリアで、傾斜変換線の確認、およびその図化作業。
11時頃には終わっていたようで、そのあと、3号墳トレンチの基準杭−3W1と3W2−のレベル計測を行ってもらいました。
これ以外は、撤収作業に徹しました。
大半の人員を宿舎に残し、現場器材の洗浄、そして宿舎として借りている公民館の清掃。
現場器材では、ブルーシートの洗浄が難関かと思っていましたが、思いのほか順調にすべての洗浄作業が進んでいたようで(私はみていませんが、、、)、夕方にはほぼすべての洗浄を終えることができたようです。
私は、8号墳の器材を現場から宿舎に運んだり、阿蘇市教育委員会からお借りしていた一輪車3台の返却に行ったり、また写真用暗幕に用いているシーツ4枚のコインランドリーでの洗濯・乾燥に行ったり、午前中は、行ったり来たりのバタバタした時間を過ごしました。
午後は、北尾根グループ・8号墳の全景写真撮影を行う学生と行動を共にしました。
大学院生とはいえ、まだまだフィルムカメラには不慣れですので、撮影担当の学生の様子をチェックしながら、合間合間にアドバイス。
写真撮影は午後4時までに無事に終わりました。
写真撮影時の特記事項としては、8号墳墳丘の南東側下方で須恵器甕の破片を表採。
この破片が8号墳にともなうものとすれば、南尾根グループの6・3号墳よりも少し時期が新しくなります。
どのように評価できるのでしょうか?
整理作業時の大きな課題の1つとなりそうです。
当初の予定通り、明日13日に撤収します。
無事に、大学にたどり着くことができるよう、最後まで気を抜かず細心の注意を払いたいと思います。
上写真の左は、南尾根・6号墳から北尾根・8号墳への道。その斜面、、、
右は、8号墳を西からみたところ。中央に写っている学生の大きさと比べれば、8号墳の大きさを少しは感じていただけるのではないでしょうか?
2019年9月11日(水) 22日目


1日中、作業ができました。
昨日・今日の晴れは大きい!
思いのほか進行が早く、昨日は14日の撤収と考えていましたが、今日の夕方、13日の撤収に変更。
撤収日が二転三転して、山田地区の区長さんや布団レンタルの業者さんには、少しご迷惑をおかけしましたが、何とか、13日の撤収で関係各所の了解を得ることができました。
お尻を切りましたので、明日・明後日の2日間、実質は明日のみなのですが、何とか現場作業、そして撤収作業をすべて終えるよう、力を尽くしたいと思います。
ところで、上写真の左は、埋め戻し後の6号墳トレンチ。
きれいに落ち葉によってカムフラージュされていて、とてもうまく埋まっていると思います。
上右の写真は、JR宮地駅と肥後大津駅を結ぶ連絡バス。
熊本地震のため、いまだ阿蘇駅と肥後大津駅とのあいだが不通のままなので、JRが連絡バスを走らせています。
今日、私は宮地駅6時45分発の連絡バスに乗っていったん大学に戻り、公用車のトラックを借りてきました。
大学には8時半頃に到着。
11時には阿蘇に戻って、現場作業に合流しました。
昨日・今日と、埋め戻し作業にも加わって、とてもいい汗をかいています。
2019年9月10日(火) 21日目


3日ぶりに雨に降られず!
天気の心配をせずに、1日中、作業をすることができました。
午後6時までの残業、、、
今日で一気に進んだような気がします。
夜のミーティングでかなり急かしたこともあるでしょうが、学生たちの底力をみた気がしました。
6号墳では、埋め戻しがほぼ終了。上の写真はその埋め戻しの様子。私と学生5人にて、午後3時からの3時間で埋め戻しを終えることができました。
3号墳では、土層断面図の線引きまでは終了。あとは、図のチェックと注記、そして最終掘り下げ面での全景撮影。埋め戻し。
8号墳でも、測量済みの範囲が墳端(推定)にまで到達し、あとは、どこまで測量して図を完結させるのかの判断のみとなっています。
かなり先が読める状況となってきたこともあり、完全撤収日を14日としました。
今朝も、撤収日について、物品をレンタルしている各所に電話で相談していましたが、明日、関係各所に正式に連絡したいと思います。
ところで、今日の3号墳では、ほぼ完形で出土した土師器壺の取り上げを行いました。
現場で完形品を掘ったのは初めて、とうれしげに語る学生たちの様子をみて、結構キツい現場だったようですが、少しは報われたかな?、なんて思った次第。
現場もあと4日。
無事に終えることができるよう、最後まで気を引き締めたいと思っています。
2019年9月9日(月) 20日目
公民館をお借りしている山田地区の方々との懇親会。
午後7時から9時。
現場は午後5時の定時に終了。
宿舎には、早めに温泉を済ませた夕食当番の学生2名を残し、彼らに地区の奥様方との食事準備をまかせて、現場に出ていた学生たちは急いで温泉へ。
そして、いつも男子部屋として、またミーティング部屋として利用している部屋にて、懇親会。
おにぎり、豚汁、唐揚げ、サラダ、高菜、白玉入りお汁粉、そしてお酒、焼酎、、、
地区のご年配の方々との懇談を、学生たちが素直に行っている姿をみて、なかなかやるじゃない!と思い、また、学生たちのたくましさ、社交性の高さを感じた次第。
私も、かつての区長、太田黒さんや市原さん、市議会議長さんたちに、どんどんと焼酎をつがれて、いい気分になっていましたが、その横目に学生たちの様子をうかがいながら、この現場は、地区の方々に支えられてこその現場だなあ、、、とあらためて感じた次第。
本当に、山田地区の方々に感謝です。
さて、現場。
また雨。
午後1時から4時まで、待機。
終了日と現場作業の進行をにらみながら、なかなか、厳しい状況になってきていることを感じています。
学生たちの実測のスピード。
急かしてももどうしようもないのですが、でも、どうしても急かしてしまいます。
私が描けば、数分の一の時間で終わるのにと思いながら、でも、実習調査でもあるので、グッと我慢の現在です。
実質、現場での実測が初めての学生もいるので、その辺、成長を期待しながら、でも、気がせく時間を過ごしています。
2019年9月8日(日) 19日目


午後3時頃から降雨、、、1時間ほど待機、、、
この3日ほどは雨に降られることなく作業ができていましたが、今日はかなり濡れてしまいました。
雨に打たれると疲れますね、、、
さて、現場もいよいよ佳境。
13日ないし14日に撤収することができそうな、そんな状況です。
6号墳トレンチの実測は、ほぼ明日でメドが付きそうです。
3号墳トレンチは明日午前に割り付け、午後から実測開始の予定。
8号墳の測量ですが、明日には最下段の平坦面に到達しそうです。
でも、現場作業が終わったとしても、現場器材の洗浄という、相当大変な仕事が待っています。
それにどの程度の人員を割くことができるのか、、、
それにより、撤収日が決まることになりそうです。
上写真の左は、3号墳トレンチの全景、右は、出土した壺のアップです。
2019年9月7日(土) 18日目


3日連続、雨降らず、今日も1日、作業を実施。
今日の午前は、地域に向けた現地説明会。
参加者は7名と少なかったけれど、学生のつたない説明にも熱心に耳を傾けてくださいました。
現場作業が進まず、まだまだやるべき仕事があり、でも残り日数が少なくなっての開催でしたが、参加してくださった地域の方々のお姿をみていると、どんなに現場が切羽詰まっていても、また小規模な調査であったとしても、現説は行うべきであるとの思いを強くしました。
上左の写真が、その現説風景。
フィールドマスターが土層について説明しています。
6号墳では実測作業、8号墳では測量作業が、淡々と行われています。
ところで、今日の夕食、6号墳地権者の佐伯朋史さんご夫妻から、手作りピザ6枚の差し入れがありました。
毎回毎回、本当にありがたいと思っています。
上右の写真は、そのピザをカットする男子学生。
みんなでおいしくいただきました。
この現場、本当に、地域の方々のご厚意に支えられているなあと実感しています。
2019年9月6日(金) 17日目


今日も1日中、作業ができました。
午前8時半から午後6時半頃まで。
2日連続の皆勤は、この現場ではじめて。
心地よい疲れのいま、午後10時半です。
とても眠い、、、
今日の現場作業。
8号墳では、測量の続き。
図化済みのレベルが、墳端のレベルに近づいています。
6号墳では、昨日の夕方に開始したトレンチ実測の続き。
今日では、終了しませんでした。
3号墳では、土層の精査・検討。
今日でほぼ、現段階での見解を土層の線引きに表しました。
現段階で、もっとも合理的に説明できると思われる解釈にもとづいて線引きしたつもりです。
とはいえ、この土層解釈で正しいのかどうか、あまり自信がありません。
後世の埋土と思われるが掘りきれていない箇所の検証も含め、今回の分層、土層解釈が正しいのかどうか、これについては、次年度以降の調査において、新たに設定するはずのトレンチの様子も加味して検討することになりそうです。
とても眠いので、今日はこれくらいで、、、
上左の写真は、3号墳の土層断面(北壁)、上右の写真は、3号墳トレンチで検出されている土師器壺と石材です。
2019年9月5日(木) 16日目


今日は晴れ。
久しぶりの晴れ。
1日中、現場作業ができました。
午前8時過ぎから午後6時過ぎまで、みっちりと、、、
やはり、雨に降られないのは、本当にうれしい。
ただ、現場も休みなしで、今日で15日目。
私も、少々お疲れ気味。
昨晩は、なかなか寝付けず、種々思いをめぐらしていると、午前2時半頃になっていて、そのせいもあって、今、いっそうの疲れを感じているのかもしれません。
学生たちも疲れている様子。
彼ら、彼女らの様子にも十分気をつけながら、あと約1週間。
頑張りたいと思います。
さて、本日、6号墳では、トレンチ実測のための割り付け作業。
その終了後、午後3時過ぎから、平面図、土層断面図の作成作業に移行しました。
上左の写真が、その様子。
まだまだ、実測には不慣れな、手慣れない3年生が多いので、実測スピードにはある程度目をつむらなければなりません。
でも、線の稚拙さには、今日、注意を与えてしまいました。
3号墳トレンチでも、写真撮影や土層断面検討に先行して、平面の割り付け作業を行いました。
8号墳の測量にも使用しているトータルステーションを用いての割り付け作業ですので、8号墳の測量の進行になるべく影響を与えないため、6号墳に合わせて、3号墳も一気に平面割り付けを行った次第。
3号墳では、明日、土層断面の検討、そして写真撮影を行うことができれば、御の字です。
8号墳の測量はかなり進んでいます(上右がその測量風景です)。
見た目でも大きな円墳ですが、図にしてみると、その大きさに驚かされます。
直径50mを超えるのは確実です。
墳端をどこに認識するのか。
その辺の検討を通じて、その規模の推定ができればと思っています。
どのくらいの大きさになるのでしょうか??
週末にかけて、また雨の予報が出されています。
はずれて欲しいと心から願っています、、、
2019年9月4日(水) 15日目

今日も雨に降られ、午後4時過ぎに撤収、、、
1日中、落ち着いて作業に集中したいのですが、雷が近づき、とてもよく当るスマホ・アプリの降雨予想時間が近づくと、やはりどうしてもトレンチにシートをかけ、器材をなおして、テントの下に避難することになります。
そのスマホ・アプリを駆使している3年生がいて、彼の降雨予報がとてもよく当るので(今日も、3時半頃に雨が降ります、また4時過ぎに危ない雲が来ます、との予報がみごと的中)、彼の予報も参考にしながら、なるべく学生たちが雨に打たれないようにしています。
でも、今日は、土砂降りのなかの撤収になってしまいましたが、、、
さて、右写真の3号墳トレンチ。
昨日、小型丸底壺が検出され、幾人かの卒業生に写真を送って意見を聞いたところ、古墳時代中期中葉から後葉という従来からの3号墳の時期想定に矛盾しないとのことで、この壺は3号墳に伴う可能性がきわめて高いと思われます。
ですので、この壺が出土した土層に細心の注意を払いつつ、墳丘面の確定のため、トレンチの断面と半日、にらめっこしていたのですが、なかなか難しく、今日のうちには結論に達することができませんでした。
トレンチは東西方向に設定していますが、その北壁と南壁で、なかなか分層の所見が一致してこないのです、、、
墳丘盛土の様子、および地山の様子は、ほぼこれだと考えるところがあるのですが、その上位に堆積した流出土と地山の境界が、きわめてよく似た土質のため、なかなか線引きができない、、、
でも、土師器等が出土している上位の流出土と、下位の地山が、必ず分離できるはずなのですが、その境がなかなかみえない、、、
真っ黒な土は、本当に難しい、、、と、あらためて実感しています。
でも、明日には、何らかの結論に至りたいと思っています。
そしてその検証は、次年度以降に同じ3号墳に設定する予定の別トレンチの所見と照合し、行いたいと思っています。
さて、現場撤収は、来週の後半(撤収日の確定はまだ行っていません)。
今日は、8号墳の測量に力を注ぐため、6号墳のトレンチを閉めていましたが、明日は、6号墳トレンチおよび3号墳トレンチの割り付け作業を行い、可能であれば午後から6号墳トレンチの実測作業を開始したいと考えています。
3年生たちの実力や如何に?
昨年度は、私は実習発掘調査の担当ではなかったので、明日から、現3年生の図化センスに注視したいと思っています。
2019年9月3日(火) 14日目
今日も、途中に降雨、雷。
午後1時から3時まで、宿舎に引き返して待機していました。
そういうこともあって、本日も午後6時まで残業。
ですので、夜の時間が短くて、これを書く時間を十分に確保できません。
ですので、写真にて、、、


この写真は、昨日撮影した6号墳のトレンチ全景。
トレンチの大半にみえるのは段築2段目斜面、トレンチの下方にみえる石組が段築1段目斜面に良好に遺存する葺石です。
段築2段目の葺石は、まったく遺存していません。


上左写真は、6号墳の墳頂平坦面における土師器片の出土状況。
このように、小破片となって出土しています。
上右写真は、今日、出土した小型丸底壺。
3号墳のトレンチ下方で検出されました。
かつて墳丘で採集された須恵器の時期に合ってくると思われます。
ということは、このレベルまで下がることは確実で、墳丘面を相当の根拠をもって推定することができる可能性が出てきました。
昨日、阿蘇市・宮本さんと一致した方針、これ以上、掘り下げ範囲を広げないことには変わりありませんが、一部サブトレを設けるなどして、墳丘面の確定に力を注ぎたいと思います。
本当に真っ黒な土で相当に見にくいのですが、どこかに墳丘面と流出土を画する部分があるはずです。
明日以降、分層作業にもより一層の力を入れたいと思います。
2019年9月2日(月) 13日目
現場初日以来の晴れ。
雨を気にせずに作業ができる、、、この幸せ、、、
これまでの遅れを取り戻すべく、午後6時まで1時間の残業。
そのため、夜がとても忙しく、ゆっくりこれを書いている時間がありません。
とはいえ、今日、阿蘇市の宮本さんが現場に来て下さり、3号墳の状況、今後の進め方についてさまざまに相談に乗っていただいたことだけは書いておく必要があります。
やはり、今のトレンチ1箇所だけで、状況を適切に判断するには無理がある。
そのように、お互いの見解が一致しました。
しかし、これほど天候に恵まれず、また週末には台風が接近するという予報も出ていて、さらに撤収日が来週に迫るなか、新たなトレンチを設ける余裕は到底ありません。
また、今、土師器や礫が出土している土層下をさらに掘り下げて、下位の土層の状況をまず確認したいところですが、墳丘に関わる場所であるかもしれないため、そう簡単にさらに掘り下げるというのも難しい。
3号墳近くの、でも古墳には関係がないと思われる箇所を坪掘りし、上記の土層下の状況を確認するという手もありますが、それを行う時間的、人的余裕もありません。
そこで、今年度は、現状の土師器・礫検出面までの掘り下げで中止し、そこまでのところで記録作業に移行することとしました。
つまり、今回では、3号墳の墳丘面を明確にできなかったと結論することになります。
そして、いくつかの案を並記するかたちで報告し、次年度にたくす、という決断に至りました。
残念ですが、次年度、捲土重来です。
さて、8号墳の測量は、淡々と行われていますが、なかなか手強く、調査期間内に本当に終わるのか、今、もっとも心配の種になっています。
下写真の左は、その8号墳測量の様子です。
右は、今朝の朝食。料理上手の男子学生作、、、豪華でした。


2019年9月1日(日) 12日目
今、午前9時過ぎ。
阿蘇は大雨、雷鳴届く、、、
手持ちでは雨の写真は難しい、、、
下左が今の外の様子、、、写っているよりも実際はもっとひどい雨、、、
宿舎では、学生たちがおのおのの時間を過ごしています。
天気には勝てないのですが、学生たちの時間を無駄に奪っているようで、少々申し訳ない気持ちです、、、
さて、今日は現場ができるのでしょうか、、、


なんと! 午後、雨が上がって、現場作業ができました。
午後1時前に現場へ、、、そして夕方までの作業、、、
半日だけでしたが、6号墳のトレンチでは分層作業を終えることができ、また葺石の清掃も終了して、明日、天気が許せば、全景写真撮影を行うところまで進めることができました。
トレンチ下方には2段のタワーを建てて、明日の写真撮影に備えています。
3号墳のトレンチは、依然、混沌としています。
昨日検出された礫付近から土師器の小片2点が出土し、今掘っている層は一体どのような性格なのか?
判断しかねています。
8号墳の測量では、昨日問題となったレベル値の矛盾についても無事解決。
光波2台体制で、等高線の記入を進めています。
明日も、光波2台体制で臨む予定です。
さて、明日。
晴れて、写真撮影のときには曇りますように!
2019年8月31日(土) 11日目
う〜ん、また雨でした。
昨日、1日作業ができたのは奇跡だったのか、、、
雨に濡れての撤収疲れ、それ以上に精神的な疲れがどっと来ている、今日の夕方です。
今、午後6時過ぎ。
降雨のため午後の作業決行は断念し、撤収しました。
そのため、温泉へは午後4時頃に行きました。
いま台所では、夕食作りの真っ最中です。
さて、今日の現場。
(バタバタしていたので、写真はありません、、、)
6号墳。
断面にひっかかっているもの以外、転落石の除去はほぼ終了。
段築1段目の生きている葺石が良好な状態で検出されています。
段築2段目の葺石、さらに段築テラス面に敷かれていたはずの礫は、ことごとく失われていて、流失したそれらの石材が段築1段目葺石の上に堆積しているという状況です。
その段築テラス面から段築2段目、そして墳頂部にかけては、分層作業。
フィールドマスターの大学院生と、トレンチ掘削を主に担当していた3年生が、侃々諤々、断面とトレンチ面を精査しながら、線引きをしています。
でも、今日の午前中には、すべて決着しなかった模様。
明日以降です。
6号墳は、全体の状況が明確なので、あとは淡々と手順を踏んで、着実に進めるのみです。
3号墳。
サブトレンチの西側、すなわち、墳端方向において、2点の礫が出土しました。
地山には入らないと思われる礫ですので、昨日検出の土師器も根拠にすると、まだまだ掘ることができる可能性が高いと思われます。
墳丘面はどこにあるのか??
悩んでいます。
8号墳。
現場で状況を見ていないのですが、淡々と進んでいるのかな?
でも、この連日の雨、、、
調査終了日までに終わるのでしょうか、、、
ここも頭の痛い状況になりつつあります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ミーティング後の午後8時半過ぎです。
今日の午後は、温泉も夕食もいつもよりも早い時間でしたので、ミーティング後の時間にも余裕があります。
私がこれを書いている座机の反対側では、3年生が、今日の測量におけるレベル値について議論中。
夜のミーティングにて、昨日のデータとの矛盾が発覚しました。
こうした議論。
泊まりの実習調査のいいところだと思います。
大いに悩め!
そして、明日、確認!
2019年8月30日(金) 10日目
1日、作業ができました。
ごくわずかに小雨は降ったけれど、太陽もひさしぶりに顔をのぞかせ、現場で昼食もとることができました。
これが通常、これまでが異常。
でも今年は、雨が日常になっていて、本当におかしな天気です。
雨に降られることなく、現場を終えることができたのもひさしぶりで、合羽の出番もありませんでした。
さて、そんな今日、3号墳では状況が混沌としてきました。
昨日まで、とてもしまった褐色土層を地山と判断していたのですが、今日の分層中、そのなかから土師器?、が出土しました。
下左の写真が、3号墳の調査風景。右が土師器出土の様子です。
墳丘面、どこになるのだろうか?
その検証のため、今日の午後、サブトレンチを設定しました。


6号墳では、転落石および壺形埴輪片出土状況写真を撮ったのち(下左の写真)、転落石の除去作業に移行しました(下右の写真)。
段築2段目の葺石がことごとく転落しているのに対して、1段目の葺石の残りがとても良さそうです。
転落石やその間に挟まれた壺形埴輪片を取り上げる作業を続けたところ、今日の作業終了時点で、生きていると思われる1段目の葺石が顔をのぞかせはじめました。
明日、さらに精査を行い、墳丘面を出したいと思っています。
一方、墳頂平坦面付近では、土師器の小片が出土しました。
墳頂面にほぼ接していますが、墳頂面に敷かれているはずの円礫(2014年度調査で確認済み)がほとんどありませんので、本当の原位置からは動いている可能性が高いと思われます。
ですが、墳頂面で、土師器を用いた祭祀行為が行われたいたことを示す点で、この場所での土師器の検出はとても重要な意味をもっています。
明日以降、トレンチ全体を精査し、分層が終了した時点で、全景撮影に移行したいと考えています。
皆、頑張ってよ!


8号墳では、調査参加者の約半数を投入して、測量に精を出しています。
だんだんと、作図のスピードが上がってきているようで、学生たちを頼もしく思っています。
今日から4年生の2名が現場に加わりました。
強力な助っ人として、明日から重要な戦力となってくれることを期待しています。
2019年8月29日(木) 9日目

午前は何とか作業をすることができましたが、昼前に大雨。
昼食を現場でとることはあきらめ、宿舎に戻っての昼食。
今回の調査では、現場でおにぎりを食すことがほとんどできていません。
これまでに2回?
午後は1時半すぎまで待機ののち、1時50分頃に出発。
2時から4時過ぎまで作業をすることができました。
でも、また雨に降られ、急いで宿舎に戻ることとなりました。
現場ミーティングもまともにできない状況が続いています、、、
撤収作業のことを考えると、今日でほぼ半分が終わったと見なければなりません。
でも、まったく掘り作業が進まない・・・
明日からも雨の予報が出ていて、少し無理をしても、いま開けているトレンチだけでも、何とか終わりまでもっていかなければなりません。
3号墳、本来なら、あと1〜2箇所トレンチを追加して、今のトレンチでそうと判断している墳丘面の状況が、本当に墳丘面でいいのか、確認すべきところなのですが、新たにトレンチを設定する時間的余裕はなくなっています。
明日から晴れが続くのであれば、できるとは思いますが、これだけ雨の予報が続くと、後ろが切られた日程のなか、トレンチを新設することは諦めなければならないと判断しています。
8号墳の測量も、かなり頑張って行っていますが、やはり雨の影響は大きく、なかなか進展しない状況が続いています。
焦っても仕方のないことなのですが、でも、焦燥感がつのっています。
上の写真。
今日の午後、小雨の降る中、ひとまずデジカメで押さえた6号墳の転落石の状況。
ISO400、絞り8で、シャッタースピード3秒。
フィルムカメラでは暗すぎて撮れず、せっかく掃除を頑張ってくれたので、何とかデジカメだけでもと思って、強引に撮った次第。
デジカメ様々です、、、
でも、学生たちにカメラの操作を覚えてもらうためにも、フィルムカメラでも撮りたいところなのですが、、、
時間の余裕があるか??
2019年8月28日(水) 8日目
今日も雨。それも大雨。
九州北部には特別警戒警報が発令されているようで、とても心配な状況になっています。
今、午前9時過ぎ。
宿舎待機中。
大学授業のレポートを残している学生たちは、この待機の時間を利用して、必至に?レポートの作成に励んでいます。
でも、それ以外の学生たちは、とても暇そう、、、
時間を持て余している様子。
とくに、この現場が初めての2年生にとっては、せっかくの発掘調査ですから、目一杯、調査の雰囲気を感じて欲しいのですが、今のところ、待機中の暇な時間だけが思い出になっていると思われ、何とも申し訳ない気持ちでいっぱいです。
下写真の左は今の外の様子。右は学生が作った照る照る坊主。
大きな被害が出ることなく、雨が上がらんことを祈る今の時間です。


今、午後8時半過ぎ。夜のミーティングが終わったところです。とても眠い・・・

でも、南尾根3・6号墳のトレンチは開けず(右写真は今日の6号墳トレンチの様子)、全員、北尾根の8号墳に出動。
この現場ではじめて、人員総動員による測量を実施しました。
光波班2班、レベル班3班体制。
時々雨が降る中でしたが、杉の木々に守られつつ、カッパを着て作業を継続。
何とか午後4時過ぎまで作業を進めることができました。
これまで、とくにレベルですが、墳丘各所で進行度合いが異なっていて、人員配置が変更になるとやや混乱をきたしていましたが、さまざまなルールを決めたおかげか、また総動員で一気に進めたおかげか、墳丘を4分割した各所での進行度合いに統一性がとれてきたように思います。
ただ、現在記入している等高線から、墳端のレベルまで、まだ10m以上あるため、今はまだまだ序盤戦のように思います。
気合いを入れて進めなければ、測量が終わらない、、、
そんな危機感をもっています。
とはいえ、雨には勝てない、、、
照る照る坊主さん。
快晴とは言いません。
何とか雨の降らないようにお願いします。
2019年8月27日(火) 7日目
今日も雨でした。
そのため、午前は完全待機。
午後3時頃、雨脚が弱まったので、8号墳の測量班のみが現場へ出動しました。
私を含めて9名。
今日まで、私は発掘している6号墳と3号墳につきっきりでしたので、8号墳の測量作業に加わったのははじめてでした。
そこで、おおよそ、様子が分りました。
やはり測量は、チームとしての連携が大切。
その辺に若干の不足があるようでした。
同じくはじめて実際の測量作業に加わったフィールドマスターも、私と同じような課題を感じたようで、今日の夜のミーティングにて、早速、測量の進め方の改善案を提案していました。
なかなか、頼もしくなってきたと思います。
とにかく、抜けのないよう、確実につぶしていくこと。
これを怠ると、作業効率が各段に落ちることになります。
また、精度も落ちます。
その辺、明日以降、注意深く作業が進められることを大いに期待しています。
それから、大きな声を出して、測量チームの雰囲気作りにも配慮がなされることを期待しています。
今日はバタバタしていて、写真はなし。
明日も雨の予報ですが、雨には勝てません。
焦っても仕方がありませんが、でも急いで雑にならないように、また一定の形をつけて現場を終えることができるように、何とか工夫を凝らしながら進めていきたいと思います。
ところで、今日午前の待機中に、古谷さんの論集の論文、レイアウトも含めて終了させました。
これから、メールで、送ることにします。
2019年8月26日(月) 6日目
雨でした。
朝、少しの待機のあと、9時頃出発。
現場到着後、テントを建てたところで、ひどい降雨。
しばらくテントの下で待機、、、そして、雨が小康状態になったところを狙って宿舎に一端帰りました。
そして昼まで待機、、、
雨がほぼ上がったので、午後1時に出発。
ところが、現場でテントを建てたところでまた降雨、、、
テントの下で待機、、、
午後2時前、雨がほぼ上がったので、北尾根の8号墳測量班は、万一のときの雨宿りのため1つのテントをもって出発。
ところが、またまた2時過ぎに降雨、、、
南尾根の3号墳・6号墳発掘班は、またまたテントの下で待機、、、
あまりに時間を持て余すので、テントの下で、発掘調査が初めての2年生を対象にしたレベル復習講義。
その様子が、下写真の上左ですが、前期の授業中に1回、レベルを触っただけでは、まったくダメだなあとあらためて実感。
そうこうするうちに、雨が上がったので、午後3時半頃から、3号墳、6号墳の掘り下げ作業を始めました。
そして午後5時頃まで、作業を継続することができました。
わずかとはいえ、調査を進めることができて本当によかったです。
だって、これから10日間以上も雨が降り続く予報が出ているのですから、、、
6号墳では、シートを必要最小限だけ開けて作業を行いました(下写真の上右)。
そこで、大きな進展が、、、
転落石のあいだから壺形埴輪片が顔をのぞかせました。
その場所の掘り下げを担当していたのは発掘調査が初めての2年生でしたが、どのような感想を持ったのでしょうか?
ときめいてくれていれば、私もうれしいのですが、、、
下写真の下左がその転落石検出状況。
下右が、ミーティングでその箇所の説明を聞く学生の面々です。




2019年8月25日(日) 5日目
雨の予報だったのですが、何とか1日、作業ができました。
3号墳。
地山の褐色シルトのような土層、またその上に乗るだろう黄褐色土ブロック混じりの黒灰色土が顔をのぞかせた一方、葺石らしい礫はもちろんのこと転落石もまったく検出されていません。
葺石はないのでしょうか?
また、現状のブロック混じり土を盛土と判断してもよいのでしょうか?
その辺、悩ましい状況となっています。
下左の写真です。
6号墳。
これまでトレンチ内から、葺石の転落石さえまったく出土していなかったのですが、今日の午後、トレンチ下方を少し拡張したところ、その拡張箇所から、礫がゴロゴロと出土しはじめました。
下右の写真です。
おそらく転落石でしょうが、でも、そのすぐ北側の礫がまったく出土しない状況とはまったく異なっています。
なせこんな状況となっているのか?
明日以降、礫をはずしながら、状況を確認したいと思います。
8号墳。
決して順調とはいえない進行状況です。
でも、測量に不慣れな学生が多いため、もう少し様子をみようと思っています。
阿蘇神社。
今日、長目塚古墳出土遺物の展示が阿蘇神社で行われるということで、我が学生も3名、そのお手伝いに馳せ参じました。
長目塚古墳の遺物が一堂に並ぶのは初めてのことなので、その展示準備から誘導、説明など、参加した学生にとっては、良い経験になったのではないかと思っています。
それにしても、明日も雨の予報、、、
発掘調査や測量調査がはじめてという学生たちには、なるべく多くのことを経験させたいと思うのですが、とはいっても調査を成功裡に終えるためには、そうとばかりは言ってられません。
でも、授業としての実習調査、、、
どのようなかたちで調査を進め、終えるのか、非常に悩ましい状況になりつつあります。


2019年8月24日(土) 4日目

今日は、阿蘇市主催の中通古墳群長目塚古墳発掘70周年記念事業の一環、「中通古墳群地元向け啓発イベント」の実施日でした。
そのイベントに我々も協力。
学生たちが、「古墳時代とは?」「平原古墳群とは?」、そして「中通古墳群とは?」という3つのポスターを製作し、また朝から会場設営や駐車場誘導などに協力しました。
本来なら学生たちが中通古墳群現地見学の案内もする予定でしたが、雨がひどいので現地見学は中止となり、その点は少々残念でした。
でも、地域の文化財を保存し、将来に伝え、そしてその文化財の意義を地域の方々に知っていただくという、文化財保護行政の根幹となる仕事の一端を、学生たちがその肌で感じてくれたであろう(たぶん、、、)ことは、私としてはとてもうれしいことでした。
学生たちも含めて、イベントへの参加者が110名ほどもあり、大盛況だったと思います。
私は、前座として、古墳時代について説明し、そして阿蘇市教育委員会の宮本利邦さんが中通古墳群の意義についてお話になりました。
現地見学が中止となったので、宮本さんが少し長く話をなさった後、質疑応答。
質問が途切れることはあるのかしら?、と思うほどの質問が出されて、また高校生の幾人かからも質問があって、この質疑応答の時間はとても楽しいものでした。
約45分間もの質疑応答。
中通古墳群に対する地域の方々の関心の高さを実感した時間でした。
今日の作業はこのイベントのみ。
でも、いずれにしても、降雨のため、現場作業はできなかったでしょう。
夕方、少し時間に余裕があったので、この現場ではじめて、内牧温泉に行きました。
昨日までの古城温泉も大変すばらしいのですが、でも、私にとっては内牧温泉の風情のある小さな温泉が懐かしく、今日は七福温泉を堪能しました。
木栓を使った洗い場、、、懐かしかったです。
さて、明日以降、晴れとはいわないまでも、雨が降らないことを祈っています。
2019年8月23日(金) 3日目
3日目にして、雨が降りました。
明日も、来週も、雨の予報が出ています。
すっきりしない天気が、1週間以上も続きそうで、大いに心配です。
現場がどこまで進むのか、1つの形をつけて現場を終えるためにはどのように進めればいいのか。
まだ3日目で、まだ20日以上あるとはいえ、少々悩ましい状態です。
天気だけには勝てませんし、でも、今年度の学術調査として、また実習調査として、どのような実りを残すことができるのか。
後学期には、この調査をもとにして報告書作成実習を行いますから、どのような形で現場を終えることができるのか。
この点がとても気になりだした、今日の朝でした。
午後から雨が上がったので、現場作業を行いました。
北尾根の8号墳ではコンターラインの記入開始、南尾根の3・6号墳では掘り下げの継続。
6号墳では、早くも墳丘面が検出されたような?
とすれば、葺石はほぼ流失していることになります。
どうなんだろう??
今日は、本当に暗くて、少しあいまいなのですが、明日以降に確認したいと思います。
とはいえ、明日は、阿蘇市主催の中通古墳群地元向け啓発イベントに協力しますので、現場はお休み。
明後日以降、どうなるか?
今日はバタバタしていて、写真を撮る余裕がありませんでした、、、
2019年8月22日(木) 2日目
宿舎で起床して、宿舎出発の現場としては、今日が初日。
宿舎での朝の準備にまだ慣れないので、出発時間が8時半過ぎになったのはご愛敬。
そのうち、この出発時間がどんどん早くなってくるというのが、合宿による発掘現場の"あるある"です。
さて、今日の作業、、、
北尾根の8号墳では、測量杭設定と伐採。
昨日の続きです。
南尾根の6号墳では、トレンチ掘削の開始。
同じく3号墳では、トレンチ設定の後、トレンチ掘削の開始。
いずれもまだまだ墳丘面には達しておらず、なかでも3号墳は表土のみの除去までに留まっています。
明日からどうなるか。
楽しみです。
今日はこれから、今週土曜日の長目塚イベントの準備のため、このへんで、、、


上写真の左は、今回の現場はじめてのおにぎり作り。右は6号墳トレンチの掘り下げ風景です。
2019年8月21日(水) 初日
阿蘇、平原古墳群での発掘調査実習、5年ぶりの再開の初日。
朝7時に考古学資料室に集合し、大学で借用したトラックに器材などを積み込み。
思いのほか器材積み込みに時間を要して、8時頃に出発しました。
今回の宿舎、山田地区公民館には10時頃に到着。
区長さんほか、山田地区の皆様に挨拶したのち、宿舎設営班と現場班に分かれて作業を行いました。
私は、11時に教育委員会で一輪車を借用したあと、トラックを返却するために、いったん大学に戻り、折り返し現場に向かいました。
現場には午後3時半頃に到着。
それから、フィールドマスターが行っている調査前の現状写真撮影を少し手伝い、そのあと南尾根グループ6号墳のトレンチ設定。
6号墳調査の今回の目的は、墳丘南側の段築テラス面の確認なので、墳丘中位から上位にかけてのトレンチとなりました。
植林された杉にさえぎられ、以前の南1トレンチをそのまま上方に延長することはできませんでしたが、およそ平行する位置に設定したつもりです。
明日から掘り下げをはじめる予定です。
下左の写真が、南からみた6号墳。下右の写真がトレンチの様子です。


一方、北尾根グループの8号墳については、下草や灌木の伐採と測量杭の設定。
少々難航しているようですが、まあ初日。
慣れたらスムーズに進むのではないでしょうか。
宿舎の山田公民館。
夕食とミーティング後に、個人荷物や精密器材の置き場所を改変し、広さを確保しました。
まだまだ全体にこなれていませんが、宿舎での生活も、数日で慣れると思います。
2019年8月4日(日) およそ2週間前
阿蘇市平原古墳群。
2011年度に測量を開始、2012〜2014年度に6号墳の発掘調査を実施しました。
それから4年の中断。
2019年度夏、5年ぶりに、平原古墳群での実習調査を再開します。
調査開始は8月21日からなのですが、本日は事前準備として、レベル移動と座標測量を行いました。
今年の調査目的は3つ。
@南尾根グループ6号墳の墳丘南側第2段目段築構造の確認。
A南尾根グループ3号墳の墳丘構造の確認。
B北尾根グループの古墳分布状況の確認。
これらのうち、@Aについてはトレンチを設定して発掘調査を行います。
Bについては、分布調査と測量調査。
これらの作業を並行して行う予定ですが、調査期間が3週間ほどしか確保できなかったので、少々欲張りすぎの感もあります。
でも、今後への継続調査もにらんで、ひとまずできうる限りのところ、かつキリのいいところまで、調査を進める予定です。
で、本日は、Bの分布調査・測量調査に備えて、南尾根から北尾根までレベルと座標を運びました。
かなり高低差のある、また遠い移動でしたが、レベル誤差も数ミリ以内に収まり、ほっとしました。
レベルがないと、測量も何も始められないですから、、、
はからずも少数精鋭部隊となった学生たちが頑張ってくれました。
調査開始の8月21日。
何とか、北尾根グループにある8号墳の下草伐採から、始めることができそうです。
下の写真の左は、北尾根グループ8号墳での作業風景。
この8号墳。
今日、レベルを運んでわかったのですが、墳裾から墳頂までの高さが12〜13mもあって、平原古墳群では最大規模となりそうです。
測量の結果が楽しみです。
でも、今回の調査期間内にすべての測量を終えることができるのか??
少々不安です。
右は、宿舎として借りる予定の山田地区公民館からの阿蘇五岳のながめ。
美しい、、、

