熊本県上天草市
大道(おおどう)鬼の釜古墳測量調査
(2016年度)
徒 然 な る ま ま に
大道(おおどう)鬼の釜古墳測量調査
(2016年度)
徒 然 な る ま ま に
2016年8月31日(水) 8日目


最終日。
朝6時、石室南側から、つまり玄門部の写真を撮るため、早出しました。
でも、現場に着いたら雨が降ってきて、でもだましだまし撮影しましたが、6時40分頃には本降りに。
朝食後、雨が上がったので、7時30分すぎにふたたび現場へ。
でも、今度は太陽が・・・
とはいえ、何とか当初予定していたアングルを撮り終えることができました。
雨に濡れていたり、木漏れ日があったりするのですが、、、
上はそうした写真の一部です。
午前9時頃に大変お世話になった民宿葵をあとにして、一路、南へ向かいました。
今回調査した大道鬼の釜古墳の石室は腰石しか残っていませんから、その上部構造がどうなっていたのか、学生たちに実感して欲しいと考え、天草市楠浦にある楠浦新田古墳を見学しました。
下の3枚の写真がその楠浦新田古墳の石室ですが、穹窿状天井がきわめて良好に遺存しています。
これをみて、大道鬼の釜古墳の腰石の大きさや玄室の広さ、そしてその上に積まれていたであろう壁体の様子を少しは感じてくれたのではないでしょうか。



ほかには、龍ヶ岳山頂にも登りました。
そこからは八代海が一望できるのですが、大道鬼の釜古墳が位置する岬も望むことができます。
下の写真の矢印のところ、その尾根線の向こう側に大道鬼の釜古墳が立地しています。
写真左の大きな島が御所浦島。その右手前が横浦島、奥が牧島、その右が楠森島です。
古墳は、御所浦の島々に囲まれた海を眼前にみる場所に築かれていることがよく分かります。
ちなみに、中央最奥の島は獅子島。
鹿児島県です。

それから、下島の最南端、牛深まで足を伸ばしました。
下島は、北方四島や琉球列島をのぞけば、佐渡島、対馬、淡路島に次ぐ面積を誇ります。
上島や長島、大矢野島などを合わせると、日本一の面積をもつ島嶼群となります。
学生たちには、ぜひその広さを実感して欲しいと思いました。
そして、古墳にみられる天草諸島北半部と南半部の大きな違いにも・・・
たいへん強行軍のドライブになりましたが、熊本県人でもなかなか訪れない牛深、そこからみる長島の風景に、皆、何を思ったのでしょうか?
下の写真の学生たちが、今回調査した大道鬼の釜古墳の存在意義に思いをはせてくれていたら、とてもうれしく思います。

2016年8月30日(火) 7日目


ラス2。
明日撤収です。
昨日・今日の学生たちの頑張りには、目を見張るものがありました。
これには、地形測量班の学生たちが石室実測に加勢したことが大きく影響しているように思います。
一気に会話が増え、雰囲気がガラリと変わったような、、、
やはり、現場のような共同作業では、共同作業者どうしが積極的にコミュニケーションを取り、そしてお互いを思いやる気持ちがとても大切です。
そうすると、計測スピードも格段に早くなります。
そして、やっぱり現場の雰囲気が本当に大切です。
上級生はそのことに十分に心を配って欲しいと思います。
さて、石室実測、本日ですべて終わりました。
石室上半が失われた、腰石しか残っていない石室だったのですが、思いのほか時間がかかりました。
大学の実習を兼ねた調査ですから、それも仕方がないとは思いますが、でも、学生たちが今の自身の実力を実感してくれているとすれば、それはそれで、今回の実習調査は、ある意味、成功なのかもしれません。
とくにM1の2人にはそうあってほしいと願っています。
今日の夕方、石室写真を撮ったのですが、光線の方向が悪く、玄門部を南から見た写真がうまく撮れませんでした。
明日、早出をして、その部分の写真を撮りたいと考えています。
そして、大道鬼の釜古墳の石室の存在意義を考えるため、天草にあるほかの石室を見学したいと考えています。


2016年8月29日(月) 6日目
一気に気温が下がりました。
最高気温が30℃ほどしかなかったのではないでしょうか。
涼しい風も吹き、とても快適な天候でした。
そんななか、実測作業継続中です。
地形測量は、本日午前10時半過ぎ、すべての作業を終えました。
私はその間、測量を学生に任せて、コメリに釘を買いに走りました。
今回、大学から持ってくる本数が少なく、石室平面実測のための割り付けに用いる釘が足りなくなりそうだったためです。
午前11時ごろから、地形測量班も、作業が遅れている石室実測に加わりました。
石室残存部上面の平面実測に向けて割り付けの補足を行い、午後くらいから上面図の実測を開始。
3分割したうちの1箇所は終了。
ほかの2箇所も順調に進んでいます。
おそらくですが、明日で石室床面平面図も含めて、すべての実測作業を終えることができそうな、そんな気がしています。
ただ、写真を撮ることができていませんので、写真撮影が最終日に残る・・・そんな進行具合です。
さあ、泣いても笑っても、あと2日。
頑張っていきましょう。
2016年8月28日(日) 5日目
この現場、初の雨。
でも、雨での中断は午前11時からの1時間ほど。
午後4時ごろにも突然の降雨がありましたが、少し避難するだけで済み、何とか1日、現場作業をすることができました。
今日は太陽もほとんど顔を出さず、そのことがこんなに楽かと思いました。
でも、夕食時のビールは、直射日光の下での作業のあとの方が、ずっとおいしいですね。
さて、今日も淡々と実測作業、、、
地形測量は、古墳のある高台の下、道路部分の周辺地形を取り終えたので、あとは細々したところを残すのみ。
おそらく明日の午前中には終わると思います。
石室実測。
なかなか進みませんねえ、、、。
1つの対象物を部分部分に分割して実測するときは、お互いのコミュニケーションがとても大切。
そのことを心に刻んで欲しいと思っています。
2016年8月27日(土) 4日目

今回の調査では、最初で最後の土曜日。
とても多くの方が現場に顔を出してくださいました。
天草の松本さん、山崎純男さん、維和の山崎さん、嘉島の橋口さん、熊本市の三好さん、岡田さん、宇佐の弘中さん。
天草でもちょっと不便な龍ヶ岳だというのに、こうして現場を訪ねてくださり、学生たちを激励してくださる皆様に、感謝の言葉もありません。
本当に、ありがとうございました。
卒業生も多く来てくれて、うれしいものでした。
写真はそうした卒業生の1人。
現場終了まで作業を手伝ってくれたのですが、その姿が少々怪しい!?
差し入れにいただいたプリンやロールケーキもおいしくいただきました(ちょっとロールケーキがベタベタになってしまいましたが・・・)。
差し入れのビールや栄養ドリンクを飲んで、あと4日間、頑張りたいと思います。
さて、昨日に引き続き、現場では図面作成作業が続いています。
石室では、玄室内の四壁の実測がほぼ終了しました。
地形では、石室が立地する高台部分の測量が、少しをのぞいておおよそ終了に向かっています。
残すは、石室では、西側壁図の玄門立柱石部分、玄門の外からの見通し図、石室床面の当たりの平面図、石室残存部の上面からの平面図、この4つです。
地形では、石室立地高台部の最南端部、そして高台下の道路部分、おもにこの2箇所です。
石室実測を担当しているのは大学院M1の2人。
どちらも、なかなか実測には慣れないようですが、でも、図面は書けば書くほど上達するものです。
線がちょっと不器用なようには思うのですが、少しずつ指示をしながらも、じっと見守りたいと思っています。
明日は雨の予報が出ています。
予報通り、明日が雨でも何とか現場を終了できるとは思いますが、でも、余裕をもって仕事を終えたいので、明日、仕事をしたいなあと思うことしきりです。
2016年8月26日(金) 3日目
本日はバタバタしていて、写真を撮っていません・・・
現場作業は、石室実測と地形測量、全員が図面作成作業に入っていて、たんたんと進んでいます。
でも、昨日も書いたように、今年の残暑は、残暑と言うにはあまりにも暑く、今日、体調を悪くする学生さんもいました。
本当に、体調管理には気を配らないといけません。
大いに痛感させられた今日の夕方でした。
ところで、今日、古城史雄さんが見学に来て下さいました。
大道鬼の釜古墳の石室実測図を学生時代に作成されていて、当時の様子を教えて下さいました。
また、石室の構造において問題となる点のいくつかをご教示下さいました。
なるほど・・・と・・・、現場終了までには十分に観察したいと思います。
今、机の向かい側では、また右側では、そして隣の部屋の机でも、学生さんたちが公務員試験のための問題集を解いています。
内閣・・・生存権・・・国務大臣・・・
そんな言葉が飛び交っています。
大変そうだ・・・
2016年8月25日(木) 2日目


本日より実測開始。
石室では中軸での縦断面図作成ののち左右側壁の実測、地形測量では住宅建築で造成された法面の上端・下端の書き入れから作業を開始しました。
石室の担当はM1の岡田君と豊永さん。
なかなかこなれない豊永さんですが、でも、一生懸命のその姿勢は大いに買い。
現場最終日までに大きく殻を破ってくれることを期待しています。
頑張れ!
地形測量は、電子平板でもなく、また昔ながらの平板でもなく、大阪市大の岸本さんに習ったトータルステーションでの測量に取り組んでいます。
かなり一般的になってきたやり方ですが、私にとっては初めての試み。
今日の午後3時頃から始めたのですが、すでに、その正確さ、便利さを実感しています。
やはり、平板はもう役割を終える運命なのは確実です。
でも、測量の基本をその基礎から学ぶには、もっとも適切な手法であるのは確かだと思いますし、その簡便な技術は捨てがたいものだとも思います。
また、私は平板での一体感ある作業が好きなんですよね。
つまり、平板作業自体が楽しいのです。
捨てがたき、でももう過去の技術・・・平板・・・
でも、それにしても本当に暑い。
鬼の釜で茹でられているような、そんな石室の内部です。
体調には十分に注意したいと思います。
2016年8月24日(水) 1日目


上の写真が大道鬼の釜古墳の石室。
学生たちが実測用の割り付けをしているところです。
今日の朝は7時に大学の考古学資料室に集合。
器材を積み込んで、いざ出発。
途中、宇土アリーナでの休憩をはさんで、今回の宿舎、民宿葵に到着しました。
9時半過ぎだったかな?
で、宿舎に荷物を下ろし、現場で使う器材だけを車に積んで出発。
現場作業は10時頃に開始しました。
今日は、レベル移動と石室の割り付け。
事前に基準点を近くの道路にまで持ってきておいていただいたので、レベル移動はすぐに終わりました。
でも、石室割り付けは、少々難航。
当初設定した中軸が少しずれていて、石室断面線が側壁に直交しないことに途中で気付いた学生たちは、面倒だったと思うけれど、でも、きちんとすべく、中軸を設定し直してくれました。
間違いに気付いたら、すぐにその場で修正する。
その判断が適切だったので、見守っていた私は、なかなかうれしく感じました。
本当に暑い日でしたが、今日の現場作業は5時半で終了。
何とか、誰も調子を崩すことなく初日が終わったことにホッとしました。
仕事直後のシャワーの気持ちよさ、夕食時の1杯目のビールのおいしさは現場ならでは。
久しぶりの至福の時でした。
さあ、明日からいよいよ図面作成に入ります。
2016年8月23日(火) 前日
8月23日。
いや〜、猛暑。とにかく暑いです。
そんななか、明日から、ひさびさの上天草市での古墳調査に入ります。
上天草市龍ヶ岳町所在、大道鬼の釜古墳の測量調査。
残存石室の実測と、墳丘はほぼ削平されていますので周辺地形の測量を実施します。
上天草市史姫戸・龍ヶ岳編編さん事業の一環です。
本当なら今年のゴールデンウィークに行う予定でしたが、4月14日の前震、16日の本震に始まる平成28年(2016年)熊本地震のため中断した調査です。
また、夏は昨年度に引き続き、阿蘇での調査を計画していたのですが、これも地震の影響で中断。
そこで、ゴールデンウィークに実施を断念したこの上天草市での調査を、実施することにいたしました。
大学はまだ、授業中。
今年は地震の影響で、9月2日まで教養課程の授業が行われます。
また、京都ではもうすぐWAC(世界考古学会議)も始まります。
そんななかですが、明日から月末までの予定で、上天草に行ってきます。
とにかく、本当に暑いので、参加してくれる学生さんの体調だけには、細心の注意を払わないといけません。
今日の夕方、レンタカー・軽バンを借りてきました。
では、行ってまいります。