熊本県上天草市
千崎(せんざき)古墳群発掘調査
(2008年度、第7次調査)
徒 然 な る ま ま に
2008年9月23日(火) 30日目 最終日
通い現場8日目.最終日.
ようやく,本当にようやく,終わりにこぎつけました.
今年は,途中,どうなることかと何度思ったことか・・・
今年のフィールドマスターは,2・3年生に大いに感謝しないといけないね!
さて,写真で締めくくるとしましょう.
この4枚,今年調査した千崎5号墳と25号墳の今日の姿です.
上2枚が5号墳,下2枚が25号墳.
5号墳の左の写真は玄室内から羨道を見通したもの,右は羨門に敷かれた平石(羨門床石)の姿です.
25号墳の左の写真は東からの全景,右は東小口石を据えるために地山に穿たれた溝状の落ち込みを示しています.ちょっと見にくいでしょうか?
この2枚は,お昼休み風景.
ブルーシートの上で思い思いに過ごしている様子がよく出ていると思いませんか?
今年の現場の雰囲気をよく表していると思います.
さて,埋め戻し.
5号墳の石室は,多くの土嚢を用いて,一気に埋めてしまいました.
掘り上げる時間に比べて,何とあっけないことか・・・約1時間半・・・
上2枚がその5号墳.右が埋め戻された5号墳の様子です.
昨年度も感慨深かったですが,今年は前庭部もすべて掘りきってしまったので,もう次がありません.
つまり,よっぽどの理由がない限り,5号墳の石室をふたたび目にすることはない・・・と考えると,本当に終わったのだなって一抹の寂しさがあります.
下左の写真は25号墳を埋め戻す途中の写真です.
今回どこまで掘ったのかがわかるように,調査区面には千崎丘陵の土とは異なる種類の土を敷いています.
下右の写真は10号墳.
破片接合後の北側蓋石の南面(写真の左側の石材)と,南側蓋石の北面(同右側の石材)がピタリと合わさって,千崎丘陵に築かれた箱式石棺の精巧さが実感されます.
そして,記念写真.
埋め戻し前の5号墳石室に集まって,今年の調査のために作ったカラフルなTシャツを着て・・・
右は,私が脱いでいた靴をもってふざける2年生と3年生・・・
最後に・・・
2008年9月22日(月) 29日目
通い現場7日目.
今日は晴天.
千崎25号墳と10号墳は,私とともにずっと現場へ出ずっぱりのもう1人のフィールドマスターに任せて,私は5号墳に専念.3年生2人と,残った仕事を懸命にこなしました.
そんなこんなで,何とか予定していた仕事は終わったかな?
ただし,あと数カット,撮っておきたい写真があるので,明日,天気が許せば写しておきたいと思っています.
絶対必要な写真ではないのですが,やはり欲しいアングルなので・・・
曇るかな??
明日は,埋め戻しと撤収.
事故がないように,無事,大学へ戻ってくることが,明日の第一の目標です.
今日も,バタバタしていて,写真を撮る時間がありませんでした.
2日連続写真がないのも何なので,学生さんに下の写真をもらいました.
現場から大学への帰り,車中の様子だそうです.
2008年9月21日(日) 28日目
通い現場6日目.
朝,雨が降りそうだったのですが,昨日の日誌の通り,現場へ向かいました.
しかし,現場へ到着する寸前に雨が激しくなり,千崎丘陵の下にて,車でしばし待機.
小降りになったところで,実測器材だけをもって,千崎5号墳へ.
昨日のうちにビニールシートをかけていたので,その下で作業を開始しました.
ところが,次第に雨脚が強くなり,横風が激しくなり,ビニールシートの下にまで雨が吹き込んで・・・
そのうち,土嚢で押さえていたビニールシートがまくれ上がり,雷も鳴り始めたので,撤収を決定.
午前11時に車へ戻りました.
・・・ビニールシートの下であっても,今日のような雨では作業ができないんですね・・・
フーッ.
これで,撤収日が1日伸びました.23日の予定です.
今,午後4時前.
大学でこれを書いていますが,今日の午後1時頃から雨がやみ始めたので,午後からもう少し粘れたかなあ・・・って思いますが,それはそれ,今さら仕方がないので,明日と明後日,晴れてくれることを願っています.
今日の現場参加者は,わたし以外,すべて女性.
帰り道,上天草でひいきにしているケーキ屋さんでショートケーキを食べました.
雨に濡れながらも懸命に頑張ってくれている彼女たちへ,ささやかなお礼・・・
そんなこんなで,今日はバタバタしていたので,写真を取り損ねてしまいました.
2008年9月20日(土) 27日目
通い現場5日目.
昨日の作業を,それぞれの場所でたんたんと継続中.
5号墳では,羨道前面の前庭部側からの見通し図を作成開始.担当した3年生が頑張ってくれたおかげで,5号墳の終了がほぼ見えてきました.
10号墳では,蓋石を元の位置にもどしての写真撮影・・・でも,夕方で暗かったので,可能ならばもう一度撮影したいと思っています.
25号墳では,東側小口断ち割り部の記録作業.写真が少し残ったようです.
もうあと少しなのですが,明日は雨の予報.
雨でも実測ができるように,今日の帰り際,5号墳の上にまたまたビニールシートをかけてきました.
明日は雨でも出勤の予定です.
上左の写真は,5号墳で実測する3年生を石室内から見た様子.
右は,大学へ戻ったのち,器材の整理や調査日誌の記入を行う現場参加者たちです.夜の8時をまわっているのに,そして疲れているのに,頑張ってくれています.
感謝・・・
2008年9月19日(金) 26日目
通い現場4日目.
熊本では,台風13号の影響がまったくありませんでした.
で,今日は,台風一過の快晴.日差しのまぶしい日中でした.
千崎5号墳では,前庭部の実測作業を継続中.
大変狭い空間なので,1人が入って作業をするのが精一杯.
下左の写真がその様子ですが,フィールドマスターに代わり3年生がリーダーシップを発揮して,作業を進めてくれています.なかなかたくましい!
その離脱したフィールドマスターが残していった図面も大幅に修正のうえ,またまた私が仕上げました.
フーッ・・・
千崎10号墳も再開.
接合した北側蓋石を元の位置に戻すのですが,その際,蓋石裏面に掘り込まれた凹状溝が棺身上面にピッタリ合うのか,確認したいと考えています.
そのため,南側蓋石も外して,棺身上面を検出しました.下右の写真がその様子ですが,手前には裏返した南北の蓋石が見えています.
ここでも,3年生がリーダーです!
千崎25号墳では,東側小口石部分の断ち割り作業を継続中.
下左の写真がその部分の写真ですが,東側小口石を据えるために地山岩盤が溝状に掘り込まれている様子がよくわかります.
でも,西側小口部分にはこのような溝を見出すことができていません・・・どのように解釈すべきなのでしょうか?
報告書作成作業を通じて検討したいと思っています.
下右の写真は,もう1人のフィールドマスターが,図面を書く2年生を指導している様子です.
真っ赤なTシャツが2年生です.
2年生にとっては初めての発掘調査.どのように感じているのかなあ・・・?
実質,あと2日分の仕事が残っています.
撤収は3日後の22日頃になりそうです.
あと一踏ん張り!
2008年9月18日(木) 25日目
通い現場3日目.
台風13号が接近中だったのですが,現場に向かい,午前中は通常の作業を行いました.
でも,朝の1号橋では風が強くってハンドルを取られそうになったり,現場では千崎5号墳の上にかけているビニールがバタバタと鳴ったりしたので,午前中で作業を終了.
昼食後,台風対策をして,午後2時頃撤収しました.
上左の写真は厳重にシートをかけた5号墳,右は倒れないように四隅に控えをとったトイレです.
大学へは午後4時前に戻ったのですが,台風はどこへ行った?って感じで,夕方には真っ赤な夕焼けも・・・
でも,慣れない通い現場で疲れているだろう3年生にはちょっとした休養にはなったでしょうか.
今,夜の11時前.
雨も風もなく,穏やかな夜です.
台風,どうなっているのかなあ??
2008年9月17日(水) 24日目
通い現場2日目.
千崎5号墳では実測作業,25号墳では墓壙断ち割り作業を継続中.
右の写真は25号墳での作業の様子.こちらでも3年生がとても頑張ってくれています!
今日,この週末に教育学部のトラックを借りる手続きをしました.
現場から文学部総務係へ電話をかけて,予約を入れてもらいました.
台風13号が明後日あたりに九州へ来そうですが,それを考慮してもこの週末から来週初めには撤収できそう?って考えています.
残る仕事はこまごまして多いですが,何とか,乗り切りたいですね.
ところで,フィールドマスターの1人が明日から戦線離脱・・・
仕方のない理由とはいえ,この時期の離脱は痛いですね.
結局,彼の図面は仕上がることがなく,その点をフォローしなければならないのですが,まあ,残された3年生を鍛える機会を得たと考えて,ラストスパートしたいと思っています.
2008年9月16日(火) 23日目
本日から通い現場開始!
参加者は,朝7時に大学の研究室に集合.
お茶を作り,必要な器材を車に積み込んで出発.今日は7時15分発.
途中,休憩しながら,大矢野の「弁当のヒライ」に到着したのは8時45分頃.
そこで昼食を調達し,現場着は9時10分頃.
そして現場開始・・・
今日は夕方6時まで現場作業を行い,7時45分頃,大学に帰着.
以上のような日程でした.
台風13号がのろのろと台湾周辺で停滞しているせいか,今日の空は今にも泣き出しそうでした.でも,何とか1日中,現場作業を行うことができました.
よかった・・・あまり調査期間を延長したくないですから・・・
それにしてもようやく,千崎5号墳では調査区や前庭部の割り付け作業にこぎつけました.
そして,午後3時頃から,実測の開始.
雨がいつ降り出しても慌てないように,石室の上にはビニールハウス用シートをかけています.
上左の写真がその様子.
一昨年の現場でもよく雨に降られたので,山崎勝安さんに頼んで,ビニールハウス用シートを調達してきてもらいました.それを大事に,今年も使っているのです.
今日は5号墳の実測作業から目を離すことができなかったので,25号墳で何が行われたのか,正確にはわかりません.
でも,おそらく墓壙断ち割り作業が行われたことでしょう・・・こちらはもうすぐ終わるね・・・
さて,台風13号はどちらに向かうのでしょうか?
その進路次第で,現場では台風対策をしなければなりませんし,また調査日を無駄にします.
気になるなあ・・・
今日の帰り,右の写真のような夕焼けを見ることができました.
シルエットは雲仙.
明日も,今日のような天気であればいいのですが・・・
ところで今日からの通い現場.
3年生がとても頑張ってくれていて,なかなか頼もしい!
とくに,5号墳の調査は彼女たちでもっている,という感を強くします.
2008年9月15日(月) 22日目
降雨中止!
朝からひどい雨で,フィールドマスターが6時過ぎに中止を決定.連絡をまわしてくれました.
大学の研究室に7時集合にしていたので,ひとまず行かないといけないかなあ・・・と準備していたときでしたから,いつにない素早い判断に感心しました.
とはいえ,3週間もメールチャックをしていなかったし,仕事もたまっているので,午前9時には出勤.
敬老の日ですから大学は閑散としていますが,考古学研究室だけは明かりがついています.
昼過ぎ,昨日まで現場に参加していた2年生が,発掘調査にかんする図書を調べに来ました.
右の写真はその様子ですが,現場で気になったことを調べているのでしょうか・・・私にとっては,うれしい光景です.
それにしても,昨日撤収しておいてよかったなあ・・・と思うと同時に,明日からの天気が大いに気がかりです.
予報では金曜日まで雨.そして,台風13号が九州南部に接近するかも?
石室の上にビニールシートをかけて,だましだまし,作業を進めないといけないかもしれません.
何としても,レンタカーの借用期限までには終わりたい!
ところで,一昨年度のフィールドマスター三好君が,この連休を利用して熊本へ来ています.
カミノハナ古墳群出土遺物の再整理作業をしてくれています.
感謝です!
昨日の夜は,そんな三好君と,今後の熊本の考古学について語りながら,少しお酒を飲みました.
2008年9月14日(日) 21日目
ひとまずの撤収日.
でも,千崎25号墳では写真が撮れていなかったので,学生が自主的に早出することを決め,撮影.
私たちが遅れて現場に到着した際にもまだ写真撮影中でしたが,右はその時の様子.
私が言う前に自ら判断し,下級生を指揮して作業を進めてくれたことがうれしかった・・・
以上の写真撮影以外は,宿舎の撤収作業,それから通いで必要となる器材だけを残しての現場撤収作業に終始しました.
とくに,上天草市から借用しているテントやブルーシートは洗浄したうえで返却する必要があるので,雨だけが心配でしたが,何とか今日1日は天気がもってくれました・・・
よかった・・・
現場器材の撤収作業は,スムーズとはいきませんでしたが,何とか上天草市へ器材を返却し,大学へ持ち帰る器材をトラックに積み終えたのが午後4時頃.
そして,大学到着が午後6時前.資料室や研究室に器材を運び入れて,7時前には解散となりました.
泊まり現場が終わりました.
でも,
5号墳では前庭部の実測作業,
10号墳では北側蓋石の据え直し作業と写真撮影,
25号墳では墓壙断ち割り作業を残しています.
結構,仕事が残ってしまったのですが,効率よくやれば,正味4〜5日の作業量だと思っています.
しかし,今年の段取りの悪さを考えると,ちょっと不安なのですが・・・
何はともあれ,明日からの通い現場,交通事故には細心の注意を払いながら,頑張りたいと思っています.
学生の皆も,頼むよ!
2008年9月13日(土) 20日目
明日,宿舎撤収日.
でも,現場作業はすべて終わらず.おもに実測作業が残りました・・・通い現場だ・・・
今日は千崎5号墳石室の俯瞰写真を撮りたかったので,何としても曇って欲しかったのですが,天が味方したのか,朝からいい感じの薄曇りでした.
大阪から寺前さんが見学に来られたので,私は午前中ご案内していました.その間は,フィールドマスターに前庭部側壁の写真を撮ってもらっていました.
でも,石室俯瞰写真はけっこう危険なので,私が撮影.
下左の写真がその俯瞰写真です.右は東斜め上からです.
次の写真は,前庭部側壁の様子.
左の写真が西側壁,右が東側壁です.
25号墳でも写真撮影が行われました.
下の左上は,俯瞰写真を撮影中のもう一人のフィールドマスター.石棺の上に渡した梯子のうえで頑張ってくれています.
そのほかは,25号墳の現状・・・こんな感じです.
今,夜の11時頃.
2年生男子とお酒を飲みながら談笑中・・・
2008年9月12日(金) 19日目
天草青年の家を脱出!
堅苦しくって,すすんでは泊まりたくない場所でした・・・
下2枚の写真は,青年の家での「朝のつどい」風景.
旗の掲揚とラジオ体操,そしてチクサクコールの15分間・・・
私は今日の午前中,大学へ戻り,宿舎撤収などに利用する教育学部のトラックを借りてきました.
文学部では改修工事が始まっていました・・・季節はもう秋・・・
さて,次の2枚の写真は千崎25号墳.
ようやく西小口部の構造がわかってきました.西小口石は抜き取られていると思われますが,その抜き取り痕は観察できず,小口石を立てた場所を示すと思われるわずかな地山の落ちのみが確認できます.
下の2枚は,千崎5号墳.
今日,羨道閉塞石を取り外しました.写真はそのときの様子ですが,とくに左側は,閉塞石除去直後の様子です.
今日,三好君と山野君が見学ついでに作業を手伝いに来てくれました.
この3年間のフィールドマスターがすべてそろったことになります.
やはり現場を知っている彼らは,動きがきびきびしていますね.こちらが言う前に動いてくれるので,大変仕事がスムーズに進んだような気がします.
ありがとう!
明日は山場.写真撮影です.
薄曇りであることを,心から願っています.
2008年9月11日(木) 18日目
今,熊本県立天草青年の家です.
今日は千客万来.
まずは山崎勝安さん.千崎古墳群の調査を開始して以来,伐採などでずっとお世話になっている方です.昨日,羨道閉塞石がすべて出たので,真っ先に山崎さんに電話をしました.今,見頃ですよって.で,朝一に見学に来て下さいました.
次は奈文研の豊島直博さん.九州へ資料調査に来たついでに立ち寄ってくれました.今日の午後には鹿児島県の神領古墳を見に行くという・・・相変わらず精力的なやつです.
それから天草の観光コースを作っているというご一行.
そして維和小学校6年生17名と先生方.上左の写真は,そのときの様子です.このなかから,将来考古学者になる子が出てくるかな?
さて,千崎5号墳では閉塞石の実測作業と前庭部土層の再検討を行いました.でも,見学者が多くって,また今日は早くに現場作業を終了する必要があって,閉塞石の実測はすべて終了せず.
25号墳でも,西小口部の構造解明と棺床位置の解明を目指しましたが,本日では結論が出ず(上右の写真).
そんなことで,今日は現場作業がそれほど進んだとはいえません.
宿舎撤収が近づいているので,もっとスピードアップをしないと・・・
なぜ早く現場作業を終了する必要があったかというと,今日の宿泊が青年の家となったためです.
以前にも書きましたが,今日の夜の合津マリンステーション宿泊がダブルブッキングしたので,我々が動くことにしたのです.
そのため,朝からステーションの宿泊室を片付け,掃除をし,1泊分の着替えを持って現場へ出発.
青年の家のオリエンテーションが午後5時半開始でしたので,現場作業を4時半に切り上げたのでした.
青年の家は千巌山の頂上付近にある県の施設です.
やはりこういう施設は時間に厳しく,夕食と風呂は6時から7時半までの間に済まさないといけませんでした.慌ただしく,ミーティングまでの時間を過ごしました.
でも,今はミーティング室で,25号墳で取り上げた石材の接合作業などをのんびりと行っています.
マリンステーションとはまた違った雰囲気で,皆の談笑する声と笑い声が心地よい夜です.
青年の家では,木山中学校と教良木小学校との同宿です.
明日の朝のつどいで,旗の掲揚とラジオ体操,そして問題のチクサクコールがあります.
中学生100人のパワー恐るべし・・・なので,どうなることか?
上左の写真は男部屋の2段ベットの上に横たわる2年生.右は青年の家でのミーティングの様子です.
明日,私は,教育学部のトラック借用のため,午前中,大学へ戻ります.
頭を現実の世界に戻すときがそろそろ近づいてきました.
宿舎撤収後の通い現場は何日くらいになるかなあ・・・
それが今の心配の種です.
2008年9月10日(水) 17日目
昨日は11時に寝たので,ようやく眠気がとれました.
そんな今日です.
今日の千崎5号墳.
なかなかうまく進まないので,今日はほぼ私が指揮を執りました.
というのは,今日の夕方に閉塞石を全面検出した状態の写真を撮ってしまわないと,下手をすると2日の無駄がでるので,学生をどんどん配置換えしながら,前庭部の床面の検出作業を行いました.
そして,昨日の土層解釈に誤りがないことが確認でき,そして,日が陰る夕方には予定していたアングルの写真をすべて撮り終えることができました.
熊本大学では,修士1年生がフィールドマスターとなって現場のすべてを段取りし,学部生を適材適所に使って現場作業を進めます.
私のやり方がすべてだとは思いませんが,今日の作業の進行度合いをみて,フィールドマスターが何かを感じてくれることを願っています.
上2枚の写真は,閉塞石の検出状況.
足場を組むのも初めてという学生ばかりですが,2段の足場を組んだ上からも撮影しています.
ところで,今日は,埋め戻し用に買った山砂を,千崎丘陵に持ち上げる作業も行いました.これにはすべての人が従事.
下2枚の写真が,そのときの様子.
私をいれて男が4人,一方,女が9人という現場ですが,重い土のうを運ぶのも,女性が中心となっています.
2008年9月9日(火) 16日目
千崎5号墳の写真を撮るため,早出!
5時起床,5時20分宿舎発,現場では6時から7時前まで写真撮影.
日の出は6時前でした.
早出のせいか今とっても眠いです.
それ以上に,精神的に疲れました.
断面図くらい,間違わないで書いてね.見た目と図面の様子が合わなければ計測値の方を疑うくらいの,モノを見る目をもって欲しい.養って欲しい.
見た目と図面に描かれた線が明らかに異なっているのに,できました,なんて・・・絶句・・・
もう我慢できずに,思わず図面を取り上げて,自ら断面図を書いてしまった・・・
悪いとは思ったのだけれど・・・
さて,今日は,前庭部床面の位置を確定すべく,土層の解釈に終始しました.
地山を掘った礫や土で墓壙を埋め戻し,さらに前庭部床面を造っているので,きわめて判別のつきにくい土層でしたが,何とか一通りの結論を出すことができました.
なかなか3年生もやるね!,と感心した検討の様子でした.
一方,千崎25号墳では,西小口部の構造の把握に手間取っています.
皆,頑張れ!
上左の写真は早出の成果.羨道閉塞石と羨門床石,それから閉塞石前に置かれた置き石の関係がよく分かります.
右の写真は,本日の終了時点.土層解釈に苦労したので,置き石を取り上げただけで終わっています.
2008年9月8日(月) 15日目
本日は,完全休息日.
みんな思い思いの休日を過ごした様子.
しかし私は,午前中,埋め戻し用の山砂を買うため建材屋さんへ向かい,千崎古墳群下の駐車スペースへ搬入してもらう作業を行いました.
現場作業の合間をみて買いに行こうと思っていたのですが,とくに千崎5号墳では目を離せない場面が続き,そうした時間を見つけることができませんでした.ですから,休息日の今日がいい機会でした.
昨年度と同じく0.5立米の砂を買ったのですが,土嚢をつくって丘陵上に運び上げる作業が大変なんですよねえ・・・それは明日以降の仕事です.
さて,砂の購入と搬入が終わったのち,午前中少し時間があったので,千巌山(せんがんざん)へ登ってみました.上左の写真がその展望台からの眺め.
もっとスッキリした天気だったらさらに遠くまで見えたでしょうが,でも,眼前に天草の島々が広がる様は爽快でした.
カミノハナ古墳群,長砂連古墳,広浦古墳がすべて望めます.
維和島はどれか,わかりますか?
午後からは,2年生の女子を案内して長砂連古墳と大戸鼻古墳群へ.
上右の写真は,大戸鼻北古墳の狭い羨道から顔をのぞかせる4人衆です.
見学にもっと時間をとられると思っていたのですが,思いのほか早く終了.で,3時過ぎからリップルランドの温泉につかって,この2週間の疲れをいやしました・・・なんと,のんびりした時間・・・
明日からは,現場終盤戦.
無事に,安全に,すべての作業を終えることができるように,気合いを入れ直して望みたいと思います.
おまけ・・・
宿舎にしている合津マリンステーションには小さな展示スペースがあるのですが,そこに月日貝(ツキヒガイ)があることに気付きました.
マロ塚でも出土していますが,甲冑などの装飾に用いられる二枚貝です.
下の写真はその月日貝.左の茶色い方が左殻,白い方が右殻です.
2008年9月7日(日) 14日目
今日で2週間が過ぎました.
私は現場の生活ペースに慣れて,朝の目覚めなどはすこぶる快調なのですが,初めての発掘調査合宿の2年生,多くの責任ある仕事をしている3年生,そしてフィールドマスターの大学院修士1年生,つまり学生の皆はやはり疲れているようで,お昼のおにぎりの消費量もガクンと減って来ています.
そんなわけで,明日は休息日となりました.
撤収までにすべての作業が終わらない状況であるのに,フィールドマスターの2人はよく決断したと思いますが,でも,この判断は正しいと思います.
現場も大切ですが,人はもっと大切ですから・・・
さて,千崎5号墳では,羨道閉塞石の底辺がようやく顔をのぞかせ始めました.
そして今日は,前庭部床面を確認する作業に徹した感じです.上2枚の写真がその様子です.
閉塞石は羨門床石に接して立っており,その前に石積みがなされていています.石積みは,大きな地山礫を多く含む土層の上に直接のっていて,その土層は羨門側壁の直下にあるものと同じです.
つまり,大きな地山礫を多く含む土層が前庭部の床面を構成していたと推測できます.
その上に,前庭部側壁と,羨道閉塞石前面置き石が置かれたのでしょう.
一方の千崎25号墳.
西側小口石の存在,あるいはその位置がわからないままとなっています.下2枚の写真がその様子ですが,う〜ん,どうなるのかなあ・・・
2008年9月6日(土) 13日目
今日は現地説明会.
ですので,現場作業はそれほど進展していません.
5号墳では,昨日取り上げた羨道閉塞石前面置き石直下にあるさらに別の置き石上面を検出し,その平面図と断面図を作成するところまでで終了.
あとは,現説に備えた清掃などの準備作業に移行しました.
10号墳および25号墳では,本日のはじめから現説に向けた準備作業.
あとで現地をみて気付いたことですが,25号墳では墓壙ラインに白線を引く作業に苦労していたみたいです.だって,まったく別の場所に白線を引いているのにそれで良しとしているのですから,よっぽど時間がなかったのでしょう・・・
どうして,準備にこれほど苦労をしてまで現地説明会を行う必要があるのでしょうか?
昨年度の日誌にも書いた覚えがあるのですが,私は,どんな小さな現場でも,あるいはほとんど成果がなかったとしても,発掘調査を実施した限りは,何らかの説明会を行うべきだと考えています.
我々は何のために考古学を学んでいるのか.
何のために発掘調査を実施しているのか.
もちろん,自身の知的関心を満たすこと,あるいは大学では学生を教育することも重要な要素です.
しかし,そこから得た知識を一般市民の方々に還元し,地域の歴史に関心をもっていただくことなしには,考古学という学問をする意味が半減してしまうのではないでしょうか.
と同時に,説明会に参加していただくことで,考古学という学問に対する理解者を増やしていく・・・
考古学って,とくに発掘調査って,一般市民の方々の理解がなくてはなかなか成り立たないものですから,何をしているの?っていう人々の疑問に答えるためにも,無理をしてでも説明会を実施すべきです.
私が,大学の実習調査であっても,学生に無理矢理準備させ,無理矢理説明の場に立たせるのは,そういった意図があるからです.
今日,説明の場に立ったフィールドマスターの2人は,どのように感じてくれたのでしょうか・・・
今日の現説の参加者は30名余りでしたが,上天草市の文化財保護委員の方々も来られていて,かなり鋭い質問が飛んでいました.
大矢野町の時代に最初にお世話になった和田さん(元大矢野町史編纂室)も来られていて,私にとってはかなり心にグッと来る現説でした・・・千崎での調査の長さ,歩みを思い返してしまいました.だって,和田さん,無事勤め上げましたってご挨拶されたのですから,時の流れを感じてしまいます・・・
さて,今日は,写真を多くしてみました・・・
この2枚は宿舎の様子.右側は,昼食のおにぎりをにぎる学生さんです.
左の写真は,朝の出発風景.最近は,天草青年の家で使われている「チクサクコール」で出発です.
右は,千崎古墳群に向かう現説参加者の皆様.暑い中,多くの方々が参加して下さり,本当に感謝です.
現説風景・・・受付と休憩所です.
そして最後は,フィールドマスター2人の雄姿.
左は一本君,右は高濱さんです.とっても頑張っていましたねえ・・・うれしかったな・・・
2008年9月5日(金) 12日目
ちょっと前から気になっていたことですが,一部の石材を外しすぎた可能性があります.
前庭部の東側側壁を構成する2石・・・
そして,前庭部の東側に大きく崩れていた石材(8月28日の写真参照)は,前庭部の東側側壁を構成していたものである可能性があります.
これに気付いたのは夜のミーティングの最中です.
なぜこんなところに原位置を動いた石材が多数あるのだろうと疑問でしたが,それらを明確に解釈できる可能性が高くなりました.ちょっと掘りすぎたきらいはありますが・・・
上左の写真は本日の途中経過.右の写真は本日の最終の状況です.
羨道閉塞石前面置き石は,あと2〜3層分を残すのみだとは思いますが,その後の手順が多いので,撤収予定日までにすべての作業が終わるとは到底思えません.このことは学生にも伝えていますが,そろそろ通いの現場の段取りも考えないといけなくなってきました・・・
さて,明日は現地説明会.
調査はまだ中盤ですが,調査開始前から現説の日程を決定していましたので,明日は途中経過を見ていただくことになります.
でも,幸いにして,千崎5号墳では,羨道閉塞石とその前面に置かれた置き石,そして土層の状況もすべてセットでみていただける状態にありますので,現説はこのタイミングでよかったのかな?,とも思っています.
2008年9月4日(木) 11日目
上2枚の写真は,千崎5号墳.下2枚は25号墳.
千崎5号墳では,羨道閉塞石前面置き石の取り上げ作業と,それらがどのような状況で据えられているのかについて検討中です.
今わかっているのは,羨道前面の墓壙埋土には少なくとも2種類があり,下層は地山礫を多量に含む黄色粘質土,上層は羨道閉塞石前面置き石とその間に詰め込まれた白色粘質土だということです.
もっと下げないとはっきりしたことはわからないのですが,羨道閉塞石前面置き石は地山礫混混じりの黄色粘質土の上に置かれた可能性,あるいは,地山礫混じりの黄色粘質土が先の墓壙埋土であって,それがのちに掘り込まれ,その部分に羨道閉塞石前面置き石が白色粘質土とともに充填された可能性などが考えられます.
こうした土層の解釈と格闘する3年生をたくましく思いながら,フィールドマスターには,もっと指導力を発揮せいよって思ってしまいます・・・
頑張れ!
千崎25号墳でも,石橋をたたいても渡らないというフィールドマスターの慎重さもあって,なかなか進んでいないのですが,ようやく,箱式石棺の長側石と小口石の上面輪郭がみえてきました・・・ホッ・・・
あとはそれをきれいに検出して,いい写真を撮って欲しいと思っています.
さて,現説まであと2日・・・
今,ミーティング後の時間ですが,学生達が現説に向けての準備をしています.
フィールドマスターよ!
しっかりした段取りを頼みますよ!
2008年9月3日(水) 10日目
昨日,いろいろ資料を調べていて寝るのが遅くなったので,今日の今,とっても眠いです.
まぶたが今にも閉じそう・・・
上の写真は千崎5号墳の羨道閉塞石前面にある積み石の状況ですが,やはりこれは閉塞後の置き石.
そこで,思い切って外そうと考えていたのですが,なかなか思うようには進みませんねえ.
でも,前庭部とも墓道ともいえる箇所の土層の状況が,ようやくつかめつつあります.
写真にはその様子も写っています.
今,頭が痛いのは,泊まりの最終日までに終わりそうにないぞっていう点です.
今日,私は通い現場になることを覚悟しました・・・
2008年9月2日(火) 9日目
やはり現場は生もの.
昨日書いた「羨道前壁」ですが,やはり腑に落ちないので,熊本県の古城さんに電話をしてアドバイスをいただきました.そして,夜に大学へ資料を取りに帰ることを決意.
ですので,梶さん作の料理を食べることなく,温泉で汗を流したあとすぐ,午後7時45分頃,大学へ向かいました.
宿舎には11時過ぎに戻ったのですが,そのあと各種報告書をみていて,千崎5号墳の様子は鋤崎古墳の羨道閉塞石とその前面に置かれた平石の状況によく似ているなあって,今思っています.
明日,思い切って掘り下げることを考えています.
今日から2年生が復帰.
今日までの状況を説明するついでに,千崎丘陵を少し歩いたのですが,もう草が生い茂っていてひどい状態です.
何とかかんとか,千崎古墳群でもっとも立派な22号墳の箱式石棺に到着し,その前で記念撮影(上右の写真,クリックすると大きくなります).
上左の写真は,千崎25号墳の説明を受けている様子です.
下の2枚は,本日の千崎5号墳の状況.
下右の写真の右側部分をどんどんと掘り下げたいのですが,明日どれくらい要領よくやってくれるかな?
現説まであと4日なので,何とか決着をつけたいと思っています.
2008年9月1日(月) 8日目
現場はこの2日間ぐらいで急展開,そして混迷しています.
集中講義で2年生がいない間に,新たな解釈をする余地が生じてきました.明日,2年生が5日ぶりに復帰するのですが,大いにとまどうかもしれません.
惜しむらくは,現場で頭を悩まし,各種の可能性を考え,もっとも妥当と思われる解釈を導き出すという,いわばフィールド作業の醍醐味を2年生に経験させてやれなかったこと.
必修の集中講義のせいとはいえ,これは彼らにとってマイナスとなるかもしれません.
でも,彼らが今後,積極的に各地の発掘調査に参加することですぐに取り返せる経験なので,そんなに深刻なものではありませんが・・・今後のそうした彼らに期待したいと思います.
さて,何が大きく変わってきたのかというと,千崎5号墳の羨道閉塞石前に置かれているようにみえる石材の性格です.
つい昨日までは,それは,羨道閉塞石を設置したのち,それを外側から,つまり前庭部あるいは墓道側から押さえる意味で積み上げられたものとみていたのですが,はたしてそうなのか?
別の解釈ができる余地も出てきました.
横穴式石室の玄室や羨道の壁体を構築するのと同時に構築された,いわば「羨道前壁」といったようなものかもしれない??
つまり,平面プランは横穴式石室の形態をなすのですが,それを構築する際には羨道前面にも壁を構築しているという可能性です.
ちょっと信じがたいことなので,明日以降,慎重に検討したいと思っていますが,難しいのは,「羨道前壁」であるとした場合,それを外すことは壁体を破壊することと同じことになる点です.
ですので,積み石と考えていた段階とは,調査手法そのものを変更する必要があります.
でも,逡巡していても仕方がないので,その性格が確定できるまで,断ち割り作業と考えて,ある程度まで石材を外していこうと思っています.
フィールドマスターには,この状況を正しく理解して欲しいなあって思っています.
現場でもミーティングでも,何度も繰り返し伝えてはいますが・・・
他方,千崎25号墳.
石棺の全長が1mに満たない可能性が出てきました.
鹿児島県の長島にある石棺のようなイメージです.
はたして,これも正しいのか?
明日以降,慎重に検討したいと思っています.
このような難しい局面を迎えたこの2日間ですが,今回の現場の中心である3年生,やはり1年たつと違うなあと思わせてくれていて,今日はちょっとうれしかったです.
上の写真は,千崎5号墳の「羨道前壁」部とその墓壙埋土の様子です.
千崎丘陵の地山を見たことがない人には見極めがつきにくいと思いますが,作業をする女性の手元の右側が墓壙内,左側が墓壙外,つまり地山です.
そうそう,皆お疲れ気味なので,今日の夜は自炊をやめて,モスバーガー・・・うれしそうな女性の笑顔が印象的でした・・・
2008年8月31日(日) 7日目
今回の現場,思いもよらない出来事2題.
1.竜宮温泉の外湯中止!
千崎古墳群の調査が始まって以来5年間,利用させていただいていたホテル竜宮の温泉ですが,9月1日より外湯を中止しますとのこと・・・
なんと突然・・・とも思ったのですが,最近改装を盛んにやっていて,ちょっと高級感を醸し出していたので,そのせいかなあと思います.わずかなことですが,自販機のジュース類が去年は確か120円だったのですが,今年は150円になっていました.こんなところからも変化を感じ取ってしまいます.
じゃあ,風呂はどうするんだってことですけれど,ごく近くに健康ランドがあるので,明日はそちらに行ってみようと思っています.
2.宿舎にしているマリンステーションのダブルブッキング!
こちらはもっと何という!!ってことですけれど,マリンステーションの責任者逸見(へんみ)先生と大学事務のチェックをすり抜け,9月11日の夜は,高校生の研修45名とかぶったという・・・
とくに大学事務は,我々と高校生の団体の双方から書類を提出させ,さらにお金まで徴収しているのですから,もっときちっと仕事をして欲しいと思います.事務の仕事のいい加減さが図らずも露呈してしまったのでしょうか?
今日の朝,逸見先生がたいへん恐縮して私に事情を説明されました.
しかし,ここでごねてもしょうがないし,何の解決にもならなりません.
対処方法は2つ.時間が迫っているので,我々が動くか高校生団体が動くかしかありません.
そこで考えました.
我々がその日だけ宿舎を変える方が,すべての人にとって得策であろうと・・・
そんなわけで,今日の昼休みから2時過ぎまで,逸見先生と一緒に9月11日に泊まれるところを探し交渉し,決めてきました.こんな雑用で時間を取られても仕方ないので,即決です.
避難先は,熊本県立天草青年の家.
そこに9月11日の夜だけ宿泊することを決めました.
その,青年の家の様子については,また書きたいと思います.
さて,現場は遅々とした進み具合で,なかなか新たな進展はないのですが,千崎5号墳では羨道前の墓壙ラインが検出されたようなされないような?
25号墳では,石棺の長さがたいへん短いような,そうでないような?
明日にはっきりして欲しいなあと願っています.
フィールドマスターのM1の2人! 適切な判断と人員配置をしっかりと!
ところで,今日で1週間.しんどい仕事はしていないのですが,けっこう皆お疲れモード.
上の写真は,現場で眠りに落ちるお姫様2人です.
2008年8月30日(土) 6日目
千崎5号墳.今日,やっと進み出しました.
上左の写真は,調査前の羨道閉塞石前面積石の様子.写真の左側の石材が本来の位置から若干崩れている様子がよく分かります.
上右の写真は,今日の調査後の写真.原位置を保たないと判断される石材から取り上げていきました.今残っているのは本来の位置を保つ石材がほとんどです.
いよいよ明日から,この部分の石材を取り上げていきます.
25号墳は,表土除去作業を継続中.なかなか進まないですが,まあ,よく考えて掘っているようです.
今日の午後に,4年生2人と修士2年生1人が来てくれました.
やはりしっかりしていますね.フィールドマスターの方がドギマギしているような・・・
この3人が来てくれたおかげで,男対女が2対8になりました.こんな男女比の現場を経験したことがないので,私はなかなか新鮮ですが,もう1人の男性の一本君はどうなのかな?
さて,今日,新しい千崎Tシャツが仕上がってきました.
担当の古墳ごとに色分けされているのですが,私のは何とピンク色.
今着ているのですが,その色が目に映ってチカチカします・・・
2008年8月29日(金) 5日目
ようやく発掘調査らしくなってきました.
千崎25号墳では,遅々としていますが掘り下げを開始(上右の写真).
千崎5号墳では,調査区を設定したのち,完全に死んでいる石の取り上げ開始.
適切な段取りと的確な人員配置,上手な雰囲気作りが,これからの現場の進行を左右します.現場の成否を決めることになります.フィールドマスターの2人,一本君と高濱さんの手腕がためされる時です.頑張れ!
今年少し悩んでいるのは,どの程度までフィールドマスターをフォローするのか,という点です.
とくに5号墳では難しい場所,羨道の閉塞部を掘っているので,その悩みはひとしおです.
う〜ん・・・今日までの段取りをみていると任せるのは無理かな?
さて,今日の現場は,M1の2人と3年生の4人,そして私だけでした.たったの7人・・・昼食の輪がとっても小さかった・・・
上左の写真は,そんな少人数での現場ミーティング風景.
ほんとに少ないなあ・・・
2008年8月28日(木) 4日目
甲元先生ご来訪.
で,夕食の一品は三角港で買っていただいたカニ・・・さすが,甲元先生!
また,女性が多いということでケーキと大量の酎ハイの差し入れ.冷蔵庫が一杯です.
さて,いよいよ,千崎5号墳では現状の写真を撮り終え,割り付けと調査区の設定に入りました.上左の写真は,その羨道閉塞石の前に積み上げられた石材の様子です.クリックすると大きくなります.
25号墳では掘り下げを開始.10号墳の北側蓋石実測はほぼ終了.
ようやく現場が本格的に動き出した気がします.でも,5号墳は大いに心配かな・・・うまく段取りしてくれることを願っています.
明日からの集中講義にどうしても出なければならない2年生を,本日の夕食後に帰しました.したがって,男性2人,女性6人のごく少数で過ごす夜となっています.
上左は,そんな少人数でのミーティングの様子.3年生が一箇所にかたまってしまうと,閑散とした雰囲気がありありです.少し寂しい夜となっています.
2008年8月27日(水) 3日目
現場3日目にして雨・・・
午前中は曇っていたけれど,順調に作業は進行.
でも,昼のおにぎりのあと,降雨.
5号墳では,石室の上にビニールハウス用のシートをかけて,だましだまし清掃作業を行っていたのですが,その作業の区切りがついたところで少し小雨になったので撤収.午後2時半.
こうした雨の時は撤収の判断がたいへん難しいのですが,フィールドマスターの一本君,えらい悩んでいましたねえ・・・決断力が大切です!
降雨コールドのため今日は作業がそれほど進行しなかったのですが,でも,10号墳の石棺蓋石実測はなかなか順調な様子.よく考えて作業を進めてくれているようです.
やや遅れ気味は5号墳.
早く現状の写真を撮ってしまわないと終了がみえてこないので,何とか明日,写真を撮ってしまいたいのですが,天気が心配ですね・・・
今日は少し先輩の宮本さんが現場来訪.夕食当番もやってくれました.
なかなか楽しい女性で,今,これを書いてる隣でけっこう飲んでいます.にぎやかな,ひさびさにビールのすすむ夜ですね・・・
さて,上左の写真は25号墳でトータルステーションを使う院生と2年生.2年生は,現場の緊張感のもとではじめて精密機械を使います.
上右の写真は,シートをかけた5号墳石室の下で,フィールドマスターからの説明を聞く宮本さんとD2の神川さん.たくさんの差し入れ,ありがとう!
今日の一言不足で,本日の一言はお休み・・・
2008年8月26日(火) 2日目
現場2日目の今日は,写真ですべての調査区の紹介を・・・
上左:千崎5号墳
羨道閉塞状況の確認が調査目的.閉塞石の前面を押さえる石材の除去がもっとも大事な作業となります.そして,閉塞石がどのように据えられているのか,前庭部の構築過程がどのようになっているのか.こうしたことがわかれば・・・と思っています.
上右:千崎25号墳
箱式石棺ですが,もう1つ構造が不明なままでした.確実に石棺石材とわかるのは1枚のみで,それ以外は?? 抜き取られているのかなあと今は思っていますが,そうした痕跡を検出でき,本来の石棺の規模がわかればと思っています.
下左:千崎10号墳
昨年度の発掘調査終了後,箱式石棺の北側蓋石の割れ口に接合する破片があることに気付きました.でも,概報発行までに残された時間がなく,接合後の実測図作成と俯瞰写真撮影を行うことができませんでした.それを実施することが今回の目的.今日から開始しましたが,あと1〜2日で終了するでしょう.
下右:おまけ・・・お昼ごはんのおにぎり,配給前.
熊大の発掘調査は,朝・昼・晩,完全自炊.
ほかの大学の現場では弁当をとっていることが多いなんて,熊大生には想像もできないでしょう.でも,この現場で食べるおにぎり,すこぶるおいしいのです.そして,学生さんが作ってくれるおかず一品.これも毎日楽しみです.ちなみに,今日のお昼の一品はナスのみそ炒め.ついでに夜は,コロッケ三種・・・ジャガイモ,紫イモ,カボチャ!
日頃はそんなに食べないのですが,現場では食べてしまいますねえ・・・
そうそう,そんな夕食時のある名古屋人の一言.
「一人暮らし歴2年で,コロッケの作り方を覚えたなんて,マジないし」
さて,今日の一言は,もう一人のフィールドマスターTさんです.
T弁を名古屋弁だと強硬に主張するおもろいやつです.どうぞ!
キャッホー
2008年8月25日(月) 初日
今年の調査,開始です.
昨年は,発掘当初の1週間を通いで行うという変則的な開始でしたが,今年は今日から泊まりも開始.
宿舎は合津マリンステーション.ここで過ごす夏も,もう5回目です.
こんな贅沢な発掘現場の宿舎を最初に経験した学生さん達は,高熊古墳調査時の畳と床がボコボコの民家なんて想像もできないだろうなあって思います.
というのも,マリンステーションの設備は年々良くなっていて,5年前も泊まり部屋にクーラーがあって「なんとまあ・・・」と思ったのですが,去年からは食堂にもクーラーが設置され,洗濯機も新しくなり・・・でも,まあ,いいことなのですが・・・来年から宿舎をどうしようかと,今から頭を悩ませています.
さて,今日の現場は,大学からの器材搬出,宿舎と現場への器材搬入,そして,千崎5号墳横穴式石室内に詰め込んだ土嚢上げ,千崎10号墳北側蓋石の破片接合後の真俯瞰写真撮影.
こんなところでしょうか.
私といえば,毎年のことながら,大学と現場を1往復半.
教育学部から借りたトラックに荷物を積んで現場と大学を往復,そして大学でレンタカーの軽バンに乗り換えて現場へ.230qのドライブで,昨夜のイラストレータと相まって,夕方からえらい肩こりでビリビリです.
上左の写真は,お昼の様子.
まだテントの搬入前なので,日陰で皆,休んでいます.
上右の写真は,石室内に詰め込んだ土嚢が顔をのぞかせ始めた千崎5号墳.
いよいよです!
さて,今日の一言は,今年のフィールドマスターI君です.
頑張れ!!
本日より2008年度の熊本大学の考古学研究室の調査実習が始まりました。
本調査では5・10・25号墳の調査を行います。
今回、僕はFMをやることとなり、5号墳を担当することになりました。
先生曰く「ここ(千崎)の調査は今年で最後」だそうです。
調査内容も最後にふさわしく前庭部の構造解明が目的となり、現在前庭部にある生きていると思われる石材を取り上げながらの調査となります。
今日は初日なので現場到着後、器材を搬入してから前年度の埋め戻し土の除去と土嚢上げに一日を費やしました。
植物根が例年より多く、特に石室上部は不用意に土嚢を引き上げようとすると、生きている石材が根に引きずられて動いてしまいそうな状況でした。このため作業は慎重に進めざるを得ず、結局今日は仕切り石の上部が見えるところまで土嚢を上げて作業を終了しました。
話は変わりますけど、初日早々またもスズメバチと遭遇しました。いい加減駆除されないかなぁ。
後、今日は食事当番をしてくれた4年生が先生の誕生日を祝ってケーキとプレゼントが用意されてました。ケーキについてはしっかりおこぼれに預かりました(笑)。
そんなこんなでこれからの3週間、天草で調査に従事し、成長して熊本に帰ります!
本調査では5・10・25号墳の調査を行います。
今回、僕はFMをやることとなり、5号墳を担当することになりました。
先生曰く「ここ(千崎)の調査は今年で最後」だそうです。
調査内容も最後にふさわしく前庭部の構造解明が目的となり、現在前庭部にある生きていると思われる石材を取り上げながらの調査となります。
今日は初日なので現場到着後、器材を搬入してから前年度の埋め戻し土の除去と土嚢上げに一日を費やしました。
植物根が例年より多く、特に石室上部は不用意に土嚢を引き上げようとすると、生きている石材が根に引きずられて動いてしまいそうな状況でした。このため作業は慎重に進めざるを得ず、結局今日は仕切り石の上部が見えるところまで土嚢を上げて作業を終了しました。
話は変わりますけど、初日早々またもスズメバチと遭遇しました。いい加減駆除されないかなぁ。
後、今日は食事当番をしてくれた4年生が先生の誕生日を祝ってケーキとプレゼントが用意されてました。ケーキについてはしっかりおこぼれに預かりました(笑)。
そんなこんなでこれからの3週間、天草で調査に従事し、成長して熊本に帰ります!
2008年8月18日(月) 調査開始1週間前
今年の発掘調査開始まで,あと1週間.
ここ数年,今年こそ千崎古墳群にケリをつけるといいながら,なかなか終わらず,またこの夏も千崎古墳群で発掘調査実習を行います.
今日は,その調査前の打ち合わせと器材準備,梱包作業.
今年のフィールドマスターの一本君,高濱さんを中心にその作業を進めてくれています.
右の写真は,器材準備の説明をする高濱さんとそれを聞く参加者たち.
年々,学生数が減っていて,今年は2年生7人,3年生4人・・・男も年々減っていて,学部生では2年生の2人のみ.
今日は様子を見ていましたが,緊張感をもって臨んでいてくれているようです.
現場で,彼女ら彼らが1つのチームになってくれることを願っています.
現場では,これがもっとも大切ですよね!