
近代アジアの文学と翻訳
西洋受容・植民地・日本
ひとこと紹介
本書は「翻訳」をテーマとする論文集。日本比較文学会九州支部のメンバーが編集・執筆しました。
「翻訳」は比較文学の重要なテーマです。たとえば、日本近代文学は翻訳を抜きに語れません。多くの作家は創作と同時に翻訳を行い、あるいは翻訳を通して外国文学を吸収したからです。本書はアジア諸地域における翻訳・翻案に目を向け、地域間の文学・文化の変容及び関わり合いを明らかにしようとするものです。
私はイタリアの児童文学『クオーレ』が、日本を経由して中国で受容されたことについて論文を書きました。今では「母を訪ねて三千里」(『クオーレ』所収)が知られるぐらいですが、近代日本と中国でよく読まれた本です。『窓ぎわのトットちゃん』の作者黒柳徹子さんが子どもの頃読み聞かせをしてもらった本であることから、その影響が今日にまで及んでいることが想像できます。
主要目次
- 第Ⅰ部 日本における「翻訳」と西欧、ロシア
- 第Ⅱ部 近代中国における「翻訳」と日本
- 第Ⅲ部 日本の旧植民地における「翻訳」
- 第Ⅳ部 東南アジアにおける「翻訳」
※ 詳細な目次は出版社のページでご確認ください。