
薬害とはなにか
新しい薬害の社会学
ひとこと紹介
本書は、「薬害とはなにか」について主に社会学的観点から検討したものです。「薬害」とは単なる健康被害ではなく、それを越えて、生活や人生を壊される経験であることに言及されています。「第1部 基礎篇」では薬害を理解するための基礎的概念、「第2部 各論篇」ではサリドマイド薬害、薬害スモン、薬害エイズ、薬害肝炎が取り上げられています。「第3部 応用篇」では薬害教育、メディア表象、食品公害が論じられています。
私はコラム「売血と献血」を執筆しました。薬害エイズ事件や薬害C型肝炎事件では、血液製剤の使用を通してHIVやC型肝炎ウイルスの感染が引き起こされました。日本における血液提供の歴史と提供された血液のウイルス除去の問題について書きました。
本書を通して「薬害とはなにか」を考えるきっかけになれば幸いです。
主要目次
- はじめに
- 第I部 基礎篇
- 第1章 薬害の定義と薬害概念
- 第2章 薬害問題の構築プロセス
- 第3章 薬害被害と再発防止策
- 第4章 医療の不確実性と薬害
- 第II部 各論篇
- 第5章 サリドマイド薬害─被害は障害者に対する排除と差別から始まっている
- 第6章 薬害スモン─「病んでいる社会」の発見
- 第7章 薬害エイズ(1)─未知の病いの当事者となること
- 第8章 薬害エイズ(2)─薬害と医師の経験
- 第9章 薬害肝炎─感染と被害とは必ずしも同義ではない
- 第III部 応用篇
- 第10章 薬害根絶への思いと薬害教育
- 第11章 薬害エイズ事件のメディア表象の分析
- 第12章 制度化からみる薬害と食品公害
- 推薦図書一覧
- おわりに
※ 詳細な目次は出版社のページでご確認ください。