
この本に関わった教員
杉井 健
Takeshi SUGII
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先史・原史天草の文化と古墳
上天草市史 姫戸町・龍ヶ岳町編2 原始・古代
ひとこと紹介
上天草市姫戸町・龍ヶ岳町は、熊本県の西部、天草諸島の上島東岸に位置する町で、八代海に面しています。本書は、そうした姫戸町・龍ヶ岳町にある遺跡の分析を出発点にして、天草諸島における旧石器時代から古墳時代までの歴史をまとめたものです。
天草諸島は、九州島西岸を南北に伝う交通ルートの中間地点に位置するため、古来、九州島北部と南部の人々が行き交う場所でした。本書ではこの点に着目し、九州島南北の文化要素が混じり合う天草諸島の歴史的特質について論じています。なかでも、龍ヶ岳町に所在する大道鬼の 釜古墳の横穴式石室は天草諸島でもっとも大きいのですが、そのような古墳がなぜ当地に築かれるに至ったのかについて、八代海の海上ルートとの関係も視野に入れながら考察しています。
ほかに、本書では、放射性炭素(C14)年代測定法など、考古学の調査・研究手法の説明もていねいに行い、また、熊本県地域の縄文土器や弥生土器の変遷過程、古墳の特徴、古墳の築造動向などについてもくわしく解説しています。さらに、巻末には、天草諸島の古墳めぐりに役立つよう、当地に築かれた横穴式石室の図面や写真を集めて掲載しています。
考古学に興味のある方、古墳に興味のある方、天草諸島の原始・古代に興味のある方はぜひお手にとってご覧ください。
主要目次
- 序
- 一 姫戸町・龍ヶ岳町の先史・原史の資料
- 二 古墳時代概観および龍ヶ岳町大道鬼の釜古墳の様相
- 三 古墳時代にいたるまでの天草諸島
- 四 古墳時代の天草諸島と大道鬼の釜古墳
- 五 おわりに―上天草市の文化財を将来に伝えるために
- 付 天草諸島周辺の横穴式石室実測図・写真集成