文学部通信17号
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文学部 ~この1年~文学部 ~この1年~2018年3月1日発行  - 震災を乗り越えた「活動力」 - 五高記念館などまだまだ元通りとはいかない施設や設備が見受けられるものの、教育環境自体は既に復興し、学生たちは力強く学びや研究に励んでいます。2017年度のコミュニケーション情報学科の活動は、震災前以上に活発で好調な滑り出しでした。■17年度の就職内定率100%を達成 今年度卒業予定の学生34名の就職内定率は100%(18年1月末)と、ここ数年の9割前後の水準に比べ大きく改善しました(昨年度は90.5%)。時期がずれているため単純比較はできませんが、文部科学省と厚生労働省による調査での大学(学部)内定率75.2%を上回っています1。 内定先の業界・業種としては、人文系で地元志向の強い女子学生の受け皿になっている金融(銀行・証券・保険)関連に加え、情報通信関連や建設・住宅関連の企業が多くなっています。金融と同じ4名が進む予定の情報通信関連は成長産業であり、システム・エンジニアであっても文系学生にも門戸を開いているため、キャリア志向、全国型企業を目指す学生に人気があります。また、東京オリンピックや震災の影響があるのか、建設・住宅系が3名に加え、建材・設備や不動産、関連分野のコンサルティング会社などを加えると、7名が住宅や商業、都市開発系の分野に進みます。 コース1期生が卒業した07年3月以来12年間の通算就職率(18年度は内定率)は91.0%(進路決定率は93.6%)2で、やはり金融、情報通信、製造、流通などへの就職が目立ちます。また、他大学の人文系学部や本学部の他学科に比べて教員や公務員に進む学生が少ないことも、本学科の特徴です。 一方で、「コミュニケーションを自在に使いこなし、社会で先進的な役割を担っていく」という人材育成目標からすると、マスコミ関連企業への就職が、コース設定当初に比べ、大幅に減少していることが気がかりです。教育プログラムの問題あるいは学生のニーズとの乖離が生じていると捉え、改善に向けた議論や試行を重ねています。■実践英語と課題解決を通じた人材育成 本学科の教育は、「言語運用能力」と「情報・メディア運用能力」といったスキル開発をベースに、「発見力」「思考力」「伝達力」を高めていくことを当初から志向しており、実践的な英語教育の徹底と、実社会の課題解決などをテーマとしたプロジェクト型学習3の導入を、プログラム上の特徴としています。 英語教育においては、TOEIC4やIELTS5などの外部テストによる実践能力強化に加え、海外での多様な実体験を通じたコミュニケーション能力の定着を重視しています。今年度は、大学や学部単位での協定に基づく交換留学生7名が、イギリス、オーストラリア、ベトナムで半年以上の海外経験を積んでおり、うち1名は「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」6の対象者に選抜されています。また、夏期休暇を利用して7名がカナダ、ニュージーランド、フィリピンへ短期留学をおこなったほか、冬期休暇にも数名が英国などに留学する予定です。 プロジェクト学習については、従来から継続しているプログラムに加え、今年度は社会連携型のプロジェクトへの参加が目立ちました。 水俣病や水俣の文化を踏まえたうえで現地の企業などと協力し新商品や地域再生プランを企画するという授業や、地元百貨店と連携し、イベントなどを通じて顧客との関係強化をおこない実践的なマーケティングの知識やノウハウを獲得しようという『スコラチエロ』などが従来からのプログラムとして継続されています。また、一昨年度リニュアルした授業『情報技術応用演習』の今年度のテーマは「子どもと社会的支援」。甚大な被災を受けた益城町で課外学習支援をおこなっているNPOカタリバや、無料または低料金で子どもたちに食事を提供するコミュニティである「子ども食堂」などを実際に取材し、新聞を製作しました。 また、今年度の特別なプロジェクトとして、特許庁主催の『九州地域ブランド総選挙』7に参加しています。沖縄を除く九州各県の大学から15チームが参加し、県ごとに選定された地域ブランド(地域団体商標)のブランド・ストーリーや事業プランを考えPRをおこなう活動で、本学科の2チームは、天草黒牛と小国杉をそれぞれ担当しています。コンテストの結果はまだですが(18年3月発表予定)、何度も取材や議論を重ね、Instagramでも情報発信しています。 さらには、出版社との共同企画で、熊本市内の新入大学生向けに発行されるタウン誌(18年春発行予定)の編集プロジェクトに、他大学の学生と一緒に参加し、取材や編集をおこなっている学生もいます。 世界中がネットワークでつながり、好む好まざるに関わらず、コミュニケーションが強制される時代。単に知識があるだけでない自ら「動ける」「働きかける」大人を育てたい、と私たちは考えています。注釈1.10月時点での調査数値、10月から12月にかけて内定率は毎年10ポイント強アップします。例年同様であれば、全国平均の12月の内定率は85%から90%程度と考えられます。2.進路把握の難しい留学生を除いた376名(本学大学院修了3名を含む)が対象。内342名が就職(就職予定)で、10名が大学院等に進学(進学予定)です。3.現実の社会課題に対して、学生が主体的に企画を立案し、周囲を巻き込みながら企画を形にしていこうという形態の学びで、課題発見力や解決力強化を目的としています。4.国際コミュニケーション英語能力テスト。860点以上のAレベルは「Non-Nativeとして十分にコミュニケーションできる」とされています。今年度が2名が900点以上の成績を修めています。5.オーストラリア、イギリス、カナダ、ニュージーランドなどのほとんどの教育機関で受け入れられている英語検定のひとつで、アメリカでも多くの大学が対応しています。6.一般的な留学への奨学金制度とは異なるのは、官民をあげた研修やインターンといった準備に加え、企業の人材がメンターにつくなど、グローバル人材を育成するプロジェクトとして位置づけられている点です。7.https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/t_dantai_syouhyou/171201_kyushu_sosenkyo.htm : 特許庁のホームページ。6コミュニケーション情報学科▲小国ゆうステーション取材時のスナップ

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