文学部通信17号
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Newsletter, Faculty of Letters, Kumamoto UniversityNewsletter, Faculty of Letters, Kumamoto Universityグローバル・グローカル人材の育成機関として2017年度の教務委員会について2017年度の学生支援委員会を振り返って2017年度 新任教員の紹介文学部~この1年~ 総合人間学科/歴史学科 文学科/コミュニケーション情報学科留学体験記インターンシップに参加してグローバルリーダーコース報告第14回21世紀文学部フォーラムの報告2017年度オープンキャンパス永青文庫研究センター活動報告2017年度熊本大学文学会活動報告・・1・・・・・2・・2・・・・・・・・2・・・・・・・・・3~6 ・・・・・・・・・・・・・・7・・・・・・・7・・・・・・7・・8・・・・・・8・・・・・8・・・・8目 次熊本大学文学部ニューズレター 第17号 2018年3月1日発行熊本大学文学部ニューズレター 第17号 2018年3月1日発行五高記念館も平成33年度中には改修完了 熊本地震から約2年が経ち、教育研究活動のほぼ全ては従来の状態に戻りました。文学部に特に関連する施設で唯一残っていた「五高記念館」が、これから改修工事に入ります。壁面のひび割れだけでなく、内部も漆喰で覆われていたレンガが落下したり、傷みは見た目以上のものでした。これから外部を崩壊等を防ぐ鉄枠で囲み、屋根を取り外したうえで、本格的な耐震補強を行うことになります。工事の完了は平成33年度になりますが、熊本大学のシンボルに相応しいミュージアムとしてだけでなく、観光名所の一つになるはずですので、皆様もぜひお越しいただければと思います。グローバルリーダーの育成を目指した教育へ 熊本大学文学部が最も力を入れているのは言うまでもなく、教育です。その基本は旧制第五高等学校以来の伝統を守りつつ、革新し続けることだと思います。 平成29年度における革新の一つが「グローバルリーダーコース」の設置です。その目的は、多様な価値観を受け入れられる豊かな教養と国際感覚、確かな専門性と柔軟性のある創造的な思考力を身に付け、国内外における地域の課題をグローバルな視点で考え、果敢に行動できる人を育てることです。入学後2年間は、グローバルリーダーに必要な能力および専門基礎力を身に付け、3年次進級時に希望する学科またはコースを選び、高度な専門科目を履修する形になっています。教養教育のかなりの部分は熊本大学のグローバル教育を推進する専門部署である「グローバル教育カレッジ」の非日本人教員による英語での授業で構成され、海外からの留学生も交えた発表や討論など、留学しているのに近い環境です。入学した10名の学生一人一人にメンター教員がつき、学習や進路について助言指導する形にしていますが、全員、意欲が高く、海外留学、インターンシップ等を通して、グローバルに活躍できる資質能力を十分に身に付けてくれると思っています。 教育で大事になるのは、確保した意欲ある優秀な学生とうまく関わって、その可能性を引き出し、伸ばせる教員の採用です。教員人事が大学全体で抑制されている中ではありますが、文学部は平成29年度も2名の教員を採用することができました。一人が近代日本思想史研究の鈴木啓孝准教授です。『原敬と陸羯南――明治青年の思想形成と日本ナショナリズム』(東北大学出版会)に代表されるように、明治期の日本ナショナリズム研究の俊英です。もう一人が子どもの心の発達研究の西川里織准教授です。スウェーデンでの10年にわたる研究で培った実績と人脈を活かし、今後とも国際的な研究業績を出していかれると考えます。熊本大学文学部では今後とも、お二人のように教育熱心な方を採用していきますので、勉学についての相談等が必要でしたらいつでもお申し出いただければと思います。研究の組織化への踏み出し 研究については平成29年度も実り多い年でした。そのひとつが、これまで文学部附属だった「永青文庫研究センター」が学内共同教育研究施設として、全学センターに格上げされたことです。同センターのこれまでの研究実績は様々なメディアで取り上げられているので、ご存知の方も多いと思います。4月には組織的研究力をさらに高めるため、新たに今村直樹准教授をお迎えすることができました。本学出身の日本近世・近代史研究者で、藩制史研究の若手のエース的存在です。日本3大大名家文書である熊本藩関連資料等を駆使して、これまでの歴史観を問い直す研究を出されるはずです。研究を組織化するために行ったもう一つの取り組みが、12月9日に設立した「文学部附属漱石・八雲教育研究センター」です。第五高等学校で教鞭をとった本学ゆかりの2人の文学者についてはこれまでにも多くの研究がなされてきたのですが、せっかくの研究資源・人材を組織化し、「グローバル文学」としての漱石・八雲について教育研究する国際的な交流拠点にしたいと考えています。また、個人研究でも本学文学系の教員の研究には高く評価されるものが従来から多いのですが、考古学の小畑弘己教授は『タネをまく縄文人――最新科学が覆す農耕の起源』(吉川弘文館)で第5回古代歴史文化賞大賞を受賞され、読んでいただいた方も少なくないと思います。また、松浦雄介教授の責任編集で文学部関連の多くの教員で、硬軟織り交ぜ、地域の文化資源を分かりやすく紹介する『大学的熊本ガイド――こだわりの歩き方』(熊本大学文学部編、昭和堂)をまとめました。学部の雰囲気もつかめるので、ぜひ一度お読みいただければと思います。 最後になりますが、今後も、われわれ熊本大学文学部は、より良い教育の提供と特色ある評価の高い研究成果を出し続け、存在感のある学部を目指していきますので、ご支援とご協力、よろしくお願いいたします。グローバル・グローカル人材の育成機関として文学部長 水元 豊文文学部通信 第17号1

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