文学部通信16号
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2017年3月1日発行研究推進・地域連携委員会 委員長 伊藤 正彦  2016年11月12日(土)13:30~16:30に文学部1階A-2教室で第13回21世紀文学部フォーラムを開催しました。今回は、「文学部の社会活動」と題し、文学部の教員が取り組んでいる社会活動を広く市民の方々に知っていただくように、お二人の教員に社会活動の内容を報告していただきました。また、今回からはピア・レビュー(教員相互の業績理解)の機会を兼ねるために、外部の研究者にコメントしていただくようにしました。 鈴木寛之准教授は、「マンガによる地域文化の活性化―熊本県合志市の事例を中心に―」と題し、自ら長年にわたって参加している「クママン」(NPO法人 熊本マンガミュージアムプロジェクト)の趣旨と活動の履歴を報告しました。報告は、マンガ文化のなかでの熊本の特性、2017年に合志市で設立予定の「熊本マンガミュージアム」の意義と発展性を示すものでした。 三澤純准教授は、「被災史料レスキュー活動と地域史研究―熊本地震の経験から―」と題し、自ら事務局長を務める「熊本被災史料レスキューネットワーク」の活動実績を報告しました。報告は、史料保全の活動が「社会的に抹消された記憶」の存在を再確認する機会、地域史研究の活性化と歴史学の社会的貢献の重要な機会となっていることを示すものでした。 鈴木准教授・三澤准教授の報告は、それぞれ小川剛氏(崇城大学芸術学部助教)・胡光氏(愛媛大学法文学部教授)にコメントしていただきました。コメントは、いずれも二人の教員の活動の意義を明快に説明してくださるもので、ピア・レビューの機会としても有意義でした。 参加者は,前年度よりも増えて約40名でした。報告・コメントともに好評で、参加者から多くの質問・発言がありました。参加者のなかには高校生もおり、フォーラム終了後も報告者に熱心に質問する姿が見られました。 高校生が関心をもってくれるのは嬉しいことです。来年度も高校側への宣伝に努めていきたいと思います。 広報・情報化推進委員会 委員長 児玉 望  新学期早々の2回の地震のため、今年度の熊本大学のオープンキャンパスは中止が決定されました。立入禁止の建物が出るなどキャンパスの被害が大きく、余震も継続しており、安全を確保できる見通しがなかったからです。文学部のある黒髪北キャンパスでも、五高記念館など文化財に指定された赤レンガの建物群の煙突が崩落し、建物内部も亀裂が入るなど危険な状態でした。五高本館の落成は、明治22年7月28日の熊本地震の翌月ですから、五高時代を通じて開学以来の規模のキャンパスの被災ということになります。 しかし、幸い文学部では五月の連休明けにはほぼ支障なく授業が再開できる状態に戻り、余震も少しずつ回数・規模ともに減衰の方向が見えはじめたことから、学部の企画として文学部説明会を実施することになりました。 文化財レスキューなどそれぞれの立場で復興活動に携わる教員・学生も多いことをはじめ、文学部は健在であることを伝える企画とする案もありましたが、地震の話題がストレスになっている高校生もいることを考慮し、例年のオープンキャンパスと同様に、各学科の模擬授業と研究室訪問を中心とする行事として、8月6日土曜日に開催しました。 参加者は例年の半数程度に減りましたが、それでも冒頭の全体会は大教室二つを会場とする盛況でした。在学生にも協力していただいた研究室訪問は、例年よりゆっくり話を聞いてもらえたのではないかと考えております。また、事前予約者に対して教員による個別相談も実施し、この夏に最初の入学試験が実施されたグローバルリーダーコースの受験希望者を含め、熱心な質疑応答が行われました。今後とも学部広報活動を充実させていきたいと考えております。永青文庫研究センター長 稲葉 継陽   本年度は、2016年4月15・16日の熊本地震発災を受けて、永青文庫資料に含まれている地震関係資料の本格的な調査を実施した。 古文書・古記録を対象とした調査の結果、歴史的にみると熊本は、決して地震の少ない土地ではなかったということや、それに伴う江戸時代の熊本城の被災・修復状況が分かってきた。今回の熊本地震による熊本城の被害状況は甚大であり、復旧のための調査が多方面で行われている。本センターの調査結果も各メディアや研究論文を通じて発信することができた。それらの成果の一部は、2017年4月より熊本県立美術館、永青文庫(東京)で開催される展覧会を通じても市民に還元する予定である。 基礎研究では、永青文庫資料中の初期藩政史料の細目録作成作業、「永青文庫資料総目録」のWeb 公開に向けたデータの校正作業を進展させた。総目録のWeb 公開は予定通り2017年度に実現される見込みである。 2016年5月には、中国・安徽大学徽学研究センターとの共同シンポジウムを行い、日中社会構造の比較研究について、国際化への一歩をしるした。 2016年11月4日から3日間、熊本大学附属図書館において第32 回貴重資料展「熊本藩法と犯罪史-裁く人と裁かれる人たち」を開催した。安髙啓明准教授の企画によって、永青文庫に多数残されている近世熊本藩の法制史料について、初めて一般公開することができた。 「熊本大学文学会」は、文学部における教育の充実および学術研究の促進と、文学部で学ぶ学生会員の修学環境の向上を目的とした活動を行う教員と学生による互助組織です。現在、文学部教授会所属教員のほぼ全員と約8割の学生の加入を得ています。本年度に行った事業は次のとおりです。1.文学部フォーラムなど文学部の事業への支援文学部が行っている研究を地域社会に還元する21世紀文学部フォーラムや、教員の研究活動の成果を教員や学生の間で点検するピア・レビュー開催のための経費として50万円を寄付しました。2.講演会や学術交流に対する支援九州医学哲学・倫理学会大会、日本中国語学会九州支部冬季例会、日本コミュニケーション学会九州支部大会、日本基礎心理学会フォーラムなど学生の皆さんも参加できる7つの催しに対して計23万円を補助しました。学生の企画・運営による他大学の学生との学術交流活動を支援するために「学生学術交流活動補助」を昨年度より実施しています。今年度は日本史研究室と西洋史研究室に計6万円を補助しました。この事業によって、学生主体の学術交流活動が活発になることを期待しています。3.就職開拓に対する支援「公務員試験対策講座」・「教員採用試験対策講座」の各講座を受講する学生会員を対象に、1つの受講につきそれぞれ3,000円の現金補助を行いました。4.研修旅行に対する補助研究室等が行う研修旅行へ参加する学生会員に対して、1人2,000円を補助しました。5.進級記念品の贈呈学生会員に対して、2年次進級に際して2,000円分、4年次進級に際しては卒業論文執筆用の図書費補助を目的に4,000円分の図書カードを記念として贈呈しました。6.学生専用複写機の維持管理法文棟内での学生専用コピー機の維持管理を行っています。カラーコピーについては大学周辺のコンビニエンスストアのものより安価です。1階文学部図書室内の閲覧室に設置してありますので、どうぞご利用ください。7.『文学部通信』の発行ご覧になっている『文学部通信』の作成費用、および保護者の皆さまへの発送作業とその経費は文学会が負担しています。8.卒業関連行事への補助各研究室に計12万円の現金補助をしました。9.熊本地震被災者への補助事業文学会では、このたびの震災で被災された文学部学生・文学部教授会所属教員に対する支援として計131万円の現金補助をしました。 これらの事業は、教員と学生の会員会費から、本会員の皆さんに直接・間接に還元されているものです。未加入者におかれましては、ぜひともご加入をお願い致します。発 行:熊本大学文学部/熊本大学文学会編 集:熊本大学文学部 広報・情報化推進委員会 児玉 望、佐藤岳詩、三澤純、永尾 悟、石原明子ウェブサイト www.let.kumamoto-u.ac.jp文学部通信 第16号2017年3月1日8第13回21世紀文学部フォーラムの報告第13回21世紀文学部フォーラムの報告永青文庫研究センター活動報告文学部体験入学・学部説明会永青文庫研究センター活動報告文学部体験入学・学部説明会2016年度 熊本大学文学会活動報告2016年度 熊本大学文学会活動報告2016年度文学会常任理事 トビアス・バウアー ▲安徽大学での国際シンポジウムの様子▲報告する鈴木准教授▲報告する三澤准教授

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