文学部通信16号
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Newsletter, Faculty of Letters, Kumamoto UniversityNewsletter, Faculty of Letters, Kumamoto University地震をバネに、存在感のある文学部を目指す2016年度の教務委員会について2016年度の学生支援委員会を振り返って2016年度 新任教員の紹介文学部~この1年~ 総合人間学科/歴史学科 文学科/コミュニケーション情報学科留学体験記インターンシップに参加して第13回21世紀文学部フォーラムの報告文学部体験入学・学部説明会永青文庫研究センター活動報告2016年度熊本大学文学会活動報告・1・・・・・2・・2・・・・・・・・2・・・・・・・・・3~6 ・・・・・・・・・・・・・・7・・・・・・・7・・8・・・・・・・8・・・・・8・・・・8目 次熊本大学文学部ニューズレター 第16号 2017年3月1日発行熊本大学文学部ニューズレター 第16号 2017年3月1日発行地震、その後 熊本は2016年4月14日(木)から16日(土)の間に、後に「熊本地震」と呼ばれる、震度7が2回、6弱以上を含めると7回の地震に相次いでみまわれました。本学のシンボルである重要文化財、五高記念館等が多大な被害を受けました。文化財の改修なので多額の費用と長い時間を要するのですが、国の全面的な支援もあり、5年程度で改修が完了する予定です。 文学部棟でも、ほとんどの研究室では書籍や研究関連機器が落下し、固定してあった書棚が外れた研究室も少なくありませんでした。しかし、建物に大きな被害がなかったこともあり、教職員と学生が協力し、5月の連休明けには何とか授業を再開できました。前学期は使えない施設や設備も残っていたので不便な状況が続きましたが、後学期からは完全に通常の状態に戻ることができました。 大学も、地震発生から約2か月、体育館や教室を避難所として学生や近隣住民の方に提供しましたが、教職員と学生ボランティアが連携し、なんとか円滑に運営することができました。その貢献は高く評価され、近隣の自治会から感謝状をいただくほどでした。学生の活躍は学内にとどまらず、被害のより酷かった益城町等でボランティア活動に取り組む学生も多かったです。 保護者の皆様にはとりわけ大変ご心配をおかけしましたが、現在は地震前と同じ教育研究環境に戻っておりますので、ご安心いただければと思います。加えて、地震の際には、文学部・法学部同窓会である「武夫原会」を含め、多くの皆様から多大な寄付や支援をいただきました。寄付のほとんどは被災した学生等の支援に使わせていただきます。本当に有り難うございました。旧制高校以来の伝統を踏まえた教育のさらなる充実 熊大文学部の教育の質は以前から、文部科学省によるミッション再定義でも高く評価されています。それもあってか、入試倍率、就職率ともに全国的に見ても高い水準を維持し続けています。今後も、その質をさらに上げていけるよう、優秀な教職員や学生の確保、教育内容の充実、組織の見直しをしていきたいと思っています。 その一環として、本年度は、文部科学省から全国で30校だけ指定されている「スーパー・グローバル大学」にふさわしい、グローバル社会で活躍できる「胆力ある」人材の育成を全学的に展開するため2017年4月に設置されるグローバル・リーダー・コースの開講に向け、新たな入試を10月に実施しました。文学部は特に希望が多く、入試倍率は5.6倍に達し、海外在住の方を含め、優秀な学生を確保することができました。 優秀な学生の確保に加えて力を入れているのが、学生指導に熱心かつ優秀な教員の確保です。本年度は2名を採用しました。一人が英文学研究の松岡浩史准教授です。シェークスピアを中心に研究されてきましたが、本学では夏目漱石についても比較文学的な視点から研究していただき、すでに同窓会や市民向け公開講座で文学の面白さを伝えていただいています。もう一人が自然地理学研究の米島万有子准教授です。蚊媒介型の感染症という現代日本の差し迫った社会的な課題を、地理学的な観点から研究されています。地震の際にも、益城町等で壊れた河川や用水路での蚊の発生状況調査だけでなく、蚊を撃退する薬剤を練り込んだ蚊帳を車中泊する方に配るなど、活躍されました。次年度も、お二人のように親身になって学生に向き合う教員を積極的に採用していきたいと思っています。きらりと光る特色ある研究の充実 熊大文学部には高く評価される特色ある研究が数多くあります。その一つが昨年、NHKの「ブラタモリ」でも紹介された、稲葉継陽教授を中心とする「永青文庫研究センター」の活動です。同センターは、一大事業であった永青文庫細川家資料の総目録を平成27年度に完成させ、平成29年度からは研究をさらに深化・拡充するため、文学部附属から全学センターに格上げされます。今後も学会等での発表に加え、テレビや新聞などをとおして成果をさらに幅広く社会に還元できるものと考えます。 組織としてだけでなく個々の研究者についても、熊大文学部には全国的にも評価が高く、特色ある研究を続ける多様な人材が揃っています。例えば、歴史学科の小畑弘己教授による縄文遺跡でのゴキブリの卵の圧痕の検出はYahoo!ニュースのトップで紹介されました。また、総合人間学科の慶田勝彦教授は、平成28年4月に設置された熊本大学文書館と連動し、その中心となって、分散している水俣病関連資料を集積するとともに、分析・整理を本格化することで、幅広い方が利用できる研究データベースの構築に取り組んでいます。最後になりますが、今後も、われわれ熊本大学文学部は、より良い教育の提供と特色ある評価の高い研究成果を出し続け、存在感のある学部を目指していきますので、ご支援とご協力、よろしくお願いいたします。地震をバネに、存在感のある文学部を目指す文学部長 水元 豊文文学部通信 第16号1

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