文学部通信13号
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2014年3月6日発行研究推進・地域連携委員会 委員長 水元 豊文 第10回21世紀文学部フォーラムが「現代中国の日本論」というテーマで、社会文化科学研究科国際ワークショップを兼ねる形で、本年1月24日(金)に開催されました。 中国では21世紀に入り、日本の専門家ではないがマス・メディア界に影響力を有する人物による、新しい視点からの日本論・日本人論が出現しています。フォーラムでは、中国における日本論・日本人論の歴史と最新の成果に関し、海外と学外からの招聘講師、及び社会文化科学研究科と文学部所属の教員と学生がそれぞれ紹介し、問題を提起し合い、議論と理解を深めることを大きな目的としました。 最初に、『上海に生きた日本人――幕末から敗戦まで』という著書も出されている、上海東華大学外国語学院の陳祖恩教授に日中交流史の専門家としての立場から、「20世紀中国人の日本論」というテーマで基調講演をしていただきました。 続いて、6名の社会文化科学研究科東アジア・ビジネス・コミュニケーション専門職コース博士前期課程の大学院生(趙玉霞、寧躍、石亮亮、林忠輝、章丹芬、韓晨暁)が20代の中国人留学生としての目線から、現在中国のマス・メディア界に影響力を有する人々の著作物(CCTVキャスターの白岩松の『岩松看日本』、北京大学教授の陳平原の『日本印象』、作家の張承志の『敬重与惜別―致日本』、作家の郭敬明等の『下一站神奈川』、蘇静編集の『知日』、ミュージシャンの高暁松の『暁説』)の日本論・日本人論について発表し、それぞれの発表に対して熊本学園大学の小笠原淳講師及び、文学部の西槇偉准教授、社会文化科学研究科の植田均教授、織田崇文准教授が中国研究の日本人専門家の立場からそれぞれコメントを行うという形で進められました。とりわけ現代中国の若い世代が普段着の日本の日常のどこにどう着目し、どう感じるのか。日本の主要なマスコミでは取りあげられることの少ない感性の違いを知ることができました。 最後に、発表全体を踏まえて、陳教授、小笠原講師、そして博士前期課程の大学院生・庄俊をパネリスト、織田准教授をモデレーターとして、パネルディスカッションが展開されました。文化や世代を異にする立場から活発な議論が展開され、それぞれの立場を相対的に見つめ直し、互いの理解を深め合えるとともに、現代中国における多元化する日本論・日本人論の姿を深く知る機会となりました。 フォーラムの立ち上げから尽力された織田准教授、そして参加いただいた30人を超える皆さまに、ここで感謝を申し上げます。広報・情報化推進委員会 委員長 児玉 望 平成25年度オープンキャンパスを8月10日土曜日に実施しました。土曜日ということもあり、1500名以上の高校生や引率の教員、保護者の方をお迎えしての文学部紹介行事となりました。 模擬授業は学科ごとに例年通り4会場で実施しましたが、参加者が会場の座席定員を超える見込みとなりましたので、本年度は模擬授業と研究室訪問を同時進行で開始しました。例年は模擬授業会場で配布していた学部案内資料を、研究室訪問に先に参加する高校生にも配布できるよう、4箇所の会場入り口にそれぞれ受付を設置し、各学科から16名の在学生に資料配布と会場への誘導をお願いしました。午後1時の開始前に炎天下の行列になるのではないかと心配しましたが、手際よい受付のおかげで、救護室に運ばれる参加者もなく、おおむね好評のうちにお帰りいただくことができたのではないかと考えています。文学部の模擬授業はアンケートでもたいへん好評でした。 土曜日ということで、遠方からお見えになる保護者の方が多いことも考慮し、保護者控え室を別会場として設置して、保護者向けにも学部長挨拶と質疑の時間も設けました。初めての試みでしたが、100名近い保護者の方から熱心な質問をいただき、来年度以降も継続して実施することを考えております。永青文庫研究センター長 甲元 眞之 永青文庫研究センターは、公益財団法人永青文庫より熊本大学附属図書館に寄託されている、中世以来細川家が集積した資史料を悉皆調査して基礎目録を作成し、国民の共有財産として永く保存しながら社会的活用に供するために文学部附属研究機関として設立され、5年目を迎えた。目録作成は順調に進み、7万点以上の資史料を確認して、内容を吟味して分類し、来年度総合的な目録を刊行するに至っている。 細川家資史料のなかでも重要な典籍を出版する計画のもと、今年度は『永青文庫叢書』第5巻として「故実・武芸編」を編集し、平成26年3月に刊行予定である。この巻は細川幽斎以来、細川家の歴代当主が関係した故実・武芸についての相伝書がどのように細川家や熊本藩に受け継がれてきたかを解明したもので、鮮明な図版を添えて丁寧な解説がなされている。『永青文庫叢書』第1巻として刊行した『永青文庫叢書 中世編』に取り上げた266通の文書が国の「重要文化財」として指定をうけたことは、このセンターの研究活動が高く評価されたものといえよう。 センターの活動としては、第8回永青文庫セミナー(11月2日)で森正人教授が「物語史と絵」と題する講演がなされ、稲葉継陽教授を中心とした研究グループが「日本近世の領国地域社会」をテーマとして、シンポジュームを開催し(11月30日と12月1日)、学界に大きな反響を呼び起こしたことは特筆すべきであろう。日本テレビが永青文庫研究センターの研究活動を中心として、特別番組を制作(本年中に放送予定)したこともセンターの社会的意義が大きなことを物語るものである。 「熊本大学文学会」は、文学部の学術研究と教育の促進を図り、学生生活を充実させるための教員と学生による互助組織です。文学部長を会長として構成され、文学部教員のほぼ全員と、学生の約7割の入会(入会同意者は9割近く)を得て構成されています。本年度には、次の事業を行いました。1. 文学部の事業への支援文学部の研究と教育を推進し、その成果を還元するために50万円を補助しました。2. 講演会や学術交流に対する支援今年度は、九州前方後円墳研究会(6月)、西日本国語国文学会(9月)、日本都市社会学会第31回大会(9月)、バイオエシックスラウンドテーブル(12月)の4つの催しに対して、30 万円を補助しました。3. 図書整備費の支援教育と研究に必要な中・大型図書を充実させるため、4 学科輪番で支援しています。今年度は総合人間学科に25 万円を補助しました。4. 就職開拓に対する支援「学内就職講座」・「公務員試験対策講座」・「教員採用試験対策講座」といった講座について、本会員(文学会加入の学生の方)を対象に、1つの受講につきそれぞれ3,000 円の現金補助を行なっております。今年度は、のべ31名分の補助をいたしました。5. 研修旅行に対する補助それぞれの研究室が行う研修旅行の参加について、本会員を対象に一人当たり2,000 円を補助しています。今年度は、5件の研修旅行のべ87名分の補助をいたしました。6. 卒業・進級記念品の贈呈卒業と2 年次進級に際して、本会員を対象に、2,000円分の図書カードを記念として贈呈しています。7. 学生専用複写機の利用法文棟内での学生専用用コピー機の維持管理を行なってます(設置場所は1F 学科事務室の奥です)。ご活用ください。8. 「文学部通信」の発行ご覧になっている「文学部通信」は文学会の経費で作られています。 これらの事業は、教員と学生の会員会費から、本会員の皆さんに直接・間接に還元されているものです。未加入者におかれましては、ぜひともご加入をお願いします。 連絡先は法文棟1F 教育支援室096-342-2459(担当:吉田)です。発 行:熊本大学文学部/熊本大学文学会編 集:熊本大学文学部 広報・情報化推進委員会 児玉望、大杉佳弘、中川順子、西槇偉、江川良裕ウェブサイト www.let.kumamoto-u.ac.jp文学部通信 第13号2014年3月6日8第10回21世紀文学部フォーラムの報告第10回21世紀文学部フォーラムの報告永青文庫研究センター活動報告平成25年度 オープンキャンパス永青文庫研究センター活動報告平成25年度 オープンキャンパス平成25年度 熊本大学文学会活動報告平成25年度 熊本大学文学会活動報告2013年度文学会常任理事代理 石原 明子 ▲ 『永青文庫叢書』第5巻「故実・武芸編」を校正中の高濱先生

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