文学部通信12号
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■総合人間学科 柴田 理美さん(4年) 2011年9月から一年間ドイツのボン大学へ交換留学しました。始めの一ヶ月は実力に合わせた導入クラス。アメリカ、ヨーロッパ諸国、アジア等から来た留学生と一緒に全てドイツ語で基礎をやり直し。冬期のクラスBで文法を徹底。殆ど分からなかったニュースを理解できるようになり、以前と比べ大幅に語彙が増えました。夏期はレベルが上がりクラスCに。より応用的な内容で長文読解などが中心となり、私は楽器の構造の変遷についてドイツ語でプレゼンもしました。また、作文経験を深める為に夏期・冬期共に日本学科の「翻訳」のクラスにも挑戦。司馬遼太郎や吉村昭の作品の抜粋をドイツ語に訳します。ドイツ人の学生と同じ課題に取り組むのは大変でしたが、かなり鍛えられました。その学生達とドイツ語の会話練習を毎週定期的に行いました。授業や生活の中での疑問、文化について等ドイツ語のみで話します。失敗しても何とか伝えようとする過程はとても重要です。パートナー達が根気よくコミュニケーションしてくれたからこそ話せるようになったと実感しています。 10月に大学オーケストラの試験を受けヴィオラパートに所属。日本学科の学生とはまた違った状況で、自身の力で話さざるを得ない環境に飛び込むことに。殆ど留学生の居ない集団に馴染み一つの音楽をつくる体験は、苦労があってもかけがえのない貴重なものでした。合宿や合奏練習で、音楽の話題から少しずつコミュニケーションの幅を広げていきました。楽器と表情と片言のドイツ語、全てがオーケストラとの絆を強める大切な時間でした。集大成として、1月末にケルン大学との合同オーケストラでベートーヴェンホールとケルン・アグネス教会にて、マーラー交響曲第2番『復活』を。7月中旬に大学の中庭にできた特設ステージで、ドヴォルザーク交響曲第9番『新世界より』とオルフ『カルミナ・ブラーナ』を演奏しました。 留学には幾つも壁がありました。友達と語り合うのに伝えたいことが想うように表現できないもどかしさ。当たり前だったことが当たり前でない生活での不自由さ。無いとは言い難い差別的な対応や視線等。何度も味わいましたが、それを乗り越えた時失敗や挑戦を恐れない気持ちが強まったと感じます。自分の考えをもつことの大切さに気付きます。未知の世界へ飛び込む勇気や好奇心も湧いてきました。何より、世界中の留学仲間、ボン大学の学生や教授、街を越えた友達、現地の音楽家や職人、寮の近所の家庭等…国も世代も超えたあらゆる人との出会いと繋がりが、この留学で得た大きな宝です。■コミュニケーション情報学科 直野 文彦さん(4年) 2011年8月から一年間、アメリカのモンタナ大学に交換留学させていただきました。モンタナならではの雄大な自然、スケールの大きさ、そして穏やかな人たちに支えられながらの10か月でした。 何より苦労したのが授業についていくこと。モンタナ大学の交換留学生は、自分の所属する学部に関係なく授業をとることが可能です。私も観光学、映像編集、政治学など、熊大では取れないような授業をとっていました。しかし、ネイティブの先生の英語はとても速く、授業を聞くだけでは理解できません。そのため夜遅くまで予習と復習をするのは当たり前。なにより大切なのは授業中に質問すること。そうすることで、理解が深まるだけでなく、先生が自分の事を気にかけてくれます。私の場合質問をしすぎて先生がレポート作成まで手伝ってくれたこともありました。当然ですが、日本での英語の授業とはレベルが段違い。そのため勉強にかける時間も必然的に多くなりました。それでも大学生として胸を張って勉強したと言える一年間でした。 またモンタナ大学の留学生の多くは寮生活をします。私のルームメイトはサウジアラビア人でした。国も文化も全て違う人との共同生活。特に驚いたのが、一日に一度彼が寝る前にメッカの方向に向かってお祈りすること。普段の日本の生活ではこのような姿を見ることはほとんどできません。文化の違いを肌で感じる。留学の醍醐味を味わうことができた寮生活でした。 週末は毎晩バーに行っていました。日本とは違い「どこから来たの?」と現地の方たちが気さくに話しかけてくれます。そこで仲良くなった人と一緒にお酒を飲んだり、英語とジェスチャーを交えながらコミュニケーションをしたり。毎週新たな出会いと発見がありました。夜のダウンタウンでは授業以上に英語を鍛えられました。 留学生活を振り返ってみると、本当にあっという間の一年間でした。語学力は当然ながら、人とぶつかり合いながら関係を作る事の面白さを学んだこと。留学での学びはこれに尽きます。解らない事があったらすぐに質問です。面倒がられることもありましたが、ここでできた苦労と人間関係はこれからの人生で必ず生きると思います。社会に出てからも、モンタナでの学びを生かして世界に羽ばたきたいです。■文学科 秋山 愛珠さん(3年) 「なかなかない貴重な機会ですよ!」という先生の強いお勧めから、好奇心で参加した熊本市役所インターンシップ。熊本市役所の仕事内容全般を学ぶ2日間の研修の後、私は希望通り熊本城総合事務所で3日間お世話になりました。 研修では、熊本市役所の各部署の方がそれぞれの仕事内容を詳しく説明してくださり、市役所の仕事の全体像を知ることができました。日常生活の中で実感することはあまりありませんでしたが、市民の生活や人生のあらゆる分野において市役所の仕事が関わっていることがわかりました。 熊本城総合事務所では、熊本城の魅力を維持、拡大するためにさまざまな努力や工夫をされている職員の方々の姿を実際に見学することができました。大好きな熊本城を詳しく案内していただいたのも非常に嬉しく思いましたが、職員の方々が本音でコミュニケーションを取ってくださったこともありがたく思いました。特に印象に残ったのは、市民から寄せられる要望や不満に対して市役所としてできることの差による葛藤を抱きながらも、自分の仕事に責任と誇りを持って働かれているところです。また、大変な仕事をこなす中でもその場の雰囲気はユーモアにあふれており、笑顔が絶えない環境だったのも印象的でした。 このインターンシップを通して、市役所の仕事内容を知るだけでなく、「働く」とはどのようなことか、また、自分はどのような働き方をしたいかについて自分なりに深く考えることができました。お世話になった方々への感謝の気持ちを忘れず、この経験を自分のキャリア形成に活かしていきたいと思います。■コミュニケーション情報学科 武田 鮎美さん(3年) ベトナムでのインターンシップ。内容としては、工場でのライン作業がメインでしたが、海外就業やベトナムという国への理解・興味が深まった実習でした。 実習では、異文化の中で仕事をやり遂げる喜びを感じました。工員の方達からベトナム語でラインでの作業を教えて頂いたのですが、言葉自体はほとんど分かりませんでした。しかし、お互いにジェスチャーなどで意志の疎通をはかりその作業を理解することがき、日本語で「すごい」とほめて頂いたときはとても嬉しかったです。今回は小さな作業でしたが、例えばこれが大きなプロジェクトだった場合の喜びは本当に大きなものでしょう。 一方で、現地の環境に適応する難しさも知りました。社会主義国家のベトナムは何をするにも政府の許可が必要。海外では文化や社会的ルールが異なるため、ビジネスにおいても日本の「あたりまえ」は通用しないのだと感じました。環境に適応しつつも自らの強みを生かした事業の運営を行うのは大変なことです。しかし、そうだからこそやりがいがあるのだと思います。 インターンシップを通して、海外で働きたいという思いが深まったことに加え、自分に足りないものにも気付くことができました。知識不足から踏み込んだ質問ができなかったり、遠慮して自分のしたいことが言えず、思い通りにならない事にも直面し、もっと勉強しなければならないことや、変わらなくてはいけないところがあると痛感しました。 海外で働くことの面白さ、難しさ、そして自分について。多くのことを学び、知ることができたインターンシップでした。文学部通信 第12号7留学体験記インターンシップに参加にして留学体験記インターンシップに参加にして

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