文学部通信12号
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文学部 ~この1年~文学部 ~この1年~総合人間学科■民俗学 入江 捺月さん(4年) 民俗学研究室では、3年生から院生までの学生が和気藹々と民俗学について学んでいます。民俗学の学問領域は広く、年中行事、人生儀礼、信仰、遊び、怪談など私たちの生活に最も身近な事柄を研究できるのが魅力です。新潟や高千穂など様々な地におもむいてフィールドワークをしたりと、自分の足で学ぶことができることも魅力の一つです。この一年は3年生を中心に川遊びを通じての生態調査、うどん作り、観光、パワースポット、芸術鑑賞、怪談といったものを調査、研究しました。他にも、世界遺産登録に向けて動いている宇城市三角の民俗調査も請け負うことになり、現在三角に住む人々の生きてきた歴史を記録として残すべく聞き取りを中心に調査を続けています。 演習やゼミの発表も各々の興味を持つ事柄についての発表なのでバラエティに富んでおり、さらに山下先生と鈴木先生の的確なご指摘やご指導の下、自らの成長と共に楽しく学問を修めることができた一年でした。■地域社会学 馬場 裕子さん(3年) 地域社会学研究室では、この1年を通して福岡県八女市白木地区の調査、研究を行ってきました。何度も足を運び地区の現状を把握した上で、夏休みには2泊3日のアンケー調査を行いました。住民の方に暖かく迎えていただき、農家民宿に宿泊して田舎の家庭料理を食べ非常に楽しいフィールドワークでした。調査としても直に住民の方と触れ合い個人の生の意見や暮らしを知ることができました。 また、今年は夏休みに阿蘇で同志社大学の学生と合同ゼミも行いました。同じ学問を学ぶ者同士、互いの研究を知り議論できたことはよい刺激となりました。夜中に月明かりの中みんなで鬼ごっこしたことはとてもよい思い出です。 3年生になり研究室に入り専門的な授業は大変だと感じることもありました。しかし自分の関心のある分野を個性的な先生方、先輩、友人と楽しく取り組むことができ、視点を広げることができた有意義な1年であったと思います。■地理空間学 足立 侑子さん(3年) 地理空間学研究室では、人や社会がその場所とどのように関係しているのかを研究しています。テーマは様々で、自然環境をはじめ、交通・経済・産業・文化・景観などのおもに地域差を扱います。そして、アンケートや聞き取り調査をして得たデータの分析・地図化を通し、テーマを論理的・客観的に考えていきます。例えば、調査実習の授業では宮崎県延岡市を対象地域とし、購買行動の変化、高速道路新設の影響、空き家の管理状態や分布、市民主体のまちづくりの4つのテーマに分かれました。 この実習を含め、1年を通して、興味のある分野への知見を深めるだけではなく、研究テーマの絞り方や調査方法の検討、データの分析方法をはじめ、他分野からの視点や考え方を学びました。また様々なテーマや研究に触れ、地域を多方面から捉え、地図に表す醍醐味を味わうとともに、自分のテーマを軸にしながら視野を広げて考えていくことができたと思います。■社会学 川内 由香子さん(3年) 3年生の授業は、授業数は減ったものの、その分中身の濃いものが増えました。発表をする機会が増えたり実際にインタビュー調査を行ったりなど授業時間以外での話し合いや活動が増え、今までより専門性が高まるとともに友人との仲が深まりました。 私が所属しているゼミでは、前期は『グローバリゼーション』という本を読み、グローバル化がもたらす社会への影響などについて考えました。後期では4年生の卒業論文を読み、みんなで疑問点をディスカッションしました。自分にはなかった視点や考え方が飛び出し、発見と勉強の日々でした。3年生もこれから執筆していく卒業論文のために先行研究となる論文を読み、知識を深めています。 社会学研究室のメンバーは先生方を始め、とても個性的な人が多く、楽しく充実した1年を送ることができました。来年も「何でも言い合える」をモットーに毎日を有意義に過ごしていきたいと思います。■文化人類学 赤坂 夏歩さん(3年) 私の所属する文化人類学研究室は、先生も学生もみんな仲が良いアットホームな研究室です。個性豊かなメンバーがそろっており、話や意見を聞いているとそれぞれとても面白いです。研究室はとても居心地がよく、いつも誰かが持ち込んだお菓子や飲み物がおいてあります。特に用事が無くてもついつい研究室に立ち寄ってしまいます(それは決してお菓子目当てではなくて、落ち着くからです)。 前期のゼミではフランスの社会学者であるデュルケムの『宗教生活の原初形態』を読んだり、4年生の卒業論文をみんなで読み、意見や感想を出し合ったりしました。後期になると3年生も卒業論文の構成を考え、ゼミで発表しました。他の人の発表や意見を聞くと新しい発見があり、とても参考になります。私は卒業論文で書きたいことがまだまだぼんやりとしていて定まっていませんが、今のところ映像を利用しながら、ある宗教について書こうかなと考えているところです。■倫理学 島田 愛さん(3年) 倫理学研究室では、アリストテレスやニーチェなど、過去の大学者の文献を読むだけでなく、日常生活により近い倫理的な問題にも取り組んでいます。例えば、赤ちゃんポストや、嘘をつくことが悪いことなのかということなど、身近な問題や私たちの生活の中の疑問を取り扱っています。 様々な問題や文献を用いた授業は、ディスカッション形式で行われます。例えば現在は、ニーチェの『道徳学の系譜学』という文献を読みながら、3,4年生だけでなく、院生の方も交えて勉強することで、様々な視点や考えを知り、ニーチェが道徳をどのように考えたかについて、少しずつ理解しています。 倫理学履修モデルは現在、高橋隆雄先生、杉本裕司先生、田中朋弘先生のご指導の下、4年生13名、3年生9名の計22名が学んでいます。深層心理や規範倫理、応用倫理に関わる身近な問題を今後も少しずつ理解し、人にわかりやすく説明できるように、勉強しています。興味がある人は是非倫理学研究室に来て下さい!!■認知哲学 角田 大輔さん(4年) 認知哲学研究室では、学生はそれぞれの関心のもと、文献講読や先生方との議論を通じて、自分のテーマに取り組んでいます。テーマについて書かれた基本文献を読むために、その内容について解説した文献を読み、その類の文献がない場合には、内容について論じた論文に当たる。このように、文献講読は決して楽ではない作業でした。しかし、難解なものでも、あきらめずに内容の理解を高める経験や、その過程で身についた知的タフネスさは、先の人生においても、確実に生きるものだと思います。 「哲学って、どんなことを勉強するところなの?」という質問に対して、なかなかストレートに「これだ」と答えにくいのが、哲学を専攻する学生自身、困るところです。ただ、哲学は「実感」と「論理」の両方を大切にする学問です。自分の「実感」を、哲学の「論理」という材料を使って、どう上手く論証するか。そういったゲームに似たところがある、というのが哲学の勉強なのではないでしょうか。■認知心理学 重久 美紅さん(4年) 認知心理学は、人の知覚や記憶のメカニズムについて研究する学問です。自分たちで実験を行ってデータを取り、結果を数値化して統計処理をするという理系的な一面もあります。今年も新たに3年生を迎え、2012年度の認知心理学研究室は賑やかにスタートしました。研究室は常に笑いが絶えず、学年を超えて、それぞれの研究に関する相談から他愛もない話まで、何でも意見交換が出来る温かい学びの場です。 私を含め、4年生は卒業論文を執筆するにあたり、自分で実験計画を立てることに最初は不安でいっぱいでした。しかし、先生方の熱心かつ丁寧なご指導や、院生の先輩方、3年生の協力のおかげで実験や統計処理を滞りなく行い、無事に論文を書き上げることが出来ました。4年生もお互いに切磋琢磨し、更に絆を深めた1年となりました。 認知心理学研究室に所属して早2年、素晴らしい仲間と共に、楽しく充実した時間を過ごせたことに感謝し、ここで学んだことをこれからの糧にしていきたいと思います。■芸術学 北島 明子さん(3年) 芸術学研究室は、学生が思い思いに過ごせる素敵なところです。それぞれが楽器を奏でたり、歌を歌ったり、絵を描いたりと、研究室はいつも和やかな空気に包まれています。私は音楽に興味があって芸術学を専攻しましたが、同じ音楽でも違うジャンルに興味がある人、美術に興味がある人など様々な仲間がおり、お互いに刺激を受けています。夏休みには研究室の友達と一緒に「大地の芸術祭」を見に行き、アートを肌で感じることができました。 また、授業の一環として週に一回「歌の会」を子飼商店街で行っています。そこでは高齢者の方々と一緒にお話をしたり歌を歌ったりして、楽しい時間を過ごしています。後期からは新しく留学生も加わり、ますます楽しくなりました。今は、一年の集大成であるレトロコンサートにむけて奮闘中です。企画から運営まで自分達で行います。今回のテーマは“震災を忘れない”です。思いを伝えるツールとしても芸術を最大限に生かしていきたいです。文学部通信 第12号3

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