文学部通信11号
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文学部 ~この1年~文学部 ~この1年~総合人間学科■芸術学 阿部 亜美さん(3年) 芸術学研究室では、毎週火曜日に子飼商店街で高齢者向けの音楽療法のセッションを行っています。高齢者の方々と一緒に歌を歌ったりお話をすることで、健康増進や世代間交流を目的としています。 学期のまとめとして年に2回行うレトロコンサートも、次回は記念すべき第十回目ということで、たくさんの地域の方々をお呼びして盛大に開催するべく、学生たちで企画や準備に取り組んでいます。 音楽だけでなく、集中講義では、現代写真について同志社から教授をお迎えして学び、演習では「風景」を対象として美術史を学びました。 卒業論文のテーマとしては、アートマネジメント、漫画、童謡、現代アートなどが挙がり、学生の興味に沿って幅広く課題研究ができます。自分の好きなものと研究とを重ねることができ、より芸術を学ぶことが楽しく感じた一年でした。■社会学 堀内 美如さん(3年) 社会学研究室では、今年1年松浦雄介先生と中川輝彦先生のお二方のご教示を受けながら研究を進めてきました。 今までの1、2年の頃に比べ、この一年間で一番印象的だったと思うのは、授業の密度です。1、2年の授業は講義が中心で、人の話を聞くと言うのがほとんどでした。ところが、3年の授業では、主体的に行動することが求められるようになりました。授業数は減ったものの、一つ一つの授業にかかる時間が増え、そのぶん物事への理解も深くなるようになったと思います。 また研究室に所属するようになり、学部の行事にも参加するようになりました。オープンキャンパスでは当日の準備や見学に訪れる高校生の相手をしました。高校生のときに見学に来たことのある私にとって、今度は持てなす側になるというのは感慨深いものがありました。 この一年、授業や行事を通して、多くのことを学ぶことが出来ました。この経験を元に、来年も有意義のあるものにしていきたいと思います。■地域社会学 鶴田 高士さん(3年) 一概に社会学と言ってもその切り口は様々です。私たちが専攻している「地域社会学」は、現場に足を運ぶフィールドワークを重視し、その集落で暮らす人々の暮らしを対象として調査と研究を進めていきます。今年は熊本県球磨郡多良木町の槻木という集落を調査しました。そこには本や統計資料からは見えてこない、住民の“ありのままの暮らし”があります。 世代の全く違う人々と話す機会が多いこともあって、フィールドワークは新しい発見や刺激に溢れています。私たちとは違う世代、違う暮らしや考え方に触れることは、私たちの生活にも様々な形で影響を及ぼし、今の私たち自身の在り方を問い直す契機にもなると思います。大学の講義室だけでは学べない、一味も二味も違う、そんな経験ができる素敵な学問が地域社会学です。■地理空間学 溝口 慶太さん(3年) 地理空間学研究室では自分で考え、自分の知りたいことを勉強することができます。地理と一言にいっても,経済・観光・都市・農村・人口・交通・産業・自然・気候etc.といった様々なジャンルがあり,自分の興味と重なる部分が絶対に出てきます。わからないことも多々ありましたが先生方が私の質問や意見に真摯に答えてくれました。先生方いわく,「調べたことを地図に表すことができれば,それは地理学」だそうです。ロジックだけではなく,地図といった形のあるものでこの世界をとらえることが地理学では可能です。私もこの1年でものの見方がより現実的なものになったのを実感しました。研究室には12台のパソコンをはじめとする設備や図書・雑誌が充実していて研究のしやすい環境です。研究や卒論を通して自分の知見をもっと広めていきたいと思います。■認知心理学 吉田 優香さん(4年) 私の所属する認知心理学研究室では、知覚や記憶、発達などについて学んだり、これらのことに関する実験をおこなったりしています。人間の認知について実験を通して考えることができ、ときには新たな発見をすることもできます。 認知心理学研究室は、学年の垣根を越えてみんな仲良しです。研究や授業についての意見交換はもちろん、他愛もないおしゃべりも常にあふれていて、室内は笑いの絶えない場所になっています。また、年度の途中からは留学生も2名加わり、研究室はさらに活気に満ちています。研究室がにぎやかで楽しい一方、今年度私を含む4年生は卒論という大きな課題に悩まされました。しかし、実験をおこなう中で様々な発見をすることもあり、その喜びや楽しさを感じることができました。 私から見て、認知心理学研究室のメンバーはとても個性的な人ばかりだと思います。日々そんなみんなに囲まれて、充実した楽しい一年間を送ることができました。■文化人類学 大坪 由佳さん(3年) 文化人類学研究室のメンバーは、慶田先生を筆頭に個性豊かな人ばかりです。2つのゼミでは、人類学や社会学の古典(ヴェーバーの『プロ倫』)を精読したり、4年生が執筆中の卒業論文を研究室全員で読んで意見を出し合ったりしています。後期の精読ゼミでは、これまで私が学校で習ってきた社会とは全く異なる、19世紀のバリ国家について書かれたギアツの本を3年生だけで読み、自分の国家観が少し変わりました。また、4年生の卒業論文を読み、参加者全員のコメントを聞くことは、自分の卒業論文を執筆する上でも有益だと思います。私は、トーテムポールに関して卒業論文を書こうかと考え始めました。トーテムポールに関連する文献を読みつつ、どのような切り口から対象に接近していこうか、模索する毎日です。何か堅そうだな、と思われたかもしれませんが、愉快なメンバーで楽しく充実した学生生活を送っています。ヌガラ―!!■民俗学 廣渡 絵理さん(4年) 民俗学の特色として一番大きいものは、自分たちの生活の身近にありながらも、当事者にならないとわからない事象を実際に当事者に触れながら研究を進められることです。自らが動かないと始まらない学問という一方で、自分だけでは進まない学問という側面も持ちます。私は卒論執筆にあたって北九州市の徳力団地についての調査を行いました。そこで団地関係者の方々に団地内のことを生き生きとした体験談とともに教えてもらいました。その中で、今自分が何気なく目にしている風景もたくさんの人の苦労によって出来上がったことが知れました。「民俗学は理論から入るのではなく、現地で見ること、聞くことから入るものだ」というのが、研究室に配属されて以来、山下先生、鈴木先生の下で研究を行って特に実感されたことです。研究に際しては協力者の方々の話だけではなく、先行研究を始めとして綿密な調査が必要でしたが、それによってストーリーのある論文が完成されていく瞬間はとても気持ちのいいものでした。これらの経験は私のこれから携わる仕事でも生かされていくと確信しています。■倫理学 玉井 杏奈さん(3年) 倫理学というと正義や道徳について考える学問というイメージが強く、お堅いイメージがあるかもしれません。しかし、実際には倫理学で扱うテーマは多岐にわたり、身近な問題を取り扱うことも多くあります。例えば今年の4年生の卒論では、「臓器移植法」、「親の役割」など私たちの身近なテーマをとりあげているものや、ノージックの「経験機械」など、専門的なテーマをとりあげているものもあります。 様々な事柄が学べる倫理学分野ですが、現在は4名の先生の下で、4年生9名、3年生13名が勉強しています。演習やゼミでは少人数で活発な議論があり、自分にはない視点、考え方を他の人から学ぶことが出来ます。私自身も少人数での活発な議論を通して、様々な視点から物事を考えられるようになったと思います。この一年間は多くのことを学ぶことが出来た、とても有意義な一年間でした。■認知哲学 上条 阿弥子さん(4年) 私の哲学は「自分ってなんだろう?」という、幼い頃に抱いていたシンプルな疑問から出発しました。わざわざ大学で勉強しなくても考えられるのではと思うかもしれませんが、もし哲学を専攻していなかったら、人生の中でこの問いを突き詰めて考えることもなかったかもしれません。日常生活で、このような問いが話題にのぼることは殆どありませんし、一人で考えようにも問題が大きすぎて、そのうちに諦めてしまうからです。ですから、哲学的な問題を誰かと一緒に考え議論できる環境は、私にとってとても心強く、心地よいものでした。また、教授の先生方との距離が近く、一対一で長時間議論をすることもあり、知的好奇心を刺激される日々の連続でした。 最近、あるテレビコマーシャルで「答えの無い問題について考える力」といったフレーズがつかわれています。私は、哲学するときにつかう思考力とは、まさしくこれだと思っています。考えることが楽しい。そう思えたことが一番の収穫です。文学部通信 第11号3

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