文学部案内2019年度
53/60

明治の文豪で国民作家の夏目漱石、『怪談』と数々のユニークな日本文化論で知られる小泉八雲ことラフカディオ・ハーン、本学にゆかりの深い二人はグローバルな現代において、ますます注目されています。漱石とハーン研究の豊かな蓄積を有する本学では、平成29年に本センターが発足しました。漱石とハーンに関する教育、研究の拠点となる本センターは、本学が保有する関連資料を活用し、研究成果を地域社会に還元し、学内外の教育活動をも推進していきます。「教育・学術文化における地域連携と社会貢献」を目的の一つに掲げ、高度な学術研究活動を行い、その知的資源を地域社会に還元するとともに、研究者などの人材育成に努めています。研 究漱石、八雲、そして細川家。地域に根ざした研究拠点の形成「漱石・八雲教育研究センター」と「永青文庫研究センター」、2つの独自性の高い学術研究拠点と密接に連携しています。Research文学部附属 漱石・八雲教育研究センター□ 漱石と八雲の資料のデータベース化・公開本学には漱石と八雲に関する資料が多く所蔵されております。センターでは、それらの資料の目録を作成し、データベース化して一般公開をめざします。また、書籍や定期刊行物を公刊するほか、市民講座や講演会を開いて、研究成果を社会に還元するとともに、国内外に発信します。さらに、内外の研究者との交流をはかり、近代文学・文化研究領域の人材育成にも努めます。□ 熊本大学における夏目漱石と小泉八雲夏目漱石は、1896(明治29)年に五高(現熊本大学)に赴任。自宅で俳句結社「紫溟吟社」を主宰し、五高を詠んだ「五高吟」を残しています。小泉八雲は、漱石に先立つ1891(明治24年)に五高に赴任し英語とラテン語の授業を担当しました。3年余りの熊本生活で『知られぬ日本の面影』『東の国から』『心』等を執筆しています。永青文庫研究センターは、文学部を母体に設立された全学の附属研究機関です。センターの活動は二本の大きな柱から成り立っています。一つは、永青文庫細川家資料群の目録作成や学術的価値の解明、資料や研究成果の出版などの研究事業です。2013年、センターの研究成果をもとに、永青文庫の中世文書など266点が国の重要文化財に指定されました。もう一つは、文化行政およびマスコミ諸機関と連携して開催される市民向けフォーラム、公開講座の実施、永青文庫資料の公開展示など、研究成果に基づいた文化事業です。永青文庫研究センター検 索熊本大学 永青文庫研究センター5152*「永青文庫」は、熊本藩主であった細川家に伝来した美術品や文学作品の写本、歴史資料等を所有・管理する財団の名称です。これらの 品々のうち、細川家北岡邸(熊本市)の倉に保管されていた約60,000点の歴史資料や写本が熊本大学に寄託されています。

元のページ  ../index.html#53

このブックを見る