列 車 に て

(1992/2/20)

詩・曲  大 野 龍 浩

(曲が始まるまで数秒かかります)


  電話の君の声が 微かに震えたのは

  言葉を選ぶための 心遣いでしょう

  誰もいないホームで 汽車を待つのどけさに

  溜息をつきながら 身を浸した午後

  どんなに傷付いても どんなに悲しくても

  悔やむことはないと 感じながら

  咲き始めた梅の 薄紅色の中

  薫る風の寒さ 胸に染みた

 

  移ろい行く景色を 窓越しに眺めると

  穏やかに流れ行く 線路の律動

  語り合う老夫婦 詩集を読む女学生

  様々の人生が 時に浮かんでる

  どんなに砕かれても どんなに辛くても

  心の誇りを 無くすよりは

  勇気と涙で 忍んだ方がいい

  春の気配の中 巡る思い

 

  誰にもあるような 小さなことだと

  あざ笑うような 春告鳥

  いつかきっと夢が 叶う日も来るだろう

  列車に揺れながら 溶ける思い


「私が作った歌」

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