木 立 ち
(1981)

詩・曲  大 野 龍 浩


  若き日のさよならは 僕の心の中に

  言い知れぬ悲しみを 残しては消えて行く

  大学の図書館の 本に埋もれて

  静かに静かに ため息をつく

  大きな夢を抱えて 生きてきたはずの僕よ

  窓の外を見なよ 青く広い空を

  色づく木立ちの中 風に吹かれて

  無邪気な子供たちを 見ては少し微笑む

 

  読みかけの小説も 裏返しのままで

  街角に出てみれば 誰も知らぬ人ばかり

  古びた教会の 門を叩けば

  少しぐらい少しぐらい 気持ちが晴れるかしら

  大きな心を抱いて 生きてきたはずの僕よ

  涙流したら 空を見上げなよ

  色づく木立ちの中 一人歩けば

  風船を飛ばした娘[こ]が そっと僕の手を引く

 


「私が作った歌」

「大野龍浩」のホームページ