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「比較文学」ということばは、みなさんには馴染みがうすいかもしれません。このような専門課程を持つ大学は日本では少なく、わが比較文学も創設されてようやく二十年余りを経過したにすぎません。これまでの卒業生のなかには、古今集や夏目漱石、ヘミングウェイやジョイスなど、国文学・英文学の研究対象を「比較文学的」に論じた人もいれば、アンデルセン(デンマーク語作家)、ボルヘス(スペイン語作家)を原典から読んで論じた人、「ヒッピー文化」やマンガをテーマに選んだ人もいます。わが研究室の特徴は、バラエティーの豊かさにあります。
「比較」とは、開かれた視野のなかで、物事をできるだけ相対的に把握しようとする学問的な姿勢と方法を言うのです。あえて地域や言語は限定せず、各自が多くの文化に接し、相互に知識や発想を交換しあう姿こそ、われわれが理想とする「比較文学」のあり方です。専任教員は5名で、中国古典から日中ヨーロッパの近現代文学に至る広い研究領域をカバーできます。

学年
授業内容
授業科目例
2年次
比較文学の研究方法について概説する。日本語や外国語の文章を的確かつ問題意識をもって読む能力を養う。 比較文学概論
比較文学基礎演習
3年次
世界の多様な文学に触れることを通じて、文学的な視野を拡大する。自ら課題を発見し、調べ、発表する能力を養う。 比較文学特殊講義
比較文学演習
課題研究
4年次
3年次までに培った能力をさらに伸ばし、卒業論文の執筆に取り組む。 比較文学特殊講義
比較文学演習
課題研究
卒業論文のテーマ例
異文化への視線−ピエール・ロチ『お菊さん』−/ファンタジーにおける時間の概念−『モモ』に描かれた「時間」−/『星の王子さま』における聖書のモチーフ/幸田文作品における「昔」

杉谷 恭一先生(ドイツ語圏文学・文化)
日本文学や英文学など「各国文学」の研究は、それぞれが対象とする文学の独自性を重視して、いわば「縦割りで」進められますが、比較文学の本領は、別の国の文学や他の芸術・学問分野との「横の関係」を重視した広い視野で文学を研究することにあるといえます。したがって比較文学の研究領域は、国際的な影響関係の研究、文学と美術や音楽など他の芸術とのクロスジャンル研究、文学を哲学、歴史学、政治学、社会学、精神分析学など他の学問領域との関係で考察する学際的研究、「ロマン主義」や「自然主義」などを国際的な視点から考察する文学思潮の研究など、きわめて広汎かつ多岐にわたります。比較文学研究を志す皆さんは、日頃から世界各国の文学に親しみ、また多様な芸術や学問に接するよう心がけておきましょう。

服部 真子(3年)
比較文学では、特定の国や文学のみにとらわれず、別の国の文学や音楽・美術・映画などとのつながりを重視した、広い視野での研究を行うことができます。学生はそれぞれ個性豊かな研究テーマを持ち、様々な専門分野の先生方からアドバイスをいただきながら、意欲的に研究しています。各人が異なる視点から文学を追究している比較文学研究室だからこそ、自分の研究を通して、また友人や先生方と話す中で、視野を世界に広げることができるのだと思います。国境も芸術分野の境も超えた研究によって得られる知識や視野は、きっと卒業後も人生の糧となるはずです。


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