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【文化人類学会】京都人類学研究会7月季節例会(文化人 類学講座開設20 周年記念講演会第五回[最終回])

2013.07.10

 

文化人類学会経由で研究会のお知らせです。

京都大学 人間・環境学研究科 文化人類学講座開設20周年記念講演会(全五回)の最終回となる今回は、同講座出身である三人の研究者が集いミニシンポジウムを行います。
どうぞ奮ってご参集く ださい。 
 
 
 ◆文化人類学講座開設20周年記念講演シンポジウム◆
 
 「アニマと〈あいだ〉の人類学」 
 
【日時】
 2013年7月19日(金)13時30分 開演(13時開場)
 
【趣旨説明】
このミニシンポジウムでは、anima(魂、生命)と〈あいだ〉という言葉を鍵として、芸術的創作と精神医療、神霊憑依をめぐる人びとの営みを検討する。それぞれの発表に共通するのは、人びとが「生きている身体」として他者や環 境と取り結ぶ動的な関係性への感受性であり、いわば〈あいだ〉の位相への関心である。主体と客体という二項関係、あるいは主体と主体の対峙という構図から離れ、生きている身体と身体、動き変化する身体と環境、そして生物としての人と非生物としてのモノの〈あいだ〉に目を転じたとき、 どのような新たな人類学的展望が開かれるのか。このシンポジウムは、生と魂(アニマ)への人類学的接近に向けた実験的な試みの端緒である。
 
 
 
【発表要旨】
発表1:中谷和人氏(日本学術振興会) 
「芸術と生の人類学へ———障害のある人たちの創作活動から」 
 
   本発表の視角は、絵画など芸術的制作に関わる営みを、徹底して人間が生きてい ることに即して捉え直すというものである 。ここで「生きている」とは、まずもって その人間が行為する身体として特定の環境 の内部に埋め込まれていることを指す。それは自明の事実に見えるが、逆に言えばこの平凡な事実が、こと芸術をめぐる従来の人類学的議論ではしばしば看過されてきた 。
   本発表では、日本とデンマークにおけるおもに知的な障害のある人たちの創作活動 をとりあげ、それを上記の視角から考察する。これを通じて、芸術と生の関わりを探究する新しい人類学の方向を模索したい。
 
 
 
発表2: 松嶋健氏(京都大学人文科学研究所)
 「脱制度化の源としての〈触発=情動〉の連鎖の場――精神医療における「魂に対する態度」がもたらすもの」
 
   人間と非人間のあいだに線を引くことこそが、法と政治の根源にある身ぶりだとするなら、精神障害者が責任能力をもった主体であるか否かという判断は、まさにこう した意味での政治に関わる主題である。これは国家を基礎づけるものが、社会的なつながりではなく、社会的なつながりの禁止であり解除であることを示唆している。
   本発表では、イタリアにおける精神医療 /精神保健をめぐって、精神の疾患・障害 を持つとされてきた人々に対する周囲の関わり方に着目しながら、人間を主体/非主 体として見ることと「魂に対する態度」と が似て非なるものであることを確認する。 その上で、人類学におけるアニミズムについての議論を参照しつつ、「魂に対する態度」とは「そのものとの関係性の中に入 る」ことにほかならず、そこから立ち上がってくる〈触発=情動〉のインタラクティヴな連鎖こそが、イタリアにおいて精神病院を最終的に廃絶させるに至った脱制度化の源泉であり、同時に「地域」という名の下に開かれる社会的なつながりの場としての〈あいだ〉でもあることを示したい。
 
 
 
 発表3:石井美保氏(京都大学人文科学研究所)
 「パッションの共同体へ――南インドにお ける神霊憑依、開発、身体」
 
   この発表の目的は、ブータ祭祀とよばれる南インドの神霊祭祀と大規模開発、ならびに反開発運動の検討を通して、人間と非人間のかかわりと、そこにおいて顕れるエ イジェンシーと受難/受動性(passio nes)の問題を考察することである。身体化(embodiment)や身体性をテーマとする先行研究は、近年の社会科学において身体は単なる客体ではなく、それ自身が行為者=エイジェントであると主張している。 また、こうした観点から、身体的に特徴づけられた社会政治運動の可能性に注目が集 まっている。だが、これらの研究において、「身体のエイジェンシー」が実のところ何を意味するのかは曖昧なままである。 他方、人間と非人間の関係をテーマとする
 諸研究は、具体的で身体的な相互行為を通して、人が非人間(モノ)のエイジェンシーの受け手となる過程を明らかにしてきた。身体のエイジェンシーに着眼することは、行為の「真の主体」として身体を措定することではなく、自律的主体とは異なるかたちでの行為者のあり方を想像することを促す。すなわち、より脆く可傷性に満ち、他者との関係性を通してのみ世界とかかわるような行為者のあり方である。この発表では、神霊との身体的な交渉を通して、開発プロジェクトによって危機に晒されている農民とプロジェクトの推進者らが神霊の「感覚的リアリティ(sensory reality)」(Pinney 2001)を共有し、互いに対立しながらも神霊のエイジェンシーの受け手として、暫定的な「パッションの共同体」を創りだしていることを示す。
 
 
 
 【コメンテーター】 
 野村雅一氏(国立民族学博物館)
 
【会場】 
 京都大学総合研究2号館4階会議室 (AA447) 
 (構内マップの34番)
 
【備考】 
 * 京都人類学研究会は京都を中心とする関西の人類学および関連分野に関心をもつ研究者・大学院生がその研究成果を報告する場です。
 * 事前の参加予約は必要ありません。
 * どなたでも自由に参加いただけます。
 * 当日は資料代として200円いただきます。
 
 【問い合わせ先】 
 京都人類学研究会事務局
 
 京都人類学研究会2013年度学生幹事
 伊村優里 川口博子 川本直美 康陽球 佐野文哉 西島薫 彭宇潔 増木優衣 松隈俊佑 宮木和 森下翔 山本健介 吉田祐貴 吉村美和 米田亮太
 
 
京都人類学研究会2013年度代表
田中雅一
 
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