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【文化人類学会】第14回まるはち人類学研究会 「死の秘められた身体-マリ共和国セヌフォ社会の埋葬儀礼を手がかりに」のお知らせ

2012.12.07

まるはち人類学研究会より、以下のような研究会の案内がきています。今回の発表は、溝口大助さんです。コメンテーターの一人は須田さんですね。みんさん、頑張っているようでなによりです。(k.k)


2012年12月22日 第14回まるはち人類学研究会 

「死の秘められた身体-マリ共和国セヌフォ社会の埋葬儀礼を手がかりに」

会場:椙山女学園大学星ケ丘キャンパス 現代マネジメント学部地下1階 001教室 (地下鉄東山線「星ヶ丘」より徒歩5分)
13時30分~13時35分 「中部人類学談話会とまるはち人類学合同企画」趣旨説明
13時35分~14時35分 発表者:溝口 大助(首都大学東京等非常勤講師) 
14時35分~14時50分 休憩
14時50分~15時20分 コメント:須田征志(名古屋大学)
15時20分~15時50分 コメント:坂井信三(南山大学)
15時50分~16時05分 休憩
16時05分~16時50分 質疑応答
「死の秘められた身体- マリ共和国セヌフォ社会の埋葬儀礼を手がかりに」
 溝口 大助
  本発表の目的は、マリ共和国最南東部に住むセヌフォ(ポンポロ方言話者)の一村落で実施された埋葬儀礼の資料を対象とし、そこでの墓掘り人たちの語りと行為を考察・分析することで儀礼上の社会的相互行為の特徴を明らかにすることにある。よりふみこんでいえば、人が死を迎えるまでの経過、息を引き取ってすぐにおこなわれる湯灌儀礼、それに引き続く死装束儀礼にはじまり、埋葬儀礼までの一連の作業過程におけるひとびとの作業と言葉のやりとりに焦点を当てることで、セヌフォにおける諸価値がそこで表明される様子を示す。
 理論的には、近年の新たな「死の人類学」の分析枠組を補完することも目的とする。たとえば、近年、「死の人類学」における「存在論」の問題が注目されている。この種の議論はなるほど、「死の人類学」の分野に新しい観点をつけくわえた。たとえば、代表的な論者は、トラジャにおける死者のもつ感性を生者が想像することで、生者も死者も世界のうちに存在することのできる鋭敏な感覚を育むとするシンヒロニス(Tsintjilonis2007)や、「存在論」をめぐる近年の視点を導入することで新たな霊魂観研究を主導するビラースレウ(Willerslev 2009,2011)などである。
 たしかに彼らの死や霊魂を主題とする示唆は興味深い。だが、ここで注意を要するのは、たとえば、生者に対して死者がもつ過敏なほどの感性をいかに生者が生成し維持うるのか、死者や非人間へと交叉する生者はいかなる霊魂観を生み出すことができるのかという点が等閑視されていることである。この問いへの応答のヒントとなるのが、かつて死と再生をめぐるイデオロギーの問題を検討したブロックとパリー(1982)らの試みであり、彼らが理論的に経由したエルツ(Herts 1907)やモース(Mauss 1896, 1899, 1910)などの死の社会学的分析をおこなった理論家たちの視座であった。
 以上の視点を補完するために、本発表は、「イデオロギー効果」を帯びる力が、自己犠牲や禁欲を構成的規則により整序する儀礼的禁止から生み出されるという見落とされがちな点に焦点を絞って事例を提示したい。とくに絶息した遺体をめぐる連続する儀礼のなかでの墓掘り人たちの緊迫した言葉のやりとりを事例として、仄めかしや暗示の基盤となる不安定な現場を示すことで、彼らの諸価値の流動性と場を取り繕う話法が明らかにされる。そして死者の身体をめぐって社会的相互行為がおこなわれることを可能にしている行為の現場に秘められた基盤がそこに存在することが示されるだろう。
参照文献
BERIDOGO, Bréhima
1983. Le système de parenté et les rapports de production chez les Senoufo-Cyibala du Folona. Thèse de 3ème cycle, Université de Paris Ⅴ.
BLOCH, Maurice
1975 Political Language and Oratory in Traditional Society. Academic Press.
FAY, Claude
1983. Biens, traces et ancêtres. La dynamique du pouvoir chez les senufo. Thèse de 3ème cycle, Paris, EHESS.
HERTS, Robert
1970 (1907) "Contribution a une etude sur la representation collective de la mort (1907) " Sociologie religieuse et folklore, Paris: Presse Universitaire de France.
KONE, Yaouaga Félix
1989 Dynamique de la segmentation lignagère. Le cas des senufo du Folona(Mali). Thèse de 3ème cycle, Paris, EHESS.
LIENHARDT, Godfrey
1961 Divinity and Experience: The Religion of Dinka. Oxford University Press.
Mauss, Marcel
1896 "La religion et les origines du droit pénal d'après un livre récent(1er article)," Revue de l'histoire des religions 34: 269-295.
1897 "La religion et les origines du droit pénal d'après un livre récent(2e et dernier article)," Revue de l'histoire des religions 35: 31-60.
1899 "Essai sur la nature et la fonction du sacrifice, " dans OE, t.2, pp. 195-354.
1910 "Les Rites de Passage, " L’Annee sociologique, 11, 200-202.
Willerslev, R.
2009 "The optimal sacrifice: A study of voluntary death among the Siberian Chukchi" American Ethnologist 36(4): 693-704.
2011 "Frazer stirkes back from the armchair: a new search for the animist soul", Journal of Anthropological Institute 17(3): 504-526.
Zeitlyn, D. 1990 "Professor Garfinkel Visits the Soothsayers: Ethnomethodology and Mambila Divination," Man (N.S.) 25: 654-666.
カントーロヴィチ、エルンスト
2003 『王の二つの身体』ちくま学芸文庫。
塩川徹也
1986「17、18世紀までの心身関係論」『新岩波哲学講座9』岩波書店。
鶴岡賀雄
1991 「魂の受動性: 十字架の聖ヨハネ『魂の暗夜』に於ける」『東京大学宗教学年報』8:1-19。
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