慶田研究室ニュース

【日本文化人類学会】12月9日 京都人類学研究会12月季節例会『医学部で文化人類学を教える』

日本文化人類学会経由で、京都人類学研究会よりお知らせです。

シンポジウム『医学部で文化人類学を教える』
 
【日時】
2017年12月9日(土)14:00開演(13:30開場)
 
【開場】
人文科学研究所4階 大会議室
地図詳細:構内キャンパス38番
 
【プログラム】
 
1. 趣旨説明 14:00-14:15
浜田 明範(関西大学 准教授)
 
2. 研究発表 14:15-16:25(このセクションの途中と終了後に休憩あ り)
星野 晋(山口大学 准教授)
兼重 努(滋賀医科大学 教授)
道信 良子(札幌医科大学 准教授)
 
3. コメント・全体討論 16:40-18:00
加藤 源太(京都大学 准教授)
菅原 和孝(京都大学 名誉教授)
全体討論
 
【発表者・タイトル・要旨①】
 
星野 晋
 
医学生の職業的アイデンティティ形成とどのように関わるか
—医学教育における人類学の立ち位置をめぐる課題と展望—
 
世界医学教育連盟の提示する医師が修得すべき項目中には文化人類 学を含む社会科学領域が明記されており、近年日本の医学教育は、 これに対応する必要に迫られている。また日本の少子高齢化がもた らす財政的問題や慢性疾患への疾病構造の変化により、在宅ケア領 域が拡大しつつあり、この状況に対応する上でも、医学生が人類学 や社会学の視点や方法を学ぶ必要が生じている。そのため医学生が 卒前に学んでおくべき最低限の項目である医学教育モデル・コア・ カリキュラムの平成28年改定版に、人類学・社会学関連の項目が 新たに加えられた。人類学は、このような医学教育上のニーズに応 えていかなければならない状況にある。しかし専門職養成を目標としそのために必要なスキルを学ぶ医学教 育は、「学問」としての人類学に触れこれを学ぶ機会を提供する通 常の学部教育とは大きく異なる。そのためこれを担当する人類学者 は少なからずとまどいを覚えることになるであろう。医学教育に関わる以上、まず求められるのは医学生を知ることであ る。学生たちがどのように医者としてのアイデンティティを形成し ていくかを理解しながら、人類学者として教育者として、その過程 にどのように関わるかを考えなければならない。その上で人類学的 アプローチを学習することが、卒後、彼らが臨床で出会う人あるい は社会との向き合い方に、意味のある変化をもたらたしうることを 実感できるような教育プログラムを設計・実践していく必要がある 。報告者はこれまで20年以上、人類学を含む社会科学教育の立場で 、医学教育に携わってきた。本報告では、人類学者が医学教育に関 わっていく中で出会うことが想定されるさまざまな教育上の課題に ついて、報告者自身の経験にもとづいて整理していきたい。
 
【発表者・タイトル・要旨②】
 
兼重 努
 
単科医科大学教養課程における文化人類学教育の実践
 
私は滋賀医科大学医学科において、2005年4月から文化人類学 (注:医療人類学ではない)の授業を担当している。弊学の場合、 文化人類学は教養課程の必修科目という位置づけである。文化人類 学を教えるにあたり、以下のような困難と課題に直面している。弊学の学生は実学志向が強く、医師国家試験とは無縁の科目(=教 養科目)に対する関心・意欲は低い。文系科目は不要と言い切る学 生もいる。「医学(医療)は理系の領域であって、文系の学問領域 とは無関係」と思いこんでいる学生も少なくない。そんな彼らの関 心・意欲をひきだし、多少なりとも文化人類学的な素養を身につけ てもらうには、どのようなアプローチが効果的なのか?ワンセメスター(14~15回分)しか授業できないという制約も ある。何を選んで教えるべきか? 医師が身につけるべき文化人類学的素養はいったい何なのか? 教える側が見定めていかなければならない。教養課程の医学生は臨床経験を持たない。ある程度の臨床経験を経 た段階(五回生後期、六回生)で、医療人類学関連科目を履修して もらうのが理想だ。しかし弊学の現行カリキュラムではそれは叶わ ぬ夢。いったいどうすればよいのか?本発表では、上記の困難と課題に対する、私の拙い教育実践につい て(恥ずかしながら)紹介してみたい。
 
【発表者・タイトル・要旨③】
 
道信 良子
 
日本の医学部で医療人類学を教える2つの手法
 
日本では2013年から国際基準をふまえた医学教育分野別評価制 度が始まっている。この制度を運営する日本医学教育評価機構によ る評価基準には、行動科学・社会科学への言及があり、医療人類学 は注釈に記されている。2017年3月には、医学教育モデル・コ ア・カリキュラム(コア・カリ)が改定され、「B社会と医学・医 療」の項目の中で、文化人類学、医療人類学に関する説明が初めて 記載された。現在、全国の医学部では、新コア・カリを軸にそれぞ れの教育をいかに国際水準まで引き上げるかが検討されている。こ の教育改革を契機として、いかに効果的かつ独創的に医療人類学を 推進するのかということが現在の医学教育における人類学の課題で あり、人類学教育がどのように医学部教育の質向上につながるのか というのが医学部側の期待であると考える。本発表では、日本の医学部で医療人類学を教える2つの手法につい て解説する。それは医学・医療の教育体系に人類学を統合させてい く手法と、それらすべての知の体系から学生をいったん解放させる 手法である。具体的には、1) 2017年10月に本務校で担当した医学部社会学(3コマ)と医 療人類学(2コマ)の授業を例に、医療人類学を社会医学に関連付 けて教える方法について解説し、2)地域医療実習などフィールド ワークのなかで人類学的発想を涵養する方法を紹介する。この2つ の手法を議論の材料として、医学教育における人類学とは何か、人 類学はどのように医学教育の水準を高めることに貢献できるのか、 医学生はなぜ人類学を学び、人類学は医学生にどのような変化をも たらすことができるのかということについて考察する。
 
【備考】
*京都人類学研究会は京都を中心とする関西の人類学および関連分 野に関心をもつ研究者・大学院生がその研究成果を報告する場です 。
*事前の参加予約は必要ありません。どなたでも自由に参加いただ けます。
*当日は資料代として200円いただきます。
*講演会後に懇親会を予定しております。
 
【問い合わせ先】
京都人類学研究会事務局:kyojinken2017[at]g mail.com
京都人類学研究会2017年度運営委員
* 代表:石井 美保
 
[at]を@に変換してください。

 

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