慶田研究室ニュース

【KAFS・報告】熊本人類学映画会 第10回 9/29(Fri)18:00-, 10th Session: The Video Art of Aki Yahata

9月29日(金)に第10回目となる熊本人類学映画会(KAFS)を行いました。多くの学生・一般の方にご参加いただき嬉しい限りでした。

今回はゲストに映像作家の八幡亜樹さんを迎え、八幡さんの作品を二つ上映し、会場全体でトークセッションを行いました。
八幡さんは東京藝術大学先端芸術表現科、修士課程修了後、映像制作をしながら、医療と芸術の境目を知りたいと現在は滋賀県の大学で医学を勉強中です。KAFSでの上映作品はスリランカで撮影した悪魔祓いのフィルム『Tovil 』( 2016 / Sri Lanka 20min)、さらに上映会直前までミクロネシアに滞在していたという八幡さんの新作『 Federated state of Micronesia(仮題)』を上映してくださいました。予告では上映作品は三作品としていましたが、質疑応答が白熱し、時間の都合上、二作品に止まりました。
 
『Tovil』では流産をした女性が悪魔祓いを受ける様子が、抽象的な映像を挟みながら映し出されています。最終的に悪魔祓いの儀礼の映像は、悪魔について歌う日本のラッパーたちの映像へとシフトしていきます。悪魔祓いの儀礼とラッパーの映像を組み合わせたのはなぜかという会場からの問いに、この二つに共通する現代の精神的な不安の現れを感じたからだと八幡さんは答えています。また、この映像のナレーションは機械音声で、その意図について参加者から聞かれると、悪魔を何かを介して感じられるものとして捉え、機械音声でどこから来るのかわからない存在を表現したかったと八幡さんは語っていました。機械音声のみならず、悪魔祓いの映像に挿入されている八幡さんが感じたイメージ、現代日本のラッパーたちの映像など、随所に八幡さんの感性がちりばめられた作品でした。
最新作となったミクロネシアのピンゲラップ島における全色盲者の伝統的な漁を映した映像は、光に敏感な全色盲者たち自身が撮影した映像を交えながら、夜のトビウオ漁、そして彼らの日常の一部を描き出しています。ピンゲラップ島は全色盲者の割合が世界的に見ても非常に高い島です、その中で、夜のトビウオ漁は全色盲者が生計を立てていくための代表的な仕事のひとつでした。実際に島に滞在し全色盲者たちと触れ合った八幡さん曰く、「自分が想像している以上に彼らは(仕事も日常生活も)何でもできた。そして、島を出た全色盲者たちは逆に障害者として扱われていた。」そうです。また、このトビウオ漁は現在ではあまり行われていないらしく、八幡さん曰く、アメリカの食生活の流入により漁をしていた人々が漁を怠けるようになっているのだそうです。今回、映像に収められた漁は、久しぶりに行われた漁だったそうです。
 
「直観的に言葉を介さず感じたもの」を言葉にしてしまうことに矛盾を感じ、映像で直観を表現したいと強く語った八幡さん。彼女は言葉を介さないものを言葉抜きで説明したいという熱意を映像制作にぶつけています。一方で文化人類学は現象や概念を文字化、分析可能なものとして扱うため、文字から逃れることはできません。しかし、この二つのスタンスは遠いところにあるようでいて、自分の感じたもの、知りたいものを詳らかにする、伝えるために形にするという点でつながる部分もあるのではないかと感じました。
八幡さんは早くも次の作品に向けてビジョンを描き始めているそうで次回作も大変楽しみです。(田口)
 

1507190059194.jpg 1507190086759.jpg 

(撮影:ジョシュア先生)左:会場の様子 右:上映会終了後、懇親会を行ったPAVAO前で記念撮影


次回KAFSについて詳細が決まり次第お知らせします。お楽しみに。

これまでのKAFS

★セッション第10回  お知らせ報告
★セッション第9回 お知らせ報告
★セッション第8回 お知らせ報告
★セッション第7回 お知らせ報告
★セッション第6回 おしらせ報告
★セッション第5回 お知らせ報告
★セッション第4回 お知らせ報告
★セッション第3回 お知らせ報告
★セッション第2回 お知らせ報告
★セッション第1回 お知らせ報告
Kumamoto Anthropology Film Society (KAFS)
運営委員:慶田勝彦、ジョシュア・リカード、香室結美、田口由夏


 


 


 

ニュース一覧に戻る