慶田研究室ニュース

【研究室】2016年度 卒業論文発表会(2016.2.13-14)

熊本大学文学部社会人間学コースの卒業論文発表会が行われました。文化人類学ゼミからは2名が発表しました。当日は、発表者もコメンテーターを務める三年生も程よい緊張感を持って取り組むことができました。発表者のみなさまお疲れさまでした。(3年)


【発表者・題目・概要】
◆中原浩基(シンジルトゼミ)
オノマトペの壁―越境するマンガについての人類学的研究―
 本研究では翻訳というフィールドでマンガのオノマトペを分析するものである。マンガは世界に広まっていて、英語や中国語、韓国語など様々な言語に翻訳されている。マンガの中にはセリフや効果音など様々な言葉があるが、本論文では擬態語や擬音語に注目していきたい。擬態語や擬音語を総称してオノマトペと呼ぶが、このオノマトペは翻訳する上で難しい面がある。それは文章と違って、擬音語や擬態語は感覚的なものであるし、文化によって音の感じ方は異なるからである。またマンガの中ではオノマトペは文字だけでなく、手描きの絵として機能しているところもあり、翻訳者が手をいれることができないところもある。オノマトペにはそのような翻訳上の問題があるが、マンガの中ではとても重要な要素の一つである。しかしながらこのオノマトペは他の言語への翻訳が難しいという問題も抱えており、これはマンガ翻訳の一種の壁となっている。この問題を具体的にしていくというのが本論文の目的である。そこで翻訳の実例として、韓国、中国、アメリカの3か国を選んだ。日本語と構造が似ている韓国語では興味深い実験をしている論文が見つかったためそれを取り上げる。さらに日本語の構造とは異なる中国語で翻訳の仕組みに違いがあるかを分析していきたい。また、アメリカはポケットモンスター以降日本のポップカルチャーが急速に広まっており、市場の規模も最も大きいことから分析対象にすることにした。
マンガの中にはキャラクターが喋るものや擬態語、擬音語などのオノマトペが存在する。マンガのオノマトペは複雑で多種多様である。元々、日本語にはオノマトペが数多く存在しているが、マンガの中には独特の使用法がある。そこでマンガ文化の中でオノマトペを位置付けて、翻訳する上でのオノマトペの壁はどのようにして生まれたのか、また現状どのような問題があるのかということを分析していきたい。(※本文より一部抜粋)
 
◆高妻麻依子(シンジルトゼミ)
毛沢東の多義的な位置づけに関する人類学的研究
 中華人民共和国建国の指導者であり初代国家主席である毛沢東(1893-1976)は、今なお中国国内の多くの場所でその肖像画あるいは関連する現象を見ることができる。紙幣からバッジ、観光客向けのお土産品や、店の看板、生誕記念行事、建国記念日、日常の信仰の対象など、その場面はさまざまである。毛沢東の肖像画といえば、紙幣に印刷され、天安門に掲げられており、それを見る人々に中国を連想させる。彼の姿は、中国を示し、社会主義を示し、共産党を示すが、時に車の中で安全運転の守り神となることもある。毛沢東の位置づけは多様である。
 毛沢東が建国以後行った政策に対して、中国政府は成功の業績が 7 割、誤りが 3 割と評価し、彼の失敗を認めているが、毛沢東は共産党の根幹に関わる人物である。毛沢東を批判することは共産党を批判することであり、共産党が続く中国を批判することになるため、政府はこれを認めないのである。敬意を表しすぎることも、敬意のない表現をすることも難しい毛沢東に関するこれらの出来事からも、毛沢東の位置づけが単純ではないことを読み取れる。毛沢東が中国国内でどのように捉えられているのか、毛沢東を巡る社会的現象を調べることで、毛沢東の位置づけを明らかにしたい。
 本論文の目的は、現代中国における毛沢東を巡る様々な社会的現象を取り上げ、チャールズ・サンダース・パースの記号学の議論に依拠しつつ、中国における毛沢東の位置づけを明らかにすることである。具体的には、毛沢東の捉え方について先行研究をもとに理解し、現在見られる毛沢東を巡る社会的現象についてパースの議論をもとに再分類を行う。そして筆者による現地調査で得られたデータを活かしつつ、現代中国における毛沢東の位置づけについて考察していく。(※本文より一部抜粋)
 
 

 

 

 

 

 

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