慶田研究室ニュース

【KAFS】報告・熊本人類学映画会 第3回 8/30(tue) 17:30- 「ジャン・ルーシュ作品 "Les Maitres Fous" (狂気の主人公たち)」, The 3rd Session: "The Mad Masters" directed by Jean Rouch

8/30(火)にKAFSの第3セッションを開催しました。
 
 前回に引き続き大学の内外からの参加者と映画の時間を共有することができました。今回上映した作品はジャン・ルーシュ(Jean Rouch)監督作品『狂気の主人公たち』(Les Maitres Fous/ The Mad Master 1954)でした。30分ほどの映画でしたが、ハウカ儀礼の犬を殺して食べるといった様子に衝撃を受けた方もおられたようです。
 ルーシュの映像はジャズに例えられるような、即興的な映像が特徴的です。今回の映画でもハウカ儀礼の様子をカメラが刻一刻と映し出しています。セッション第1回ではロバート・フラハティの『アラン』を上映しましたが、彼が遠方から対象を眺めるように映したのに対して、ルーシュは儀礼が行われている真っ只中の舞台へカメラを携えて入り込み、対象との距離をつめて撮影しています。こうしたルーシュの躍動的で即興的な映像を、今回の映画を通してみることができたのではないでしょうか。
 そして、上映後のディスカッションはこのハウカ儀礼が中心となりました。儀礼でハウカたちは自身に当時の支配階級であったイギリスの軍人や医者、機関車の運転手を憑依させます。ディスカッションではこうした支配層を憑依させることは何を意味しているのか、こうした儀礼はハウカだけでなく他の地域でも見られるのかといった質問が出ました。ハウカは20世紀初頭に現れた比較的新しい儀礼だと言われています。祖先霊を憑依させるという儀礼はアフリカの伝統的なものです。そこへ祖先霊や土地に根付いた精霊ではなく、支配層の霊を憑依させる点にハウカが新しい儀礼だといわれる所以があります。こうした伝統的なものへ植民地支配の影響や西洋的な様式が混ざって新しい運動が起こることはハウカに限らず、アフリカのその他の地域でも見られる行為です。しかし、支配階級や西洋の様式を取り入れることが支配層へ対する抵抗なのか羨望なのか、どのような意味を持っているのかは簡単に答えが出せないという結論に至りました。
 原題、邦題ともに「狂気」という言葉がありますが、映画ではトランス状態に陥った儀礼の様子だけでなく、日常生活や儀礼を終えて精神や気力が回復した穏やかな表情のハウカたちが映されています。ハウカ儀礼は犬を食べるというショッキングな内容を含みますが、ルーシュは日常と非日常の両方を描くことで、ハウカたちのイメージのバランスを取ろうとしたのではないかと思います。(田口)
 
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次回は10/1(日)水俣にてKAFS第4セッションを開催予定です。
大学からは少し遠方になりますが、是非ご参加ください。
 
 
これまでのKAFSの活動
★セッション第4回 お知らせ
★セッション第3回 お知らせ
★セッション第2回 お知らせ報告
★セッション第1回 お知らせ報告
 

 

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