地理学とは

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 地理学は,場所,地域,空間,景観など,土地(地表面)に関する科学です.人々は土地という資源をいかに利用してきたのか?いかに利用すべきか?という問題に関心を寄せていると言っても良いでしょう.伝統的な社会では,人々は農耕や漁撈を通して土地から自然の恵みを直接に得て暮らしを成り立たせてきました.しかし高度に近代化された現代社会では,人々や企業はしばしば国境を越えてグローバルに展開し,ある場所と別の場所が結びつけられ,その結果として国際的な分業や地域的な分業といった空間構造が形成されています.例えば我々の身の回りの工業製品は国内外で生産されており,海外の各地に日本向け製品の生産基地が成長している一方で,国内生産は縮小傾向にあり,工業地域に多方面の影響が表れています.では,それぞれの地域はグローバル化の中でどのような発展戦略を採るべきなのでしょうか?個々の企業はどこで生産するのが有利なのでしょうか?地理学では,グローバルな事象とローカルな事象の双方に目を配りつつ考えることができます.

 一方,社会が成熟するにつれ,生活の質(quality of life)をいかに高めていくかも重要な課題となっています.暮らしやすいまちづくり・地域づくりを考える際に,土地利用,公共施設・福祉施設等の配置,交通ネットワークなどのハードな社会資本をいかに整備するかも必要不可欠な視点です.またそのようなハードな社会資本によって形成された空間の中で,人々は日々の生活をどのように営み,どのように改善できるか,といったソフトな課題も重要です.地理学ではこれらの課題についても大きな関心を寄せています.

 このように,地理学は基礎科学であると同時に,応用科学・政策科学的な性格を有しています.また自然環境と人間活動を相互に理解する必要があり,総合科学的・文理融合的な性格ももっています.

 

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