熊本県阿蘇市
平原古墳群6号墳発掘調査
(2013年度)

徒 然 な る ま ま に


2013年9月14日(土) 第28日目

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 完全撤収日。

 今日も天気に恵まれました。
 快晴!

 昨日までに宿舎の清掃も、器材の洗浄も、洗車も、ほぼすべて終えていたので、本日は撤収作業のみ。
 きれいにした宿舎、とくに台所を汚したくなかったので、朝食はパンにしました。

 いつも通り7時に朝食。
 8時には山田地区区長の大田黒さん、9時前には古墳地権者の佐伯さんご夫妻の訪問を受け、最後のご挨拶。

 朝食のあとは、1ヶ月間お世話になった宿舎・・・山田公民館をもう一度掃除したあと、宿舎前で記念撮影しながら、貸し布団の引取を待ちました。
 上の4枚の写真は、このときに写したもの。  1年生、2年生、3年生、そして大学院修士1年生の面々です。

 そして10時過ぎには貸し布団も撤収。
 トラックとレンタカー、学生の車3台、計5台の車に分乗して、帰途につきました。

 帰る途中、今回の現場ではまったく阿蘇観光ができなかったので、少しの時間でしたが大観望に寄り道(次の写真)。
 薄曇りで五岳がほとんどみえませんでしたが、でも、皆、阿蘇の雄大さは実感できたのではないでしょうか。

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 ソフトクリームを食べたり、お土産を買ったりして、大観望を発ったのは11時半頃。
 大学には午後1時過ぎに帰り着きました。

 そして、器材を考古学資料室に収納して、3時前、解散となりました。


 調査の前半は雨続きで、一時は延長を覚悟しましたが、でも、最後の10日ほどは天気に恵まれ、また、学生さんたちすべての頑張りのおかげで、何とか当初の予定通り、本日、9月14日に発掘調査を終えることができました。

 みんな、お疲れ様!
 そして、ありがとう!

 最後の夜には自身の力のなさを感じさせる出来事もあって、私にとっても、様々に考えさせられることのある、また学ぶことの多い現場でした。
 今後に生かしていきたいと思っています。


 さあ、後期からは報告書作りが始まります。
 しばし英気を養って、私も溜まりに溜まっている原稿を再開します。

 本当にお疲れ様でした。

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2013年9月13日(金) 第27日目

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 現場の終わりに、天が味方したのでしょうか?
 今日も晴れて、順調に作業が進みました。

 午前9時過ぎには、北1トレンチの立面図の最終チェックが終了。
 9時半から埋め戻しを開始しました。

 途中、土が足りなくなりそうで少しヒヤヒヤしましたが、何とか土をかき集めてきれいに埋め戻し。
 上の写真の4枚がそのときの様子で、胸に手を当てて見得を切っている男衆が、その埋め戻しのメンバー。
 彼らの頑張りのおかげで、昼食を後回しにして、午後1時過ぎには埋め戻し自体は終了しました。

 そのあと、埋め土が流れないようにすることも目的としたカモフラージュ。
 杉の落ち葉や枯れ枝をかき集めて、トレンチ埋め土の上を覆いました。
 その様子が、上写真の最下段の2枚。
 かなり念入りに落ち葉で覆ったので、一見するだけですと、どこにトレンチがあったのか、分からない様になっています。

 最後の写真が、カモフラージュのメンバー。
 皆、いい笑顔ですね。


 ほかに、借用している足場を道路際まで下ろすこと、借用している現場トイレを洗浄すること、借用している一輪車を洗浄して阿蘇市教育委員会に返却すること、そして現場器材の洗浄・・・これらの仕事を分担して実施。

 埋め戻しも含めて、午後4時過ぎには、すべての作業を終えることができました。

 この1週間の学生たちの頑張りは予想外で、とてもうれしい誤算でした。
 この経験を経て、大きく育ってくれれば、それほどうれしいことはありません。
 大いに期待しています。


 さて、明日は、宿舎を再度清掃し、宿舎代を清掃して、そして熊本大学へ帰るのみ。
 無事に大学へ帰り着くことが最大の目標です。

 今夜はラスト・ナイト。
 今、ささやかな酒盛りの最中です・・・


 下の写真は、今回調査した平原6号墳。
 西から見た様子です。

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2013年9月12日(木) 第26日目

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 少々疲れ気味です。

 夕食がなかなか凝っていておいしいので食べ過ぎるのと、休肝日なく飲み続けているせいか胃が重く、また、この3日ほど学生に混じって埋め戻しや転落石運びなどの力仕事をしているので体がだるくって仕方がありません。
 また、夏が戻ってきたように暑くて、一時期のあの寒さが何だったのかというくらいです。

 今、扇風機を回して、これを書いています。


 私は今日、朝7時半に宿舎を出て大学に戻り、撤収のためにトラックを借りてきました。
 25日ぶりの熊本市内でした。

 現場では北1トレンチのみ作業。
 立面図の作成でしたが、補助を2人つけて、朝8時から夕方5時半まで・・・(上左の写真)

 昨日の様子では終わるかどうかが不安でしたが、3人衆の頑張りのおかげで、なんと、本日で線引きは終了。
 あと少しの修正を残していますが、ほぼ北1トレンチの立面図も終わりです。

 不器用そうにみえる学生も、やればできるものですね。
 私も、学生に任せてみる大切さをあらためて教えられたような気がします。
 立面図を担当した学生ですが、これで一皮むけるかもしれません・・・


 ほかの作業ですが、午後一番に、道路際にまで下ろしていた転落石をトラックに積んで、役犬原小学校にある阿蘇市文化財収蔵室に運び込みました。
 また、不要になった現場器材、とくにブルーシートを洗浄(上右の写真)。
 洗車も実施。

 撤収に向けた作業も順調に進んでいます。

 もう、何があろうと、14日には撤収です。
 このまま晴れが続きますように・・・

2013年9月11日(水) 第25日目

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 発掘調査終盤の今、天気に恵まれています。
 この調子が14日まで続いて欲しいと、心から願っています。

 さて、本日は、ちょっと時間の余裕があったので、平原古墳群の遠景写真撮影に行ってみました。
 小嵐山横の山道をかなり登ったところから、上の写真のような景色を見ることができます。
 今日は霞がひどくって、本番写真の撮影を断念しましたが、澄んだ空気のなかでは、北外輪山がくっきりと見え、平原古墳群の立地する丘陵が北外輪山から伸びている様子がよく分かる写真になるはずです。

 チャンスを待ちたいと思っています。

 発掘調査現場では、昨日の南1トレンチに続いて、本日は西1トレンチでも立面図作成が終了。
 一気に埋め戻しました(下左の写真)。
 埋め戻したトレンチから土が流れないように、杉の落ち葉・枝などで埋め土の上を覆ったので、どこがトレンチであったのか、一見するだけでは分からない様な状態になっています(下右の写真)。

 北1トレンチでは立面図作成に入りました。
 不慣れなペアでの実測となっているせいか、相当難航していて、あと2日ほどかかりそうな情勢・・・
 このままでは、14日の宿舎撤収日までに埋め戻しが終わるのかどうかが微妙です。

 明日は若干の人員を入れ替えます。

 このほか、葺石の転落石ですが、それを現地に放置することはできないので、阿蘇市教育委員会の倉庫に運び込みます。
 その転落石を、下の道路際にまで下ろす作業も行っています。
 あまりに重いので、担当した男子学生は相当疲労していた様子。
 そういう私も、年甲斐もなく一緒に運んだので、今、体の節々が痛い・・・

 現場器材も、もう使わないと思われるものはすべて宿舎へ運び込み、洗浄を開始しています。
 ブルーシートの洗浄に難渋していますが、明日にはメドが立ちそうです。


 いよいよ、最終コーナーをまわりました。
 明日が最後の大きな山場です。

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2013年9月10日(火) 第24日目

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 晴れっていいですね。

 南1トレンチ。
 断面図と立面図の最終チェックののち、午前10時半頃から埋め戻しを開始。
 おもに4人での作業でしたが、午後2時頃には終了。
 南1トレンチとも、今日でお別れでした。
 上の上左写真がbifore、上右写真がafter。

 西1トレンチでは立面図の作成開始。
 明日には図面が終わりそうで、そのあと埋め戻し作業に移行します。

 北1トレンチ。
 平面図にレベルを落としたのち、立面図の準備まで終了。
 明日から立面図作成に入ります。

 西1トレンチ、北1トレンチとも、2012年度トレンチの範囲は、ほぼ埋め戻しが終わりました(上の下段写真、左が西1、右が北1トレンチです)。

 こんな感じで、学生の皆が予想以上に頑張ってくれているおかげで、雨による遅れをかなり取り返しています。
 明日は西1トレンチ、北1トレンチの立面図作成要員のみを残して、ほかの人員は撤収に向けた準備に振り分けることができそうです。

 いよいよ、明日から、撤収作業も開始します。

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2013年9月9日(月) 第23日目

 今日も天候に恵まれました。
 この調子の天気で最後まで行くことを大いに期待します。


 葺石の残りがすこぶるよい北1トレンチの平面図、昨日の様子からして、明日まではかかるだろうと踏んでいたのですが、学生の思わぬ頑張りのおかげで、今日で線引きまでは終わりました。
 そのおかげで、このまま晴れが続けば、15日にすべてが終了する芽が出てきました。

 14日の宿舎撤収は動きませんから、それまでにできうるかぎりの作業を済ませて、15日は北1トレンチ上半の埋め戻しのみが残るという状態にまでもっていきたいと考えています。

 南1トレンチでは立面図も終了。
 明日に少し図面のチェックをすれば、このトレンチは本当に終了。
 埋め戻しに入ります。

 西1トレンチでは、明日から立面図作成に移行します。
 こちらも、明後日には埋め戻し作業に入ることができればと思っています。


 現場の終盤。
 学生の最後の力が発揮されてきているようで、発掘の進み具合が違ってきているように思います。

 あと少し。一気に終わりまでもっていきたいと思っています。

2013年9月8日(日) 第22日目

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 4日連続、日中は雨降らず。
 明け方にパラパラッと来たときは、あぁ〜また・・・と思ったのですが、曇りがちながら、1日中、現場作業ができました。

 各トレンチでは、淡々と図面作業が進んでいます。

 古墳の葺石の実測をすることが初めての学生ばかりで、また、2年生はレベルの使い方もまだまだ不慣れですので、なかなか進み方が遅いのですが、でも、着実に学生たちの成長が感じられます。

 そんな姿をみると、かなりうれしく思ってしまいます。

 私の小言をもっと押さえなければいけませんね・・・


 今日は大勢の見学者がありました。10数人?
 卒業生も3人、私の大阪時代の後輩も1人来てくれて、とてもにぎやかな午後でした。
 差し入れも多くいただいて、ビールはもう買わずに済みそうです。


 宿舎を引き払うのは14日です。
 これは動きません。

 それまでに、可能な限りの作業を終え、もし作業が残ったとしても埋め戻しくらいには押さえたいと思っています。
 いよいよ終盤戦です。

2013年9月7日(土) 第21日目

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 現場開始から、今日で3週間が過ぎました。
 その日程のうち、半分近くが雨に降られていることになります。

 でも、今日で3日連続、1日中、現場作業ができました。
 天気よ、この調子で!

 さて、本日から南・西・北のすべてのトレンチで図面作成作業に移行しました。

 南1トレンチでは、明日の早いうちに平面図の線引きが終わりそうで、レベル入れののち、午後には立面図作成に入ることができそうです。

 西1トレンチでは、まだまだ実測に不慣れな3年生が担当していることもあって、平面図作成にてまっどっている様子。
 何とか一皮むけて欲しいなあと願っていますが、はたして?

 北1トレンチでは、断面・平面の割り付けののち、断面図作成に入っています。
 ここでも、別大・井君がリーダーシップをとって熊大の皆を引っ張っていってくれているので、大助かりです。

 とはいえ、井君には断面実測作業を担当してもらったので、平面割り付けには私がいちいち口を出しています。
 それどころか、やはり要領を得ないので、今日は中軸の水糸張りまで、私がトレンチに入って実施。
 靴下でトレンチに入りますから、軍足が真っ黒になってしまいました。

 学生の皆には、見て覚えて欲しいと思っています。
 そして、調査を順調に進めるためには、どのような作業が必要なのか、臨機応変に対応できる能力を身につけて欲しいと願っています。
 この臨機応変の対応力ですが、学生によってかなりセンスの良し悪しの差が出るのですが、要領が悪い学生であっても辛抱して待つことによって、大きく化けることがあります。

 私はかなりイライラして、「たいがいにせえよ!」と、相当きつい物言いになってしまうのですが、でも、それでも学生のする作業をじっと待っています。

 みんな、頑張れ!


 今日の写真は、北1トレンチのシート掛けの様子。
 段築テラス面の小礫(バラス)敷き面には、10pメッシュを切ったのですが、それもうっすらと写っています。

2013年9月6日(金) 第20日目

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 2日連続の晴れ!!
 相当うれしいです。

 また、今日は寺前さん夫妻が来て下さり、かなりじっくりと時間をかけて現場を見て行かれました。
 昔の大阪時代の仲間が阿蘇のこの現場に来てくれたのははじめてだったので、また、いろいろと大学の話をすることができて、楽しい時を過ごしました。


 さて、現場作業ですが、北1トレンチでは、ここ1週間の雨で汚れまくったトレンチ周囲を、実測作業者以外のメンバー総動員で清掃。
 段築テラス面の小礫敷面も清掃し、小礫も水洗いして、いよいよ全景写真撮影に移行しました。

 なかなかうまく曇ってくれなかったのですが、ときどきの雲間を狙って11カット(上の写真はそのうちの4枚)。
 ほぼ半日以上をかけて撮影しました。
 最後に撮影した、逆光を押しての西壁土層断面写真がうまく写っていない可能性がありますが、でも、デジカメで最低限の写真は押さえているので、それでよしとすることにしました。

 明日、割り付けから実測作業へと進む予定です。

 南1トレンチ、北1トレンチは、断面土層図およびトレンチ平面図作成に移行しています。
 やはり、別府大学から参加してくれている井君のスピードが速く、もう助っ人の域に達しています。
 彼がいてくれてよかった・・・と本当に思います。
 熊大の同じ3年生、もっと頑張れ!


 ところで、明日の午後から、天気予報では雨。
 はずれて欲しいと願っています。

2013年9月5日(木) 第19日目

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 8月29日以来、1週間ぶりに雨が降りませんでした。
 ということは、先週の金曜日から1週間、雨が降り続けていたことになります。
 なんという・・・

 今日は1日中晴れて、何の支障もなく現場作業ができました。

 南1トレンチのメンバーは、写真撮影のため、わずか30分だけですが早出しました(上段左の写真)。
 そのおかげかどうか、雲の多いあいだに土層断面写真を撮り終えることができ、平面・断面割り付けに移行(上段右の写真)。
 明日からは実測作業が始まります。

 いち早く、西1トレンチは午前中に断面割り付けが終わり、午後から土層断面図作成作業を始めています(下段右の写真)。
 明日にはそれも終えて、葺石の平面図作成が始まる予定です。

 北1トレンチ(中段の2枚、および下段左の写真)。
 段築テラス面の小礫敷面および墳丘盛土面の検出作業ですが、ずっと学生さんに任せて我慢していたのですが、あまりに慎重すぎて(その気持ちは十二分に分かるのですが)、なかなか進まないので、夕方近くに私が参戦。
 一気に、褐色ローム土混じりの墳丘盛土面を出して、原位置でない小礫を取り上げ、仕上げてしまいました。


 別府大学から参加してくれている井君(学部3年生)がもっとも図面がかけるので、同時並行で書いている熊大学生の刺激になってくれればいいのですが・・・はたして、どうなんでしょうか?

 他大学の学生はもっと、もっと勉強しているから、またもっと、もっと現場ができるから、それと比較して自分は・・・と考えて欲しいと強く願っています。

2013年9月4日(水) 第18日目

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 昨夜からの雨が朝まで続き、朝食の時は相当の大雨。
 今日もダメかと、宿舎待機のあいだは、毛布をかぶってゴロゴロ。
 昨日から、9月初旬とは思えないほどの寒さで、風邪をひくかと思うほど・・・

 雨に寒さに、本当に今年の天気といったら、どうなっているのでしょうか?

 でも、午前10時すぎに雨があがり、晴れ間まで現れて、いよいよ10時半、現場へ出発。
 そして、そのあとは、太陽がときどき顔を出す天気となり、夕方まで無事に現場作業ができました。

 ひさしぶりに現場で昼食をとることもでき(下の左上写真)、ようやく、やった感のある1日となりました。
 雨に濡れたシートや現場器材も洗浄、乾燥させることができて(下の右上写真)、やっと、水抜き、シート掛け以外の現場作業ができたような、そんな錯覚を覚えるほどのひさびさの晴れの天気でした。

 明日からもこの天気が続いて欲しいと、心からそう願います。

 そんな1日でしたから、これまでずっと延び延びとなっていた写真撮影を行うことができました。
 西1トレンチの断面土層写真(上の右写真)。
 南1トレンチの全景写真各種(上の左写真は、ローアングルからの全景)。

 下の左下写真は、割り付け作業に入った西1トレンチと墳丘、下の右下写真は、ようやくすべての2012年度トレンチ部分の埋め戻しの土のうをはずした北1トレンチです。


 さあ、明日から、再スタートです!

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2013年9月3日(火) 第17日目

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 昨日の験担ぎ、男子学生全員のひげ剃りの甲斐なく、本日も相当の雨が降りました。
 ですので、午後は完全中止。
 現場作業を何とか行うことができた午前も、降雨のための中断が数回入るような状態でした。

 いつから太陽を見ていないのだろう?

 そんな午前中、8時前には現場へ出発し、シートの水抜きののちシートをはずしたとたんに大粒の雨が・・・
 あわててシートをかけて、テントの下で待機。

 小降りになって現場作業再開。

 幾度かの中断をはさみながら、南1トレンチでは、足場2段の上からの全景写真を何とか撮影しました。
 ただ、大変暗かったので、絞りきれず・・・
 うまく写っているのかどうか、ちょっと不安です。
 でも、NikonD800でも押さえの写真を撮影していますので、フィルム写真がもう1つのデキであっても、使えない写真ばかりという状態にはなりません。
 デジカメって、便利ですね・・・

 上2枚の写真が、そのデジカメ写真です。
 南側の1段目葺石と基底石、墳端平坦面が検出されています。

 北1トレンチ・・・段築テラス面の礫敷残存部から1段目葺石残存上端部までのあいだの精査を継続しましたが、降雨のためすべて終わらず。早く仕上げて、写真の準備に入りたい気持ちで一杯です。

 西1トレンチ・・・いったんシートをはずしたのですが、断面写真を撮るまもなく、降雨のためふたたびシート。トレンチを汚したくないので、本日、作業を行いませんでした。


 天気予報によると、今後も雨の日が続きそうです。
 もう、私は覚悟を決めました。

2013年9月2日(月) 第16日目

 あ〜、また雨模様。

 本日、私は、以前から頼まれていた「阿蘇郡市文化財保護委員等研修会」の講師をつとめるため、朝に現場に少し顔を出したあと、現場段取りはフィールドマスターの甲斐さんに任せて、阿蘇市の旧役犬原小学校にある研修室へ向かいました。
 旧役犬原小学校には、今、阿蘇世界文化遺産推進室が置かれています。

 午前10時から12時まで、「阿蘇地域の古墳と平原古墳群の発掘調査について」と題した話をしましたが、文化財保護委員の方々からさまざまな質問を受け、大いに刺激を受けました。
 もっと、もっと勉強をしないといけません。

 現場の方は、昼前、大雨のためいったん宿舎に戻って昼食をとった様子。
 研修会でも、午後に平原古墳群の発掘調査現場を案内する予定でしたが、雨のため中止。
 私は、文化財保護委員の方々と食事をとったのち、宿舎へ戻りました。

 現説も台風で中止になったし、今日はぜひ一般の方々に現場を見ていただきたかったのですが、つくづく残念です。

 ただ、宿舎で待機していると、午後2時前には雨が小降りとなり、現場作業を再開しました。
 そして、小雨がかすかに降るなか、だましだましでしたが、何とか夕方5時半まで、現場作業ができました。

 ほぼ1日中現場ができたのは4日ぶり・・・

 昨日、験を担いでひげを剃ったのがよかったのかもしれません。
 ですので、今日は、男子学生全員がひげを剃りました。

 明日も1日、現場作業ができますように!


 本日の成果ですが、
 南1トレンチでは転落石がほぼすべて取り上がり、墳丘面の確認も終えたので、あとは清掃しての全景写真です。
 北1トレンチですが、段築テラス面の礫敷残存部をほぼ検出。あとわずかに掘り残しがあります。そこを掘り上げて、分層を完成させれば、全景写真撮影に移ることができます。

 何とか、雨が落ちてきませんように・・・

2013年9月1日(日) 第15日目

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 雨・・・降雨中止。

 数えてみました。

 今日で阿蘇に入って15日目。
 初日は搬入でしたから、現場作業日は14日ありました。
 うち、1日中現場作業ができたのは6日のみ。
 雨のため完全中止となったのは4日。
 雨で半日程度作業ができず、でも、何とか半日でも作業ができたのは4日。

 こんな状況。

 実質、1週間程度しか作業をすることができていないこの状況で、進捗状況だけをみれば、発掘に不慣れな学生ばかりにしてはよく頑張っているとは思います。
 でも、雨に降られていなければ、もっともっと進んでいたのだと考えると、非常に悔しいものがあります。

 夏の発掘の醍醐味は、暑い輝く太陽の下、現場で思いっきり汗をかきながら作業をすることだと思うので、何とか後半には、学生さんたちにそのような経験をさせてあげたいと願っています。

 毎日毎日、書いていますが、本当に心から雨があがって欲しいと思います。

 上の写真・・・雨のため部屋干ししている洗濯物に、乾きをよくするために扇風機を当てている様子。
 洗濯物がからっと乾く日が来ますように!!

2013年8月31日(土) 第14日目

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 また、雨でした。
 温帯低気圧に変わったとはいえ、台風が最接近しているのですから、雨は仕方がないとあきらめるしかありません。

 本当なら、本日の午前10時から現地説明会を実施しているはずでしたが、台風のため中止。
 雨のため現場も、午前中は待機状態・・・

 こう毎日、雨・・・雨・・・と書いているのにも飽きてきました。
 晴れが欲しい・・・


 そんな天気でしたが、雨が一時的にやんだ合間を縫って現場へ。
 午後3時から5時半まで、何とか作業を強行。
 上左の写真は、どんより曇った現場の様子。7号墳から西1トレンチを見た風景。

 たった2時間半でしたが、少しでも現場が進むと、ちょっとホッとします。

 南1トレンチ・・・墳端平坦面の範囲をほぼ確定。盛土にて平坦面を形成しているようです。

 西1トレンチ・・・2012年度トレンチ箇所について、分層線を復元。平面割り付けも実施。

 北1トレンチ・・・2段目葺石の基底石から広がるテラス面の検出作業。基底石近くにはかなり細かな小礫を敷いていて、しかし、その小礫の外側にはやや大きな礫を敷いているように思われます。上右の写真です。ほかに、今年度のトレンチ箇所について分層を行いました。


 明日から数日も、あまりすぐれない天気予報となっています。
 だましだましでいいですから、現場作業ができることを願っています。

2013年8月30日(金) 第13日目

 本日、1日中、雨でした。

 でも、トレンチの様子確認と、明日接近するという台風対策のため、昼過ぎに決死隊7人が現場へ。

 シートにたまった雨水を抜き、シートをかけ直し、現場トイレが台風の風で倒れないように固定し、これらを終えたときには、途中から激しく降り出した雨のため、全員ズブ濡れ。

 古墳の斜面はかなり急で、とくに北1トレンチ付近がけわしく、また黒ボク土が雨に濡れてぬかるんでいるから、斜面が滑る滑る・・・
 古墳斜面がスキー場のようになり、皆、つるつる足を滑らせて、泥まみれになってしまいました。

 でも、ドロドロになりながらも皆、笑顔。
 不思議とこんな作業が楽しいんですよね・・・


 しかし、よく降ります。
 雨に祟られています。

 宿舎撤収日までに、終わるのか???


 夜、山田地区の方々との懇親会。
 大田黒区長をはじめとする地元の方々が準備して下さった料理、お菓子を肴にしての飲み会。
 老人会、婦人会の皆様、そして地区の若者三人衆も参加して下さり、楽しい時間となりました。

 午後8時から10時までのわずかな時間でしたが、こうした地区の方々とのふれあいは楽しいものです。
 このようなよい関係を維持しながら、今後も調査を継続していくことができればと願っています。

2013年8月29日(木) 第12日目

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 昨日の段階では雨の予報だったのですが、午前中は曇り、午後は晴れと、今日は1日中、現場作業ができました。
 心から、よかったと思います。

 明日も雨の予報。
 明後日は台風が九州直撃の予報となっていて、明後日の31日に予定していた現地説明会も中止に決まりました。

 現地説明会は、学生教育にとってもとても有意義な行事でしたから、非常に残念という気持ちです。
 でも、天気には勝てません・・・

 さて、今日は1日、作業ができたおかげで、西1トレンチの全景写真撮影ができました。
 上の2枚は、その写真の一部。

 2段目葺石の残存部が検出されましたが、かなりの葺石が失われていることが分かると思います。

 南1トレンチでは、墳端平坦面の全貌を解明すべく、南側に1.5m拡張(下左の写真)。
 平坦面の範囲がおよそ確認されていて、あと少しの検討で、今回のトレンチ内はすべての決着がつきそうな様子です。

 北1トレンチでも、2段目葺石基底石とテラス面がほぼ確定されました。
 テラス面には、かなり細かな小礫が敷かれていることが分かります。
 下右の写真です。


 今日1日作業ができたおかげで、かなりの進展があったと思います。
 でも、写真がほとんど終わっていませんし、そのあとには図面が待っています。

 葺石の図面を書くのがほぼ初めての学生ばかりといってもよい陣容ですから、かなりの時間がかかることを覚悟しています。  ひょっとしたら、宿舎撤収後の通い現場になる可能性さえあります。

 天気に恵まれることを、本当に願っています。

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2013年8月28日(水) 第11日目

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 2日連続の快晴。
 1日中、現場作業ができました。

 今日のようによく晴れる日は、明け方、朝もやにつつまれます。上左の写真が朝もやのなかの宿舎です。
 上右の写真は、昼食用のおにぎり作りの様子。
 おにぎり作りが、毎朝の日課です。

 さて、現場ですが、西1トレンチは全景写真撮影の段階に達しました。
 で、タワーを建てて、影待ち(下左の写真)。
 しかし、まったく雲が来ず、木もれ日で日向と日陰がまばらとなっていて、写真撮れず。
 木立のなかの現場では、ここでグッと辛抱して、雲を待ちます。
 あわてて撮影すると、あとできっと後悔する・・・そのことが分かっているので、じっと雲待ちを続けましたが、本日は全景写真撮影を断念しました。

 南1トレンチ。
 墳端の基底石がほぼ確定されました。
 あとは、墳端平坦面の確認ですが、トレンチ内に収まりそうにないので、明日、思い切って拡張する予定です。
 明日、天気がもてば、ほぼ掘り下げは終わると思います。

 北1トレンチ。
 こちらも2段目葺石の基底石がほぼ確定されました。
 あとは、テラス面の精査です。明日です。
 なお、2段目葺石基底石に乗るようなかたちで、比較的多くの壺形埴輪片が出土しました。
 下右の写真がその様子です。


 ところで、明日も雨の予報が出ています。
 そして、週末には台風九州直撃の予報も・・・

 あ〜、雨にたたられる現場です。
 予定通りに終わるのか??

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2013年8月27日(火) 第10日目

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 この27日の日誌は、28日に書いています。
 27日の夜は、電子平板データを整理していて、日誌を書く時間がありませんでした。

 27日は、朝から久しぶりの晴れ。ですから、1日中、現場作業ができました。
 いつ以来?って、感じです。

 調査に入る以前から、地元の方々との相談の結果、8月31日に現地説明会をすることを決めていましたので、何とか、3つのトレンチとも、お見せできるくらいのかたちにするべく、掘り下げを進めています。

 西1トレンチ(上の左右2枚の写真)は、ほぼ平面精査が終了。
 土層の検討を行っていて、それが済めば、写真ののち実測に入ることができます。

 南1トレンチ(下左写真)、北1トレンチ(下右写真)は、いずれもまだ完全に墳丘面・葺石面が検出できていないため、その確認に全力を注いでいます。
 南1トレンチは墳端の確認、北1トレンチは2段目葺石基底石とテラス面の確認が大きな目的なので、それに至れば、ひとまずのかたちになります。

 そこを目指して、学生たちが奮闘しています。

 でも、2・3年生が中心で、まだまだ道具の使い方にも不慣れという技術段階なので、掘り下げが順調に進んでいるとは言い難い状況・・・

 また、上級生は、下級生に対して適切に指示するのに苦労している様子。それもこれも、自信のなさから来るのかもしれません。

 といっても、これが実習発掘調査。
 いよいよという時までは、じっと我慢の子です。

 でも、もうすぐ、いよいよという時が来るような、そんな進み具合です・・・

2013年8月26日(月) 第9日目

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 今日も雨、5日連続の雨。
 で、午前中は宿舎待機となりました。
 もう、ゴロゴロするしかありません・・・

 昼前、ようやく雨脚が弱くなり、そしてそして、午後1時前、現場へ出発することができました。
 3日ぶりの現場・・・

 昨日、一昨日の大雨がシートの下にまで入り込んでいて、シートのかけ方を再度工夫しないといけないと思った次第。
 トレンチの復旧には少し時間がかかりましたが、でも、今日の午後は通常通りの作業を行うことができました。

 そして、西1トレンチ、北1トレンチの墳頂近く、墳丘面の認定について一定の結論を得ることができました。

 その場所は、葺石が流れ落ちているので墳丘盛土面が直接検出されるはずです。でも、黒ボクを利用した墳丘盛土と後世の真っ黒な埋土の区別はかなり困難で、学生たちは相当頭を悩ませている様子。

 でも、何とか自分なりの解釈をひねり出そうとして土と格闘している姿を目にすると、これが実習発掘だよなあと思ってしまいます。
 もちろん最終的な結論は私が下しますが、学生の解釈を聞きながら私自身で土を検討している時、それはとても楽しい瞬間です。

 31日の午前10時から現地説明会を予定しています。
 それまでに、何とか、3つのトレンチとも格好をつけたいと思っています。

 そのためには明日からの晴れ間、学生たちに頑張ってもらわないといけません。


 下左の写真は、今日の北1トレンチ。もう少しで、2段目葺石の基底石が検出されると思います。
 下右の写真は、西1トレンチ。ミーティングで、自身の土層解釈を説明している学生の様子です。

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2013年8月25日(日) 第8日目

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 降雨中止。
 2日連続。

 今日の雨は昨日にもましてひどく、阿蘇地域には大雨・洪水警報が発令されました。

 町内放送でも、道路の通行止め情報が伝えられていて、相当の雨量であった模様。
 山田地区公民館前にある消防団の詰め所には、地区の方々が朝から詰めておられ、最大の警戒態勢であったようです。

 そんな状況ですから、我々は朝から何もすることができず、宿舎で待機。
 待機といっても、これまでに調査を行ったのは実質4〜5日ですから、宿舎でやることも限られていて、ようやく乾燥してきたわずかな出土遺物の洗浄くらい。

 現場が始まったばかりの時期の降雨中止には、本当にまいってしまいます。

 そんな時間をもてあましていた学生たちでしたが、午後から皆で餃子作り。
 そうして、調査チームとしての一体感を高めたのでした。


 上左の写真は、低い雲に隠れてしまった阿蘇五岳。
 もう、本当にひどい雨の1日でした。

2013年8月24日(土) 第7日目

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 今日もまた雨、それも朝から1日中、雨。
 現場できず。

 今日24日は地蔵祭り。
 山田地区の地蔵祭りは公民館で行われるため、雨だといっても宿舎で待機できず。

 地区の方が8時前には公民館に来られて料理などの準備が始まり、我々はもう少し早くから宿舎の片付けと掃除。そして8時15分頃には、宿舎を出発しました。

 でも、出発といっても雨のため現場へ行くことができず、ひとまず阿蘇・道の駅へ。
 そこで、再度、今日の過ごし方を相談した結果、ドライブで日田へ行くことになりました。

 降雨中止、日田観光の1日・・・
 想夫恋の焼きそばと豆田町の散策・・・


 しかし、よく降ります。
 これで3日連続の降雨。
 明日も1日、雨の予報です。

 3日前まで、けっこう順調に進んでいると思っていたのですが、その貯金もこの雨で使い果たしてしまったような気がします。
 明日も雨で現場ができないと覚悟していますが、来週からは、これまで以上に気合を入れ直して進めなければ、予定通りに終わらないかもしれません。
 学生たちにも、そうした心づもりになってもらわなければなりません。


 上の写真は、明日で帰る4年生を囲んでの談笑風景。
 2・3年生とはわずか1〜2年の違いですが、やっぱり4年生はしっかりしていると再認識させられています。

2013年8月23日(金) 第6日目

 今日も雨、午後1時半コールド。
 明日・明後日も予報では雨。明日なんて「雨一時止む」だとか・・・
 天気には勝てないので、あと数日は辛抱しなければなりません。

 で、今日は実質午前中しか作業ができませんでした。

 南1トレンチ。転落石がとても多く、掘りにくいこともあって、南側(墳端方向)へ50p、トレンチを拡張。
 すると、拡張区の南西隅で、褐色ロームの地山と思われる土層面が検出されました。
 墳端基底石の確認が今後急がれます。

 西1トレンチ。2段目葺石面上にあった転落石を除去したのち、葺石面の清掃。
 それから、墳頂の墳丘面の精査を行いました。
 墳頂側の墳丘斜面途中に、溝状の浅い落ち込みがあるとの学生からの報告。明日には確認したいと思います。

 北1トレンチ。葺石がとてもよく残っています。
 墳頂面には小礫を敷いていたようで、2段目葺石上端付近には、その小礫が残存しています。
 2段目葺石の基底石らしき石材も検出され、またそのテラス面に敷かれた石材も顔を出しつつあります。
 その敷石ですが、昨年確認した西1トレンチのテラス面石材より、ひとまわり大きい様子です。

 問題は、1段目葺石残存部上端からテラス面石材までの間・・・ここの掘り下げが難航中で、墳丘残存面の確認に手間取っています。
 「掘り」のうまい人員を配置すべきでしょう。夜のミーティングで、北1トレンチの班長に伝えておきました。
 今、その場所を担当している学生には悪いのですが、現場をスムーズに運ぶには、いくら実習発掘調査であるとはいえ、厳しく当たるべき時があります。
 今日担当していた2年生が、先輩の掘り方を見て学んでくれればと思います。

 ところで、明日雨だったらどうしましょう?
 宿舎では地元の地蔵祭りが行われますので、宿舎で待機するわけにはいきません。
 雨の場合、阿蘇のドライブかなあ?

2013年8月22日(木) 第5日目

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 現場開始5日目にして、初めての降雨。
 午後3時コールド。

 南1トレンチ、西1トレンチでは、転落石を残した状態での写真撮影を予定していました。
 午前中はその準備のための清掃・・・
 そして昼前から、雲待ちをしながらの写真撮影・・・

 この2つのトレンチの写真を撮り終えたちょうどそのときに雨が落ちだし、あっという間に雨脚が激しくなりました。
 で、撤収。
 宿舎には午後3時半頃に戻りました。

 午前中はとても良い天気だったのですが、あっという間に雨空に・・・
 これが阿蘇の天気だと、昨年度イヤというほど思い知ったはずでしたが、でも、今日も皆が濡れてしまいました。

 なかなか阿蘇の天気は難しい・・・再度認識した今日の午後でした。

 明日からの3日間も雨の予報が出ています。
 何とか滞りなく作業ができることを願っています。

 ところで、右の写真は、南1トレンチの現状です。
 生きていると思われる葺石部分よりも広い範囲に、転落石が広がっています。

 今日、この写真を撮り終えたので、明日から転落石を除去していきます。

2013年8月21日(水) 第4日目

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 現場開始4日目、掘り下げはじめて3日目。
 ようやく、口酸っぱく指示しなくても、各トレンチの作業が進むようになった気がします。

 壁を作れ、トレンチ周りを掃除しろ、など、基本中の基本を何度も口にしていた昨日までとは、まったく別の現場のようです。

 この現場が初めての発掘調査である学生が7人もいますから、当初の彼らの戸惑いは仕方のないことなのですが、そうした彼らが少しずつではあるけれど自らの判断で動くようになってきた姿を見ると、すこぶるうれしく思ってしまいます。

 でも、3年生やフィールドマスターの院生たちは、まだまだ手探り状態で進めていることがありありと分かります。
 局面、局面での判断が、まだまだ不安なんですね・・・

 でも、人によって向き不向きはありますが、こうしたことは経験を積むことによって、少しずつ良くなっていくもの。
 期待をもって、気長に見守っていきたいと思っています。

 今日の作業は昨日の続き。
 各トレンチで、葺石と墳丘残存面の検出作業。

 明日、可能であれば、転落石がかなり多く出ているので、その全体状況を写真に押さえたのち、転落石を外していく作業に移っていきたいと思っています。

 少し、天気が心配なのですが・・・

 今日は、私の誕生日。
 下の写真は、学生たちが用意してくれたケーキです。
 おおきに!!

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2013年8月20日(火) 第3日目

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 掘り下げ2日目。

 上左の写真は西1トレンチ、右は北1トレンチ、今日の状況。
 昨年度の埋め戻しに用いた土のうはすべて出し終え、墳頂付近まで延ばした部分の掘り下げも始まりました。

 早くも、北1トレンチ(右の写真)では段築2段目の葺石が顔をのぞかせていて、良好に残っている様子がうかがえます。
 一方、西1トレンチ(左の写真)では葺石の残りが悪そうで、そうすると墳丘盛土と流土の区別が難しくなります。少し時間がかかるかもしれません。

 南1トレンチ。
 かなり葺石の残りが悪そうで、こちらも墳丘盛土と流土の区別で難しい局面に入っています。
 局面といっても、まだ掘り下げ2日目なのですが・・・

 この3日間、快晴。
 日中は暑いのですが、夜は涼しく、朝方は寒いくらいです。
 これが自然のなかでの生活・・・というか、都会の気候の方がおかしいんですね。

 それを十分に実感できる阿蘇での生活です。

2013年8月19日(月) 第2日目

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 現在予定している今年のトレンチは3箇所。
 昨年度掘ることができなかった墳丘南側に1箇所、そして、昨年度墳端(葺石)を検出した西側・北側の2箇所のトレンチを墳頂まで延長。この3箇所です。

 昨日は搬入と宿舎・現場設営が主でしたから、掘り下げは本日開始。
 昨年度調査のトレンチでは、関連する測量杭を設定し直したのち、昨年度のトレンチの検出から開始しました。

 上の写真の左側は西1トレンチですが、昨年度の埋め戻しに用いた土嚢面までほぼ検出終了。
 同様に北1トレンチでも土嚢面をほぼ出し終えました。
 いよいよ明日から、墳頂への延長部分も掘り下げ開始です。

 南1トレンチでは、墳端を検出すべく、表土除去から開始。
 上右の写真が今日の最終段階、ミーティング時の状態ですが、かなり高い位置から石材が出てきています。
 学生たちは、石材が少し面をなして並んでいるので、これらが生きているのか死んでいるのか、判断に少し困っているようです。

 彼らがどのようにして判断していくのか、少し待ちたいと思っています。

 私なら、一気に処理してしまいそうですが、大学の実習調査では、ここでの我慢が大切なのです。

 ところで、今日は、昨年度の卒業生、原香織さんが現場見学に来てくれました。
 とても苦労して卒業した彼女でしたが、元気な姿を見せに来てくれたことだけで、少々感激。

 ほっこりと安心した午後のひとときでした。

2013年8月18日(日) 第1日目

 5時に起床し、6時に出発。6時20分頃には大学に到着してトラックを借用。
 そして、7時に学生たちが集合して荷物の積み込み。
 8時には大学を出て、9時半には宿舎の山田地区公民館に到着しました。

 いよいよ2年目の平原古墳群発掘調査が始まりました。

 昨年度と比べて冷蔵庫が1つ減り、一輪車も持っていく必要がなくなったので荷物が減っているはずなのですが、なぜか、昨年度以上にトラックの荷台が一杯になったような・・・

 今日は、器材の搬入と宿舎の設営。
 現場では、昨年度のトレンチを延長するので、トレンチ測量杭を設定し直し、また、新たに設けるトレンチの位置を決めました。

 さあ、明日から、掘り下げの開始です。


2013年8月17日(土) 前日

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 明日から、2013年度の発掘調査実習が始まります。
 9月14日までの4週間の予定。

 調査地は昨年度に引き続き、阿蘇市平原古墳群の6号墳。
 昨年度に墳端確認のために設定したトレンチを、墳頂まで伸ばす予定です。
 ですので、昨年度調査の成果とあまり変わり映えのしない様子になるかもしれません。

 ただ、今年のトレンチでは、墳端から墳頂まで、一連して墳丘面が現れると思います。
 葺石が良好に残っていて、壮観な姿になることを期待しています。

 昨年度は、これまで調査されたことのない古墳でしたから、何が検出されるのか、まったく分からない状態からの発掘で、当初は手探り状態でした。でも、今年度は、昨年度の調査成果がありますから、おおよその予想が可能です。

 ですから、今は、昨年度よりは少し気が楽な前日の夜ですが、でも、先日の発掘調査壮行会では学生たちは相当緊張している様子。

 2年生にとっては初めての発掘調査現場、3年生にとってははじめて後輩ができた発掘調査現場、4年生にとっては学生最後の発掘調査現場、大学院1年生にとっては調査担当者となっての初めての発掘調査現場、大学院2年生にとっては本当に学生時代最後となるかもしれない発掘調査現場。
 私にとっては、調査成果がある程度予想できる発掘調査現場なのですが、学生たちにとっては、ある意味、全員初めての発掘調査なんですね。

 大学の発掘調査というのは、そんな新鮮な緊張感が毎回充満するものとなります。
 私もそんな緊張感を忘れないように、無事、調査が終わるように気を配りたいと思います。

 そして、調査の最後には、1つのチームとなっていることを祈っています。

 写真は、象ヶ鼻から平原古墳群の位置する丘陵を望んだ様子。
 逆光でないときに、改めて撮影したいアングルです。